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コンテンツを学ぶ「勝手読書会」 第3回:ゲーム業界概観

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(令和3年2月24日、京都府ものづくり振興課)

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ものづくり振興課職員が、勝手なシロウト目線で、インターネットや書物で学んだことを紹介し合う「読書会」。第3回目は、ゲーム業界をさらっと眺めてみたいと思います。

コンシューマゲーム

足利)今回はゲームです。ゲーム担当の植村さんに今後ぼちぼち掘り下げていっていただくわけですが、まずは、初回は薄く概観を眺めてみたいと思います。

植村)はい。

足利)僕は小学生の時に、近所の駄菓子屋の前に、アーケードゲームと言うのかな、お金を入れて遊ぶ箱型の『ドンキーコング』があって、みんなで夢中になってやっていました。順番にプレイして仲間のみんなが取り囲んで見て・・・と。友達の顔を思い出す、なつかしいな。1981年に発売されたものだそうだから、ちょうどその頃です。

植村)そうですか。

足利)そのちょっと後くらいだと思うんですが、「ゲーム&ウォッチ」の『オクトバス』を買ってもらって、兄弟で繰り返し交代しながら遊んでました。そして、その次に「ファミコン」で、やはり、『スーパーマリオブラザーズ』とか、同世代みんなではまってましたね。同世代だけじゃないね、その時代の若い人みんなじゃないかと思うくらい。正月に親戚で集まる時でも従兄弟・従姉妹みんなでやってたもんね。なんか「昭和テイスト」全開だったなあ。

植村)そうなんですね。

足利)まあ、こんな感じで任天堂さんに育てられて大きくなったわけですが(笑)、2020年は『あつまれ どうぶつの森』が大ブームとなり、世界累計で2,600万本以上になったとかハードの「Nintendo Switch」も2016円の発売以来6,800万台を突破したとか、素晴らしいですね。

植村)ソニーも2020年11月から国内でのPS5販売を開始しました。

足利)PS4と比べてCPUの性能が2倍、GPUの性能は5倍になって、4K画質のブルーレイディスクを再生できるそうですな。

植村)レイトレーシングにも対応していて、光の反射や陰影をよりリアルに描写できます。

足利)レイトレーシング。光源から発せられた光のうち、目に届くものだけを求めることで、計算時間を短縮するというものですな。逆に目に届くものを全て求めようということでもあるけれど。よって、屈折とか全て求めるからかなりの計算がなされるはずだけど、それにも対応しているということですな。

植村)はい。ダウンロード時間も速く2GBのデータでも0.3秒かからないとか、コントローラーも振動をよりリアルに感じるものになっているとか、高品質性を一層追求されていますね。

足利)コンシューマ機を開発しているのは、任天堂、ソニー、Microsoft(Xbox)のみだもんねえ。ソフトはそれらに加えて、スクウェア・エニックス、カプコン、セガ、コナミとか馴染みのところがたくさんありますし、そこに提供するゲーム企業さんも京都を含めたくさんあり、日本は世界一のゲーム開発大国と言われていますね。

植村)スクエニの『ファイナルファンタジー』『ドラゴンクエスト』とか、カプコンなら『ストリートファイター』『モンスターハンター』、セガの『龍が如く』とか、いずれも根強いファンもいらっしゃいます。

スマホゲーム

足利)一方、2000年代後半からはガラケーのブラウザゲーム、さらに2010年代に入ればスマホの台頭によって、スマホアプリによるゲームやソーシャルゲーム(SNSをプラットフォームにしたゲーム)が多く出て、今で言うスタートアップ企業も登場してきました。

植村)mobage(DeNA)やGREEとか、Cygames(サーバーエージェント)、gumi、コロプラとか。あるいは『パズドラ』で一躍有名になったガンホー・オンライン・エンターテイメントとか。

足利)そうそう。こうしてスマホゲームが台頭し始める時期だったので、「京都ゲームフェスタ」で、スマホゲームで地域おこしができないかと、スマホゲームを地元京都のゲームクリエイターに開発してもらい、嵐電(京福電鉄)沿線を巡りながら、スマホアプリで現地の謎解きをして回るというイベントをしました。映画村(株式会社東映京都スタジオ)さんの、今、社長をなさってる大守さんに協力いただき、仮面ライダーを題材に使わせていただいて。

  

植村)そうだったのですね。

足利)限られた予算と時間の中での開発、テストは大変だったし、広報のお金もなかったので、宣伝のために休日はサンドイッチマンをしながら嵐電に乗ったり、商店街でPRイベントしたり、チケットの販売も嵐電さんや大垣書店さんらに協力してもらったり、いろいろしましたよ。もちろんガチャ課金なんてできないので、ワンコインの有料ゲームとしました。

植村)今や「基本無料+ガチャ課金」が定番ですけど、もともとは、『パズドラ』も有料アプリだったところ、キャンペーンで無料販売にしたのがきっかけで人気が爆発したと聞いています。

足利)そのようですね。そのように、まだ手探りの時期でしたし、黎明期のスマホアプリ・ワークショップとして課題を把握できたという点では大いに意義があったと思います。

植村)それでどうしたのですか?

足利)スマホゲームやPCゲームなどのインディーゲームの市場のプラットフォームが、欧米にはあるのに日本にはなかったんです。その時、ちょうどQ-gamesさんがゲームクリエイターの交流会として「BitSummit」を開催されたと聞いて、それをB2Cのイベントに拡大し、作品に対するアワードも創設できないかというお話をしました。そうして、「BitSummit」を通じて一緒に市場形成を目指していこうと共催することとなったのです。

植村)今や国内のコンシューマーゲームの市場規模が4,000億円弱なのに対し、スマホゲームは1兆円をこえています。

足利)『マインクラフト』なんか、インディーゲームから発して、あの『テトリス』に次ぐ、世界2位の累積売上本数だもんねえ。

植村)そうですね。

PCゲーム

足利)こうして盛り上がってきたのは素晴らしいし、BitSummitのアワードがビジネスでも役に立ったという話も、現在Skeleton Crew Studioの社長をなさっている村上さんもおっしゃってくださってましたね。ただ、こうして盛り上がってきたということは、インディーゲームなのにメジャーな市場となり、競合もたくさん増えたということであり、埋もれてしまいがちです。マンガやアニメの有名IPタイトル(Intellectual Property)と組んだものなんかでないと、なかなか難しい時代になってきているとも聞きますね。

植村)ただし、2020年は、インディーズの同人サークル「えーでるわいす」が開発した『天穂のサクナヒメ』が話題になりました。

足利)「攻略には農水省のホームぺージがいい」とか、稲作パートが本格的でSNSで話題になったものですな。そういう話題性が不可欠な時代かもしれないですね。「基本無料+ガチャ課金」という仕組みにおいて、課金する人はだいたい1割くらいだそうなので、高いゲーム品質と話題性で多くのユーザーを獲得しないといけないという厳しい現実はあります。

植村)そうですね。

足利)PCゲームでは、「Steam」がよく用いられていますね。専用の無料SteamクライアントソフトをPCにインストールすれば、ゲームのインストール、ゲームプレイ、アップデートをこのクライアントソフトだけで行え、PCゲームに特化したApp Store、Google Playといった感じ、PCゲームのコンシューマーゲーム機といった感じです。同時ログインはできないれど、他のPCでも自分のアカウントでログインすればプレイできるしね。

植村)ゲーム情報の交換するコミュニケーション機能もありますし、頻繁にセールが行われており安くゲームを買えたり、ダウンロードなので売り切れの心配もないというのも良いですね。

足利)安くできるのは、ダウンロード販売なので、パッケージ費用や流通コスト、在庫コスト、広告コストが抑えられているということもあるんでしょうな。

植村)ただ、Steamを運営しているValveはアメリカのゲーム会社なので、日本語対応していないタイトルが多いですし、日本では販売できないものも多いです。

足利)ゲームメーカーからしても、収益にならない中古品市場よりは、まだこちらの方が収益になるので、値下げに応じやすい一方、小売店にパッケージソフトを売り切り方式で販売している手前、競合するSteamで販売しにくいなど様々な事情もあるんでしょうね

ブロックチェーンゲーム

植村)ところで最近は、ビットコインなどの仕組みを支える、すべてのやりとりが記録される技術であるブロックチェーンの技術を用いた「ブロックチェーンゲーム」なるものも出てきています。

足利)ゲームの開発運営企業に閉じられた情報がオープンになるというものだね。ガチャの確率やレアアイテムの排出率等がプレイヤー側でも確認できることでレアアイテムの価値がさらに高まったり、記録されているから異なるゲームをまたいでアイテムを使うことができたり、といったものですな。

植村)なので、アイテムの売買等でユーザーが稼ぐことにも繋がるだとか。

足利)コンシューマーゲームはともかく、スマホゲームやPCゲームで、オンラインに必要なサーバーの維持管理コスト、それをカバーする課金システムなどで課題もある中、もしかしたら一つの解決策になるのかも・・・ですが、まだ黎明期なんでしょうね。今後が楽しみですな。

植村)サーバー関係は、クラウドクリエイティブスタジオさんが得意ですね。

足利)そうそう!

 

<参考文献(ウェブサイト)・引用文献(ウェブサイト)>

  • マイウェイムック 2021年ゲーム雑誌が語らないゲーム
  • ファミ通.comウェブサイト
  • 矢野経済研究所リリース
  • アニメ&ゲーム 大ヒット『天穂のサクナヒメ』“ガチすぎる”稲作は「加減わからず」、インディーズだから貫けたゲーム開発の信念

 

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