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インターネット知事室 知事の発言-平成30年知事年頭あいさつ

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平成30年 知事年頭あいさつ 【動画を見る(外部リンク)

写真:平成30年知事年頭挨拶1 新年あけましておめでとうございます。
職員の皆様におかれましては、新年を健やかに迎えられたことと心からお祝いを申し上げます。

 また、本日は、村田議長をはじめ府議会議員の皆様、市町村長の皆様、府政の推進に御協力いただいております皆様など多くの皆様にもお立ち会いいただきまして、本当にありがとうございます。
そして、府民の安心安全を守るために、警察、消防、病院関係の方々など多くの皆様に、この年末年始も休日夜間を問わず職務に励んでいただいており、こうした皆様の御尽力に対し、心から感謝を申し上げます。

 昨年は、林田、荒巻、そして私と三代の府政におきまして、本当に多くの方々が力を尽くし、長い年月をかけて築いてきた京都を縦貫する自動車道が、4月の新名神高速道路の城陽・八幡京田辺間の開通によって、京丹後市から木津川市まで約140kmが完成し、京都府の背骨ができあがりました。
そして、この高速道路で結ばれ、アクセスが向上した京都舞鶴港も過去最高の賑わいとなり、関西文化学術研究都市も開発した土地はほとんどが完売し、続々と新しい施設が建ち上がっております。

 また、京都市内は観光客で今日も溢れており、府内各地で進めてきた「もうひとつの京都」では、海の京都、森の京都に続きお茶の京都がスタートしました。
さらに、文化庁の全面的移転も決まり、東山には地域文化創生本部が設置され、京都がこれから日本の文化首都として大きな役割を担っていくことが決まった重要な節目の年になりました。まさに21世紀の京都の骨格が固まった年と言っても過言ではないと思います。

 京都は、千年の都・京都市を中心に、丹後王国、元伊勢など豊かな歴史に磨かれた北部、磨き抜かれた木材を提供し、丹波ブランドの産物を生み出すなど都を支えた中部、日本のお茶の文化を育て上げた南部など、まさに歴史と文化に彩られた誇り高き地であります。
そして私たちも、昔の栄華を顧みるだけではなく、次の時代に誇れる京都をつくりだすべく努力を重ねてまいりました。その成果が、文化首都としての京都であり、世界の人が交流する京都であります。その骨格は概ね完成したと思います。

 奇しくも今年は、明治150年、そしてこの京都府が設置されてから150年という年に当たります。千年にわたって都として栄えた京都は、明治維新により東京に全てが移される中で、人口の3分の1が減少し、かつてない大きな危機に直面しました。150年前、京都は存亡の危機に直面していたのです。
そのような激動の時代にあって、当時のこの京都府は、衰退を食い止めるために思い切った施策を展開しました。
それは、人づくりを中心に据えた未来への投資です。京都は、日本で最初の小学校、女学校、さらには盲ろう学校を次々と開校させてまいりました。
そして、府立医科大学の前身である医学校を療病院に付置し、京都大学の前身である第三高等中学校を、土地建物を提供して大阪から誘致し、日本で最初のキリスト教主義の大学の設置許可を行うなど、徹底した人づくりに取り組みました。

 また、当時の府の予算を上回る事業費をつぎ込んだ巨大な公共事業、琵琶湖疏水を完成させ、日本初の博覧会「京都博覧会」を経済界と連携して開催し、西陣織や茶業など様々な分野でもイノベーションを進めました。
当時、府議会では、府民生活の向上のためにもっと予算を使うべきという意見との間で争いがありましたが、京都府の先人たちは、京都の未来にかけ、京都を見事に復活させました。これが、京都府政の原点です。

 そして今も、大学のまちとして京都が栄え、また、私たちが水に困ることがないことも、明治の京都府の施策のおかげであります。私たちは、こうした過去の恩恵を受けてきただけに、平成の時代にあっても、この理念を変えてはならないと思います。現代の京都を担う私たちも、三大学の教養教育共同化や産学公の連携、留学生対策を進め、さらに学研都市を中心に新たな人材育成に取り組んでいます。

 また、農林水産業や農山漁村を支えていく京都農人材育成センターや林業大学校、海の民学舎、京都府北部福祉人材養成システムの確立、京都ジョブパーク、京都ウィメンズベースなどによる多様な人材の育成、そして現在整備中の京都経済センターを中心とした産業人材の育成を進めてまいります。また、小学校・中学校の少人数教育や特別支援学校の新設、高校生のあんしん就学支援制度などにも取り組んでおり、まさに明治の人たちの志を私たちも踏襲しているところであります。

 さらに、交流を生み出す重要な拠点となる京都学・歴彩館の完成や京都スタジアムの起工、そして、宇治茶の産業交流拠点としての茶業研究所のリニューアル、商業施設への誘客効果が期待される城陽スマートインターチェンジの新規事業化も決定しました。さらには北陸新幹線の南部ルートも決定するなど、生み出した交流を大きく育てていくための種も、幅広く蒔かれています。こうしてできあがった骨格の上に、人、モノが交流することによって、京都は21世紀にまた大きな花を咲かせることができると確信しております。
あとは、この花をいかに咲かせるかであり、まさに皆様の双肩にかかっています。
舞台は整いました。ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピック、ワールドマスターズゲームズin関西と、世界の目が日本に集まる中、人づくりを土台として、京都から文化の魅力を世界に発信していく、そういう年に今年はしようではありませんか。

写真:知事年頭挨拶2 しかし、その一方で、私たちの社会の底流に非常に危険な流れが生じようとしていることを忘れてはならないと思います。国際化や情報化が進み、家族形態や生活形態をはじめ社会の在り方が著しく多様化してきたことは、本来、多くの選択肢と可能性を与えるものですが、こうした多様な社会は従前の社会とは大きく異なっており、従来の地縁的な強い絆を核に成り立っていた「地域の力」、「自治の力」というものが低下し、これまでの制度や考え方では社会を支えきれない局面が現れてきています。

 少子高齢化によって「両親と子ども」という世帯は少数派となり、一人世帯、二人世帯が過半数となる中、孤立社会と呼ばれる社会が出現し、近隣や地域から忘れられた人たちが出はじめています。そうした中、SNSの発達は従来と違う広範囲の人々とのふれあいを可能にしたものの、不気味な匿名社会を登場させました。
神奈川県座間市のワンルームのアパートから9人もの遺体が発見された事件などは、まさに隣人への無関心、地域のつながりの希薄化という匿名社会を象徴する事件と言えると思います。

 また、国際化は、私たちの周りに言葉も慣習も違う人たちがいることが当たり前の世界を出現させました。そうした中で、このような多様性に対する拒否反応が世界中で出てきております。イギリスのEU離脱、メキシコとの国境に壁を築くというアメリカファースト、宗教を巡ってのテロの激化、移民排斥。日本も例外ではありません。ヘイトスピーチや神奈川県で起きた障害者施設における大量殺人など、他人に対する思いやりというより、自分と異なる人たちへのアレルギーによる事件には、背筋が寒くなる思いがいたします。

 さらに、子どもの貧困問題や東京一極集中と地方の過疎高齢化といった様々な格差の広がりが、人々の心を暗くしております。かつて均一社会と言われた日本に戻ることは、もうありません。人と人とが簡単に分かり合えた時代は、もう来ないかもしれません。そうした時代において、私たちはいかに生きていくべきなのでしょうか。

 昨年、日本の地方自治は70歳になりました。これを祝す地方自治法施行70周年の記念式典で、私は全国約1,800の地方公共団体を代表して決意を申し述べました。自治というものは、一人でできるものではありません。自治とは、一人ひとりが違いを乗り越え、相手を思いやる中で共通の未来を創ることであり、多くの人が相手を思いやって支え合って初めて実現されるものであります。少子高齢化や孤立化など多くの困難を克服するためにも、個々の地方公共団体が頑張ることはもちろん、都市や地方、規模の大小の違いを乗り越え、全ての地方公共団体が団結すべきであるということを表明させていただきました。
多様性というのは、可能性だと思います。多様性を認めない世の中は、未来を失うと思います。
だからこそ、多様な人々が支え合って暮らせる世の中、「共生社会」の実現を、昨年、府政の大きな目標に掲げさせていただきました。

 京都府では今までも、地域の力を取り戻すべく、地域力再生プロジェクトや府民公募型整備事業をはじめとして、多くの事業を展開してまいりました。警察行政においても、地域が一体となった防犯活動を展開してまいりました。昨年、京都の刑法犯認知件数は速報値で18,599件となり、戦後最低をさらに下回りました。私が平成14年に知事に就任したときの6万5,000件と比べると3分の1以下になりました。まさに、多くの府民の皆様と行政が力を合わせてきた成果であります。これこそ、私たちが目指していかなければならない「共生社会」であります。

 さらに、半公半Xの公共員制度やコミュニティ・コンビニの整備、子ども食堂や居場所づくりなどによる「こどもの城づくり事業」、地域包括ケア、女性活躍、農福連携など、昨年は多様な観点から「共生社会」の実現を目指してまいりました。エネルギー問題や環境問題、安全保障問題まで、人々の意見の分かれる問題が山積しております。
しかし、私たちはどういう京都を残そうとしているのでしょうか。意見の違う人たちを排斥する世の中でしょうか。増えつつある外国人を排斥する世の中でしょうか。高齢化時代にあって老人が邪魔にされる世の中でしょうか。子どもたちの笑い声が聞こえない世の中でしょうか。

 明治維新から150周年という節目を迎えるに当たって、京都の基盤が形作られた今、環境と共生し、外国の文化を取り入れながらも自己のものに昇華し、もてなしと気配りを大切にして、門掃き、打ち水から地蔵盆まで、優しさ溢れる京都を育んできたこの文化を日本全体に発信していく、これが私たち京都の責務ではないでしょうか。
今まで私たちは、個人の生き方や自由な価値観に踏み込むことを避けてまいりました。

 しかし、平成が終わろうとしている今、明治の坂の上の雲を見つめた時代から150年を経た今、私たちは、残したい京都の文化を自信をもってもう一度見つめ直し、発展させていくべきだと思います。
京都の宝は人であり、そこから生み出される絆や交流には、共生を支える大きな力があります。これからの京都が、この力を最大限に発揮して、地域の力を再び取り戻し、新たな時代を切り拓いていくように、皆様のお力添えをお願い申し上げます。

 そのためにも、日々頑張っていただいている職員の皆様には、何よりも心身共に良好な状態を保っていただかなければなりません。健康には万全の注意を払っていただき、日頃から職員同士がお互いに見守り合い、支え合って、仕事に取り組んでいただきたいと思います。

 今年の干支は「戌」です。前年の酉年は、いわゆる収穫の年と言われましたが、「戌」という漢字には、作物を刈りひとまとめにするという意味があり、戌年の今年はそういう新たな出発の年であります。府政の成果を収穫し、その果実を土台として今後のさらなる発展に向けて大きな一歩を踏み出す一年となるよう心から願い、新年のあいさつとさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

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