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インターネット知事室 知事の発言-第11回京都雇用創出活力会議

第11回京都雇用創出活力会議

出席者
山田 啓二  京都府知事
門川 大作  京都市長
森川 善樹  京都労働局長
橋元 信一  連合京都会長
安藤 孝夫  京都経営者協会会長

挨拶

20140911-1山田 この京都雇用創出活力会議は、いつも府の公館で行っておりますが、11回目の今回は、前回の会議での門川市長さんの御提案によりまして、京都市のキャリア教育の取組拠点である「京都まなびの街生き方探究館」で開催させていただきました。
 子どもたちにとって、勉強と将来の生活がシームレスでしっかりと学ぶことができる、このようなすばらしい施設で開催できることをうれしく思いますし、門川市長にも心から感謝を申し上げたいと思います。
 今回、この「京都まなびの街生き方探究館」での開催は、京都雇用創出活力会議のテーマにも非常にふさわしい場所になったと思っております。
 先日公表されました7月の有効求人倍率は1.07倍となり、これは平成3年6月以来23年ぶりの、私も体験したことがないような高い率でありますが、今まで私たちが検討してきた問題とは異なる局面で、いろいろな問題が生じてきております。
 この雇用改善は景気の回復とパラレルになっており、景気の回復も政府が行っている円高是正や公共事業の執行、民間活力により、それぞれの分野において有効求人倍率の改善はうれしい話ですが、逆に人材不足の問題が生じており、特にいくつかの産業で顕著に現れているという状況があります。
 例えば建設業、この職種での求人倍率は、我々の地域で2倍、3倍、東北では4倍、5倍と言われておりますし、福祉関連産業では、将来的に100万人が不足するという推計も出ておりまして、そのような中で、この京都雇用活力創出会議においても、雇用の安定確保、人づくり、定着支援という観点で、これからの政策を少しずつ動かし始めているところだと思います。
 まさに、この「京都まなびの街生き方探究館」は、そういった人づくりを目的とした教育施設です。本日の議論を深めることで、これからの京都の地域がさらに発展するための課題に向かって取組を進めていけたらと思っておりますので、本日はいろいろな面から皆さま方の活発な御意見をお願い申し上げます。
 それでは、限られた時間でありますので、本題に入らせていただきます。 まず事務局の方から最近の雇用情勢を踏まえた若者の就職支援の取組状況について説明をお願いします。

内容

山田 ただいまの説明を踏まえて、今後の我々の方向性について議論をさせていただきたいと思います。まず、我々が取り組んでまいりました雇用の確保、ここから正規雇用の確保へどうスタンスを移していくか。そこで問題になってきておりますのは、若者のキャリア形成、定着支援、こうした問題に対して私どもの立ち位置、状況の変化が見て取れるのではないかと思います。
 そういうことを踏まえながら、今後どういう方向で京都雇用創出活力会議としての重点を置いていくかについて、皆さんの御意見を伺いたいと思います。 まずは橋元会長からお願いを申し上げます。

橋元 京都雇用創出活力会議に初めて参画させていただきますが、いろいろと資料の御説明をいただき、数値が上がってきたことは少し良かった気がします。
 しかし、私たち連合の立場から申しますと、やはり雇用ソースといいますか、全国の雇用ソースが弱いというのが非正規雇用者にあります。
 やはり非正規の労働者の年収は200万円以下で、非正規雇用者数が千百万人を超えている現状でありますし、そういった中で女性の非正規、いわゆるパートタイマーの大体10人に1人か2人が女性だという調査があります。
 そういった中で、山田知事もおっしゃいました若者のそうした現状について、資料で見せていただきながら御説明いただきました。
 確かに大卒、そしてまた高卒の方々の離職率が3年以内に非常に増えているということがあるんですけども、これを労働界、私たちの方で状況を見ますと、やはり大卒者と高卒者で少し違うと思っております。その違いがどこかというと、高校生というのは授業の中というのは1つのクラスなんですね。1つのクラスの中では30人40人のクラスの中で、いろいろと生活をしながら、そしてまた勉学をする中で、個人的に不愉快なことがあったり、嫌なことがあったり、楽しいこともあるんですが、全体で分け合えるといったのが高卒の人たちです。
 大卒の人たちというのは、そういったところがなくて、自分の抱えている授業の単位の取り方にもあるのですが、そういう中で、似たもの同士といったら言い方が悪いですが、気の合う同士が仲間になっていく、そういうグループが大卒だと思います。
 そういう人たちが、結局社会に出てきた時にどうなるかというと、仕事をし始めてその中でいろいろなことを覚えていく、そしてまた上司からいろんなことを教わるけれど、お叱りも受ける、その中で耐えられるところと耐えられないところが出てくるのが今日の資料にもあったのですが、そういうところまで掘り下げていくと、教育の一環の中でそういうところができないのかということです。また、個人的に我慢できる子どもたちと我慢できない子どもたち、いろいろな家庭状況があると思いますが、そういうところが教育の一環でできないのかなということを一つには思います。 それともう一つは、連合京都はやっぱり京都北部の方にもいろいろと力を入れています。京都北部もやはり若者が受験で都会へ出て行く、そして、結局就職は都会でしてしまって、Uターンはできていないということで過疎化が進んでいるというところで非常にそういう努力をされているとお聞きしました。そこのところで何らかの手立てはないのかというのが模索の一つかなと思います。
 私たち連合も労働相談の窓口を開いているわけですが、そこでもやはり1ヶ月に多ければ何十件という相談があるわけです。その相談の中で、一つには先ほど資料にもありましたとおり、雇用契約が違う、そして自分の能力と違うといったいろいろな相談を受けるわけです。そこのところを教育の一環としての活力にできないのかなと思っていますので、その辺のところで、この離職率を少なくするにはどうするのか、どういったことができるのかについて、私たちも考えていきたいと思っております。

山田 求職者問題を真っ向から取り上げていただきました。続きまして経営者協会安藤会長のお考えをお聞きしたいと思います。

安藤 まず経営者協会の立場から日本経済の状況についてお話させていただきます。
 皆さんよく御存知のとおり、4-6月期は、消費増税の影響を受けて個人消費が想定以上に大幅に落ち込みましたが、自動車、電気、機械をはじめとする製造業は海外での売上が好調で、加えて想定外の駆け込み需要があったため生産はあまり落ち込みませんでした。
 足下を見ますと、為替は今朝も106円の後半(注:9/11時点)となっております。
 円安になると原油・燃料が上がって大変だとの話もありますが、実は2ヶ月後に日本に入る原油の価格は下がっています。
 そういう状況にもなっており、楽観的かもしれませんが消費増税による悪影響もほぼ一周し、また米国経済の回復により輸出も持ち直すのではないかという予想もあり、これから日本の経済も回復軌道を辿っていくのではないかと期待しています。
 言うまでもないことですが、雇用問題を改善していくためには、一義的にはいかに企業を活性化して、成長させていくかが重要になります。
 政府にはデフレ脱却と持続的な経済成長に向けて経済の再生、それからもう一つ「地方の創生」に積極的・スピーディな取組みを期待したいと思います。
 次に、本日の本題の人材確保と雇用の安定についてです。京都には優秀な学生が多くいますが、その内約3分の1しか京都に就職せず、東京、大阪や実家のある地方に帰ってしまいます。今後の人手不足を考えれば、京都で大学生活を送られた方に、いかに京都に残ってもらうか、その方策を検討するべきと思っています。
 京都にはあまり有名ではないが業績が良く、そして将来性のある「輝く企業」が多いと私は思います。そういう京都の中堅・中小企業を学生に知ってもらうために、例えばインターンシップで一定期間実習を行ってもらい、働く体験を通してその会社・業界の良いところを理解してもらいたいと思います。名前で判断するのではなく、良い会社に勤めてもらう、そういう意味でインターンシップは有効な制度であると思います。
 私どもの会社でも京都ではないですが、愛知県や茨城県の工場で、沖縄から北海道までの全国の高専生を対象としたインターンシップを実施しています。
 夏の一定期間来て、私どもの会社をよく分かってもらった上で応募いただいく方も多く、インターンシップの成果が出ていると思っています。
 次に、非正規労働者の正社員化という問題です。やはり経営者協会の立場としましては、不安定な非正規労働者を少しでも減少させて、より安定した正社員に雇用形態を移行させることは重要だと思っています。
 そのためには多様な正社員制度の導入などの取組みを強化していく必要があると思います。
 大手の企業であれば正社員化を進めることも割と容易だと思いますが、例えば、中小の企業が多い京都府北部の会社では、一律に全員正社員にしていくというような方策は難しいと思いますので、そういうことも留意していく必要があると思っています。
 また、当社の例をご説明しますと、数十年前から、今世間で言われている「地域限定正社員制度」というものを設けております。当社のコースには一般職、専任職、総合職があり、専任職が地域限定社員に相当します。この制度では、例えば総合職で働いている人で家庭の事情で地域限定正社員になりたいと申請があればコースの変更ができる、逆に地域限定正社員の人が総合職に戻りたい申請があった場合もコースの変更ができ、社員それぞれの状況に応じて柔軟な働き方ができるようにしています。
 それからもう一つ、本日の議題には入っていませんが、女性の活躍促進についても重要な課題です。労働人口が減少するから女性を活用しようということではなく、やはりダイバーシティの観点から企業活動に多様な価値観を入れる、持たすという意味で女性の活躍を推進していきたいと思っております。
 今、国の方では女性の指導的地位にある、いわゆる管理職比率を2020年までに30%にするという一律的な考えも出ておりますが、メーカーの中ではもともと女性比率の少ないところもありますので、一律に2020年までに管理職比率30%ではなく、それぞれのメーカーの実情に応じて、目標を持って、女性の活躍できる環境づくりに向けて取り組むべきだと考えています。
 最後に、人材育成について簡単に触れさせていただきます。企業は人にありということで、人材の育成は重要だと考えています。
 先ほども説明にありましたが、京都では、高等技術専門校や京都ジョブパークJPカレッジのように、国と京都府の職業訓練を一体的に実施するという取組みが行われており、これから就職しようという人の訓練については、全国に先駆けた取組みが行われていると理解しています。
 一方で、就職後の訓練ですが、就職した後に、常に研修や自己研鑽を積み重ねることによって会社に対する忠誠心もできますし、働きがいという面でも貢献すると思います。今、大学卒業後に就職して3年で3割が辞めていくという状況にあります。これを防止する意味でも、就職した後の訓練、人材育成を企業がやっていくべきだと思います。
 ただし、中小企業ではなかなか難しい面があると思いますので、大手企業から講師を招いて中小企業の合同研修を行うとか、そういう工夫も今後の課題として検討いただけたらありがたいと思っています。

20140911-2山田 ありがとうございました。インターンシップの重要性、正社員化、そして、女性の社内活用、さらには、就職後の合同化での訓練、研修と幅広く御意見をいただきました。 続きまして、京都市の門川市長からお願いします。

門川 はじめの知事の課題意識等々、同じであります。また、橋元会長からの教育の重要性、また、安藤会長のインターンシップ、本当に大事だと思います。
 企業の協力を得て、大学コンソーアム京都でインターンシップに取り組んでおりますが、件数がなかなか伸びていません。仕組みは作ってるが、このあたりをもう一度深堀して、大学の協力も得ながら、やっていく必要があります。
 京都の基幹産業である観光産業の話をしますと、京都市内では、製造業の非正規率が30%であるのに対し、卸・小売業で50%、宿泊・飲食サービス業では75%にのぼります。世界で最も影響力のある観光雑誌「トラベル・アンド・レジャー」による人気都市ランキングで京都が世界一に選ばれるなど、観光産業は非常に良くなってきていますが、従業員の多くが非正規であり、京都だけでなく、観光立国日本としても、観光で安定した雇用を創出しなければ、日本はダメになっていくのではないか。観光で安定した雇用を創出することを真正面から取り上げていく必要があると思います。
 本市では、「京都観光経営学講座」を京都大学と一緒になって開催し、観光業のリーダーの方々に、おもてなし、サービスの向上など観光都市としての質の向上を図るためにも、観光産業に従事する人の雇用の安定化を訴えています。
 また、人手不足の解消が課題となっている小売業、サービス業の担い手確保を図る「小売商業・サービス業担い手確保育成事業」や京都経営者協会さんに委託しているフルカバー学生等就職支援事業など、京都市独自の取組に加え、若者と中小企業のマッチング支援の取組をオール京都で推進していきたいと思います。
 「京都まなびの街生き方探究館」では、企業や多くのボランティアが主体となって人づくりを担っていただいています。このように、人づくり事業は、行政だけでなく、企業や市民ぐるみ、府民ぐるみのオール京都での取組にしていく必要があります。
 ニート、引きこもりなど、生きづらさを抱えている子ども・若者が増えていて、有効求人倍率が良くなっても、働こうとしない、働けないいろいろな課題を抱えている若者への支援がこれからは大事であります。
 ひとつの成功事例ですが、昨年度、京都市の生活保護率が16年ぶりに減少しました。
 キャリアカウンセラーが就労意欲を喚起し、求人開拓員が就職先を開拓するなど、就職までにいろいろな取組をきめ細かく積み重ねた結果、「ほんとに久々に働けた」という喜びの声もいただくなか、昨年度1年間で985人の生活保護受給者が就職し、職業訓練に87人と、合計1,072人もの方を就労等に結びつけることができました。区役所・支所を中心に7箇所設置されているハローワークの相談窓口についても、まもなく3箇所増設予定であり、きめ細かい就労支援の取組をさらに進めていく必要があると思います。
 また、障害のある人の雇用、これも大きなテーマです、京都市では、総合支援学校高等部に職業学科を作って間もなく10年を迎えます。
 職業学科では、一人ひとりに応じたきめ細かい支援体制のもと、3年間で30週間、民間企業等で実習を行い、就職率が100%近くになっています。また、平成20年から24年まで就職した生徒の定着率は86.4%と、一般の高校生よりも高くなっています。手間暇掛かりますけど、このことが大きな力になっていくのではないかと思います。
 京都市では、保育所の整備を行い、待機児童ゼロを実現しました。待機児童ゼロは、すばらしいことなんですけど、保育士が集まらない。京都市の保育士の年収は、全国平均の303万円に対して426万円ですが、保育士が集まらないため、派遣の保育士を雇っている状況にあります。新しい取組をすると、不安定労働者を創るという、悪循環にならないような取組が大事ではないかと思います。

山田 今、京都ならではの観光が大変好調ですけれども、観光というのは浮き沈みがあるだけに、非正規が多いという現状がありますが、これから安定した観光都市京都を作り上げてないといけないとの御意見でした。
 それから若者と中小企業につなぐオール京都の取組、安藤会長のインターンシップにも関わってくる問題だと思いますが、きめ細かな府・市と連携した対策といったものが必要との御指摘であります。
 さらに障害者雇用、ある程度の道筋はできてきましたが、実はこれから問題となってくるのが、精神障害の雇用が義務付けられてまいりますので、この分野はたぶん多くの人たちがほとんど経験のない分野であるということです。こういった問題も含めてきめ細かな対応というものが求められてくると思っております。 続きまして、京都労働局の森川局長にお願いいたします。

森川 私も基本的には知事がおっしゃった基本的な認識と変わらないのですが、若干補足させていただきたいと思います。
 求人倍率が23年ぶりに1.07倍、23年前とちょっと違ってることがございます。23年前は求人倍率が1倍を超えてもどんどん就職者は増えていましたが、今は、実は0.9倍ぐらいからもう就職件数は頭打ちです。
 何が違うかというと、やはり人口減少というのが背景にある。そうすると、今後浮き沈みがあるかもしれませんが、やはり基調として求人倍率が上がってくる局面では人手不足という話が割と早い段階で出てきやすくなってくるかなと思っております。
 こういう状況ですと、求人求職で残っているのは充足の難しい求人、就職の難しい求職者という形になります。雇用の量を確保していくためにはやはり雇用の質を上げていくことがまず前提にあるんだろうと思います。
 この1年間、人づくりの事業を始め、求職者の質を上げる施策は、随分充実してきたという感想を持っております。あともう一つ、職場の質を上げていく対策、ここをもうちょっと何とかならないかと、去年の今頃、使い捨て企業対策、いわゆるブラック企業対策を実施したのですが、最低基準を下回っているところはきちんと指導ができるけれど、それを上回っている、例えば非正規の正規化みたいなところまでなかなか手が届いていないという反省がございまして、実は別様の資料を用意させていただきました。
 「雇用管理改善・正社員転換促進のお願い」といたしまして、実は先月から非正規割合の高いところ、具体的にいうと小売業、飲食店、宿泊業で、大手で京都に本社がある企業に対してお願いに回っております。
 会社ごとで状況は違うと思っておりますので、今人手不足がどうなっているのか、そういった状況の確認からはじめまして、非正規労働者にもいろいろ種類がございますが、パートと言ったり、嘱託と言ったり、どういう非正規の方がいらっしゃいますか、あるいは非正規を正規に転換する制度は就業規則に定めていますかなど。もう一つは、改正労働契約法が平成25年4月から施行になっておりますが、特に大事だと思っておりますのが、5年契約を続けていくと無期転換権が発生するという規定がございまして、労働者が望めば無期雇用にしなければいけない。このあたりの対応がどうなっているかですが、そういったことをお尋ねして対応が取られてないようであれば、お願いをする。お願いをするに当たってはキャリアアップの助成金等の活用、あるいは限定正社員制度の導入促進、勤務地を限定する、実体上は飲食店やスーパー等では勤務地限定で有期雇用で働いている非正規の方がたくさんいる。そういった方を地域限定の正社員、そのための就業規則を整備する。そういったことで非正規の正規化を図っていただきたい、そういうお願いをしております。
 この限定正社員ですけども、非正規から正規へ一足飛びということでなく、段階的なステップアップという意味もございますし、正規職員になりたいけども、全国転勤は避けたいというようなワーク・ライフ・バランス重視の非正規の方もいますので、そういう方々への対応の意味もあってこういうお願いをして回っております。
 確認事項の中の(1)の④にある「正規化転換推進員」は、まさに私が先頭に立ってやっているようなことではないかと思います。
 限定社員制度も来年度予算で導入のための助成金を予算要求していくこともございますので、今から積極的に準備をお願いしています。
 若者の使い捨てが疑われる企業ですが、離職率が高いということは基本的には正社員の問題だと思っております。離職して失業することが問題というよりは、正社員で就職しても離職した場合は、ほとんどのケースで非正規になってしまうというところがむしろ問題だろうと思っております。特に業務上の疾病ですとか、長時間労働とか人間関係とかで離職した場合、大抵、非正規で再就職する、そういうケースが多いもので、看過できないと思っております。
 しかし、行政といたしましては、法律を守っている限りは、助言とか斡旋とかいった対応までしかできないので、やはり働いておられる方、さらに働こうと思われる方々、特に若年者の労働法教育といったことが大事だと思います。そういう知識を付けていっていただいて、自己防衛というか、少なくともどこへ相談しに行けばいいかといったところの周知はしっかりしたいということで、インターンシップの話が出てましたが、是非その前のキャリア教育の中の一環として、労働関係の知識を付けていただくことをお願いできないだろうかという気がしております。
 離職の話でいいますと、法律上は業務上の疾病、いわゆる労災の場合は解雇できないということになっていますが、例えば、福祉施設などで腰痛になってしまった。腰痛は再発しやすいですね、そうすると結果として解雇ではないかもしれないけれども、自分から辞めざるを得ないということもございます。
 公共の職業訓練では、安全とか衛生教育もプログラムの中に入っていると思いますが、今、いろいろと能力開発の種類を増やしていることもございまして、そういった講習でもきちんとそういう安全衛生教育などを入れておかないと、今本当に人手不足ですぐ現場に出ろという話になっていますので、その辺もお願いできるのかなと思っております。
 先ほど門川市長から待機児童ゼロということで、その御努力に感謝申し上げます。京都は世界の観光都市、観光都市はいつが忙しいかというと、土日、休日、休みですが、土曜とか休日、あるいは夜間とか預けるところが少ないと聞いております。あるホテルで80人くらい管理職がいて、うち女性が3人、その3人は子どもがいないが、「子供ができて、最初は頑張ってもすぐに無理です。預けるところがないです。」と言われる。そういうところがなかなか女性が活躍する上で課題だと思っております。
 数量として待機児童ゼロを確保していただいたんですけど、もうちょっときめ細かく土日等も預けれる場所を増やしていただけるといいかなと思います。是非よろしくお願いします。

山田 森川局長さんからは、やはり正規雇用での再就職よりは転換対策、多様な働き方の確保という問題、それから離職率をどうやって下げていくかといった問題、さらには、女性の社会参加の上での保育所確保まで幅広くお話を伺ったところでございます。
 だいたい時間がきたのでまとめなければならないんですけども、一応、確認事項の案をお手元に配付させていただいております。
 事務的にまとめさせていただいたものですが、今日の皆さんのお話を伺いますと、それほど大きなズレは無いと思います。
 安定雇用をどうやって確立していくのか、この点については、一つは今まで実践して参りました正規雇用の考え方を引き続き進めていかなければなりませんし、その中で多様な働き方というものをしっかりと維持していかなければなりません。
 もう一つは、その中で離職率を下げていくことが必要ではないか。この両面はあると思います。これまでは雇用情勢が厳しかっただけに、かなり職場の条件、質が悪くても働かなければならないということがありました。
 今問題になっている一番極端な例がブラック企業でありますけども、そこに至らないまでも職場の質をどうやって上げていって、それによって離職率を下げていくかという問題。もう一つはやっぱり大学の意識の問題や企業の問題やミスマッチの問題に対してどういう形で手を打っていくことができるか、二つの問題があると思います。
 方向性としましては、まず、やはり離職率を下げていくということを正規雇用対策と同時に、今回は安定雇用戦略として推進しようということです。正規雇用対策と離職率を下げる就職後対策等を共に行うことによって安定雇用戦略というものを推進していこうというのが一点。
 そして、その中でやはり、働く人たちの人づくりを、これは、今日ここ「京都まなびの街生き方探究館」で開催させていただいたわけでありますけども、小学校や中学校、高校、大学の各段階でのキャリア教育が重要です。今のインターンシップは、大学4年生のぎりぎりになって、就職が上手くいかない時の緊急的なインターンシップになってしまっていますが、本来ならば、大学1年や2年の時に、休みの時にでも短期間でもいいから京都の中小企業に行っていただいて、中小企業の認識と、そして我々からしますともう一つの狙い目であります大学生の地元の定着ということも含めた形での新しい人づくり戦略というものを推進していきたいと思っておりまして、この二つの方向性をまず確認させていただきたいと思います。
 そしてそれに向かって離職率の改善に向けた就業環境の改善と正規雇用対策の取組としての若者の成長を応援する、先ほど門川市長のほうからもお話がありましたように、行政だけではなくて、企業を巻き込んだ支援のあり方、それから就労関係については、これは労働局にもお力をいただきまして積極的な環境改善についての歩みを進めていく。さらに人材不足の業界や非正規比率の高い業界に向けても、正規雇用対策などの一貫した支援、そしてそのための相談体制の強化、それからキャリア教育の推進ということで、まさに子どもの頃から支援していく体制というものについてオール京都で応援をしていこうということや、新卒大学生の府内定着対策、そしてニートやフリーターなどの、1回つまずいた若者の立ち直り対策、これは生活保護の方の就労対策も含めてきちっとやっていく、そういうことを我々のこれからの取組として行っていきたい、そしてそのために、さらに今日の会合メンバーが力を合わせて進んでいくということを確認させていただきたいと思っております。
 以上、私の確認事項案につきまして、このあたりはもう少し加えた方がいいというところがありますでしょうか。

門川 課題を抱えた子ども・若者への支援や、障害のある人の雇用の支援が重要ですので、「戦略2」の「人材の育成」の後に「・課題を抱えた若者等へのきめ細かい支援」を、④として障害のある人の雇用の支援を確認事項に加えていただきたいと思います。

山田 はい、了解です。
 やはり誰もが安心して働くことが大事だと思いますので、そういう形でまとめさせていただきたいと思います。
  最後になりましたが、この場をお借りしまして、女性の活躍に向けた取組及び少子化対策に向けた取組等について御報告させていただきます。

 (資料に基づき、事務局から報告)

山田 京都の場合は、結構女性団体の認可があるんですけども、特に雇用というものに絞って府市、市町村、さらには企業も含めた形でこの問題を取り組む会議を設置していきたいということで、今後ぜひとも一緒に進めさせていただきたいと思っております。この取組を進めていくことによって、これからの女性の社会参画、雇用問題に取り組んでいきたいと思っております。

門川 少子化対策はほんとに喫緊の課題であり、本市としては、待機児童解消のためにいろんな取組をしています。
 森川労働局長からお話がありましたが、夜間保育、土曜日、長時間保育については、京都は全国に比べて圧倒的に水準が高いと思います。保育士の給料も全国平均で303万円ですが、京都市は426万円、民間に京都市独自で26億円の補助金などの支援を行っており、この結果、小学校入学までの子どもに対する保育所の入所率は、全国平均の35%に対して、京都市は43.5%と保育所に入りやすくなっています。
 少子化の原因、出生率が低い原因の分析は非常に難しいですが、百貨店やスーパーの営業時間の長時間化や元旦営業といったサービスの向上に伴い非正規労働者が増え、さらに女性が子育てしながら働きにくい客観的な状況が生まれていることも一因として考えられます。本市としては、それに対応して、子育てしながら安心して働けるよう、保育所の増設や夜間保育、長時間保育などきめ細かくサービスを向上させていますが、根本的な解決には保育の施策だけでなく、もう少し京都ならではの抜本的なことを考えていかないと本当の少子化対策にならないのではないかなと思います。

山田 そこは本当に重要な問題でして、ヨーロッパに行くと日曜日に店は開いてなかったけれど、最近開け始めたということも現実でもありまして、本当に生き方の問題があるので、今回、オール京都で作るそうした女性の会議においても、そういうことを問題にしながら取組を進めさせていただきたいと思っております。

橋元 最後に保育所の関係ですが、労働組合ですので保育所に働く労働者の立場として、非常に厳しい状況の中で仕事をしている。
 児童の人数に応じて保育士の人数が規定をされているが、規定どおりでいくと非常に厳しい労働条件が重なってくる。そういう規定が本当にいいのかというような見直しが一点言えるんじゃないかなと思います。
逆に言いますと、保育士は若い間はできるけども、年齢が上がっていくとなかなかできない。やはり保育士の人数が足りないということが労働者の目なんですよね。
 ですからこの規定が本当にその規定でいいのか、悪いのかということも含めて、そしてまた、土曜日、日曜日の保育を含めて雇用をどうするかということを、国の枠組みではなくて、京都としての枠組みでできるのかということもお願いしたいと思っております。

20140911-3山田 そういった点も是非考えていきたいと思います。我々もできる限り地域の現状に合った制度をとお願いしていますが、厚生労働省は全国一律、均衡というところがありますので、そういった問題も含めて話し合いをしていきたいと思っております。
 それでは、今日は非常に活発な議論になりました。多くの確認事項がありますけども、京都ならではの取組になりますように、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 本日はありがとうございました。

 

(以上)

 

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