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京都府の産業支援について

京都府の産業支援についてタイトル

リキュール大
令和3年度主要事業体系
コロナ 食品鮮度保持 チャレンジバイ クリーンボイス 商談ナビ バーチャルパーク 文化イベント
挑戦 スタートアップ 承継 知恵の経営 ロボットセンター 北部産業創造センター 国家戦略特区
協創 引き継ぎ 文芸理 助け合いの輪 コロナ補助金取組例 各補助金 北部
産業コミュニティ 食 ライフ ものづくり スマート 脱炭素 メディアコンテンツ
次世代 ネイチャーパワーテクノロジー サイバーフィジカルメンタル
京都企業紹介(業種別) 京都企業紹介(五十音順) 知の京都

目次
 

2020年代—

全世界を巻き込んだパンデミックによって、仏教やギリシア哲学が誕生した3,000年前の枢軸時代、フランス革命や産業革命が起こった近代に次ぐ、第3の意識革命が人類に起きていると言われています。危機が、脱炭素や貧困問題、人口減少など積年の社会課題解決への人々の意識を高め、国境を越えた競争やデジタル化等の技術進展が一層加速しているため、従来の技術や製品サービスでチガイを生み出し続けることが困難となる一方で、サスティナブルの視点、地球規模での全体最適の視点を備え、共感やアハ・モーメント(熱狂)を生み出していくことが求められています

こうした時代を乗り越えるためには、まず、グローバルで通用するハイクオリティを追求する「イノベーション(新結合)」の創出が重要となっています。未解決のアンメットニーズの具現化や、データを活かしたインタラクティブ性を備えた「テクノロジー」、ターゲットに特化し劇的にシンプル化することで、これまでにない体験を実感できる「ビジネスモデル」、需要や供給の好循環を生む、あるいは需要と供給を最短でつなぐ「プラットフォーム」など、"用美兼備"に代表されるように技術・アイデアを重ね合わせて新しい価値を生み出す必要があります。
例えば「ネイチャーテクノロジー」。自然に多く残されている未解明の機能と先端遺伝子技術の組み合わせによって、まさしく自然由来の優れた材料を生み出す研究が進められており、「眼前の自然」が「石油」「データ」に続く第三の資源となり、日本を「資源大国」に押し上げるものと期待されます。
あるいは「メンタルテクノロジー」。アフリカ大陸と南アメリカ大陸の海岸線の形を「地図」というデータで眺めて初めて、かつてはそれらが一体であったと発見できたように、データ化は人類に見える景色を一変させましたように、データと自動運転・自律ロボットを融合させるデジタルツイン(サイバー・フィジカルシステム)に、人の心(メンタル)を最適に融合させることで、京都の強みである「おもてなし」を一層昇華させられるといったことも期待されます。

こうしたイノベーション、特に業界を一変させるような破壊的イノベーションほど、「既知(気づいている)の未知(理解できていない)」「未知の未知(気づきも理解もできていない)」領域へのアプローチが必要であり、それは容易ではありません。かつて自動車が世に投入された際、馬車の延長線上である「速さ」では評価されず、馬車では不可能な「遠距離」へ行けるという価値が理解されてようやく、馬車の時代は終焉し、自動車の時代が到来したのです。従って、多様な交流・連携の中から課題を発掘し、価値を重ね合わせ、概念実証や機能を明確に認識できる試作品づくりを徹底的に行うことが不可欠となっています。

これからの時代に必要なもう1つは、コミュニティで支持されるローカルクオリティを追求する「プロセスエコノミー」の追求です。できあがりのアウトプット、すなわち、技術や製品サービス自体において差別化が困難になるからこそ、そこに込めたストーリーや意味、哲学こそが重要となってきます。それらはコピーできないオリジナルだからです。創造的でワクワクする未来のために作りたいものを作り、自分のこだわりや多少の失敗をさらけ出しながら、ユーザーをファン、セカンドクリエーターとして巻き込み熱量を上げていきつつ、プロとして責任感を持ってやりきることであり、心技体(Why・How・What)一体となった姿勢が求められています。

そこで、京都が育んできた人真似をしない経営精神、世界に誇る先端研究、精緻なものづくり技術の追求に更にこだわるとともに、伝統産業からハイテク産業、コンテンツ産業に至る多彩な業種間や産学公、さらには京都の歴史・文化・自然の力も加えた「新結合」によって、付加価値の高い新産業の創出を図ることで、京都経済を支え、世界をよりよい場所にするために、各種施策を展開してまいります。
令和3年度ものづくり振興課主要事業体系(PDF:353KB)

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起業スタートアップ支援

起業

世界各地で起こっている異なる文化や技術の融合

果樹園が広がり学生の就職先が乏しい地域であったため、起業を推奨したスタンフォード大学ターマン教授の教え子が1932年にヒューレット・パッカードを設立、さらにはトランジスタの発明でノーベル賞を受賞した1人ウィリアム・ショックリーが1956年に半導体研究所を設立したのがその起源と言われ、Yコンビネーターや500スターアップなどのアクセラレーターという新たな機関をも生み出したシリコンバレー。1999年の巨大なインキュベーションCICの設立を皮切りに、たった20年足らずでバイオやロボットの世界的な集積地となったボストン。香港の加工貿易を支える製造拠点から、北京オリンピックの頃を境に人件費高騰による空洞化に対応するようにIT、金融、バイオ、エネルギーなどの新産業拠点に様変わりしたシンセン。

言わずと知れた世界的なスタートアップの街ですが、今や、どこかの中心地が世界をリードする時代は過ぎ、世界中で異なる文化や技術の融合を原動力にイノベーションが生まれています。

教育機関としても技術の導入先としても軍隊の果たす役割が大きなイスラエル。USBメモリーの発明や、自動運転の肝となる画像認識チップを手掛けてインテルに買収されたモービルアイが有名です。ライドシェアサービスの普及に当たり、職を失いかねないタクシードライバーに自社株を配ることで、彼らが積極的に顧客を呼び込む仕組みを生み出すといった大胆な発想と行動力のあるスタートアップ企業も存在感を発揮しています。

「2000年問題」でITのアウトソーシング先として一躍有名になったインド。今やグーグルやマイクロソフトのCEOも輩出し、特に2014年発足のモディ政権がスタートアップ政策を打ち出すとともに、旧高額紙幣の廃止に伴う混乱を契機にキャッシュレスを推し進めるなど、先進国が一歩ずつ歩んできた進歩の段階を一気に飛び越える「リープフロッグ」を起こしやすい環境にあります。BtoCが多い中国と比べ企業向けのBtoBのスタートアップ企業が多い一方、ハイエンドでかつ安価な医療ビジネスも生まれているそうです。

アルベルト・アインシュタインが生まれ、欧州最大のフラインホーファー研究所が本部を構えるドイツ。世界三大発明の一つ「活版印刷」だけでなく「コンピュータ」も生み出した発明の国であり、芸術家が集まる街の強みを発揮し、製品のUXデザインに定評があります。日本と同様ハードウェアに強みを有する国ですが、ベルリンは年間500社のスタートアップが生まれているそう。マイクロアントレプレナー、ライドシェアやゼロエミッションなど循環型経済に関するもの、ブロックチェーンなどのITビジネスに関するものが多いのが特徴。「アートの街」「テクノ」「クラブ」のイメージが強く、世界最大のハッカー集団「カオス・コンピュータ・クラブ」に象徴されるような、近代資本主義の歪みやGAFAMの「情報の中央集権主義」への反発心など、アンダーグラウンドな雰囲気が若者を魅了しており、25%が外国籍、6割が宗教登録をしていないといったように多様な集積がその原動力となっています。

 

京都の先輩スタートアップ企業

一方、京都においても、今やグローバルで活躍する多くのスタートアップ企業を輩出してきました。

1869年(明治2年)、明治維新による東京遷都に危機感を覚えた京都の人々は教育と科学技術による産業振興を行いました。町衆が私財を投じることで小学校を創設、京都府においても、1870年の舎密局(せいみきょく:舎密はオランダ語で「化学」)のほか、博物館、女紅場、画学校、外国語学校、貧民授産所などを次々と設立するとともに、灌漑、上下水道、精米水車、水運、防火、世界で二番目の水力発電による工業振興を目的とする琵琶湖疎水建設(この電力によって、京都・伏見間で日本初の電気鉄道開業)や、京都商工会議所創設、第4回内国勧業博覧会開催などを進めました。舎密局では、陶磁器、ガラス製造などの理化学、印刷技術等を学生に教え、その中には、1875年(明治8年)に島津製作所を創業した初代島津源蔵氏もいました。

  • 株式会社島津製作所
    1875年、教育用理化学器械製造で創業。現在は、分析・計測機器(光吸収分析装置、環境測定機器など)、医用機器(デジタルX線システム、医用画像機器PET・CTスキャナシステム、超音波診断システム)、産業機器(半導体製造装置等の油圧機器、携帯電話等に使用する成膜装置)など。
  • 株式会社ジーエス・ユアサ コーポレーション
    X線写真撮影に成功した島津製作所の2代目島津源蔵氏が、1895年に日本初の鉛蓄電池を製造したのが起源(GSは「Genzo Shimazu」のイニシャル)。現在、産業用電池、自動車電池、電力貯蔵用電池、燃料電池、特殊電池など。特に自動車・二輪車用の鉛蓄電池のシェアは国内トップ、世界でも第2位。
  • 株式会社任天堂
    1889年に花札の製造・販売からスタート。戦後、トランプ、玩具、ゲームメーカーへと変遷。
  • オムロン株式会社
    1933年創業で、レントゲン写真撮影用のタイマー、家庭用電子血圧計などを開発していました。戦後の高度経済成長下、鉄道の混雑が大きな社会問題になる中で、世界に先駆けて自動改札機などを開発。現在、制御機器・ファクトリーオートメーションシステム事業、電子部品事業、車載電装部品事業、健康医療機器事業、社会システム事業等を展開。

 

戦後、京都でも食糧増産などの国土復興に向けた取組が進められましたが、国家レベルでは、戦災復興でインフラが整備され始めたこと、1950年勃発の朝鮮戦争による特需で得た外貨を元手にした設備投資による生産増大、労働組合をバックにした賃金上昇による購買力増大がかみ合って、1956年度から1973年度まで実質GDP増減率が平均9%を超える「高度成長期」が始まりました。この間、1964年開通の東海道新幹線、1965年全線開通の名神高速道路などのインフラ整備、1964年開催の東京オリンピック、1970年開催の大阪万博などの特需もあって、神武景気(神武天皇即位以来の好景気という意/31ケ月)、岩戸景気(神武天皇よりさらに遡って、天照大神が天の岩戸に隠れて以来の好景気という意、42ケ月)、いざなぎ景気(いざなぎとは、日本神話で、天つ神の命をうけ日本列島をつくったとされる男神/57ケ月)といった好景気が続き、1960年から10年間で所得を2倍にするという所得倍増計画が7年間という短期間で達成されました。資源や食料を輸入に頼る中、主な輸出品目は繊維・織物関係であったものの、インフラ整備、特需、所得増大等を背景に、鉄鋼・造船・化学などの重化学工業や、三種の神器(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)、3C(カラーテレビ、クーラー、自動車)などの耐久消費財市場を担う電機産業、自動車産業が大きく伸び、1968年には、西ドイツを抜きGDPベースで世界第2位となりました。一方で、公害や環境破壊、東京一極集中による地方の過疎化、大企業と中小企業の二重構造(1956年下請代金支払遅延等防止法、1963年中小企業基本法、1970年下請企業振興法)が進みました。

  • 株式会社村田製作所
    1944年創業。当時の数少ない娯楽だったラジオの温度補償用に使われた円筒形の磁器コンデンサを製造。現在は、セラミックが持つ優れた高周波特性を持ち、小型で大容量を実現できる積層セラミックコンデンサーで世界一。その他、表面波フィルタ、MEMS センサ(加速度センサ)など。
  • 株式会社堀場製作所
    創業者の堀場雅夫氏は学生時代に原子核物理を研究していたものの、GHQによって原子核の研究を禁止されてしまったため、1945年、コンデンサー事業で創業。現在、自動車計測システム機器、環境・プロセスシステム機器、医用システム機器、半導体システム機器、科学システム機器等の事業を展開し、特に、エンジン排ガス測定・分析装置(分子の赤外線吸収を利用した計測方法で成分検出する仕組みなど)分野で世界トップシェア。
  • ローム株式会社
    創業者の佐藤研一郎が、大学在学時に考案した「炭素皮膜抵抗」の特許を元に1958年創業。現在は様々な機能を顧客の要望に応じてカスタマイズする「カスタムLSI」が主力で、国内の集積回路のトップシェアを誇る。また、高速動作、低抵抗、高温動作によってエネルギーロスの大幅削減をもたらすSiCにも注力。
  • 京セラ株式会社
    1959年、ファインセラミックス製造業として設立。現在の事業領域は、さらに情報機器、半導体部品、電子デバイス、太陽光発電、医療、ヘルスケア関連に及ぶ。

 

1973年2月の固定相場制から変動相場制への移行に伴う為替差損による輸出産業の大打撃、同年10月の第4次中東戦争を発端とする中東産油国の原油輸出制限に伴うオイルショック(原油価格の大幅上昇)による総需要抑制政策などの結果、1974年には実質GDPが戦後初のマイナスとなり、1974年度から1990年度まで実質GDP増減率約4%の「安定成長期」へと移行しました。税収不足により1975年度から赤字国債が発行され恒常的な財政赤字が始まりましたが、産業界は、そうした危機を乗り越えるため、工場の海外移転、経営の合理化・省エネ、素材産業や重厚長大産業からエレクトロニクスなどのハイテク産業への構造転換を進めました。京都においては、1978年の提言を皮切りに関西文化学術研究都市、1981年に京都縦貫自動車道の建設がスタートしています。
しかし、1985年のプラザ合意に伴う急激な円高で、工場の一層の海外移転が進み、産業の空洞化が生じる一方、政府・日銀は、円高対策(金利の安い円から他の通貨への変換による円安を促す)と、内需拡大(低金利で資金を借りて設備投資を促す)のための低金利政策を採った結果、資金が設備投資だけでなく、株式や土地投機にも使われバブル経済が発生しました。またこの頃、行政改革の一環で、1989年の消費税導入、国鉄や電電公社の民営化が行われました。

  • 日本電産株式会社
    1973年設立。スマートフォン、PC、車などの様々な用途に使われる精密小型モータで世界を席巻。

 

1989年に日銀が行った金融引締め(金利の段階的な引き上げ)、1990年に政府が行った総量規制(土地関連融資の抑制)というバブル経済抑制策をきっかけに、バブルが崩壊。途中、米国中心に起こったインターネット・バブル(2001年の世界同時多発テロもあって崩壊)、いざなみ景気(いざなぎの妻、いざなみから命名/戦後最長の73ケ月)、アベノミクスによる好景気(71ケ月)もあったものの、現在に至るまで実質GDPは漸増で推移しています。この間、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災が起こり、2020年には新型コロナウイルス感染症の感染が地球規模で拡大しました。

 

地域の発展・課題解決のために-- 世界観と社会実装

こうした、チャレンジ精神旺盛な風土、優秀な大学や学生の存在、若手を助ける旦那衆などの相互扶助のシステム、ユーザーが地元にはいない故に最初から世界を目指した多くの先輩スタートアップ企業を生み出してきた京都の土壌を活かし、人口減少、グローバル競争や新たなテクノロジーの登場サイクルの加速化など厳しい環境に置かれる地域経済を新たな観点で導くとともに、パンデミックを契機に一層求められている地域社会の課題解決を進めていくためには、柔軟な発想と優れたテクノロジーでイノベーションを生み出すスタートアップ企業の集積・育成を図り、京都産業の厚みを更に増していくことが重要です。

しかし現状としては、世界に水をあけられている日本
ナスダックの時価総額の中央値が500億円だとすると、東証マザーズは50億円。日本の開業率は5.0%(京都4.3%)、廃業率は7.6%(京都7.4%)(2016年経済センサスから便宜上算出した数字であり、支店等の開設廃止も含むため、起業・廃業の実態とはややかけ離れています)。

なぜか?
「破壊的イノベーション」など未踏の領域へのアプローチを試みるため、一般の中小企業とは異なる課題を抱えるスタートアップ企業からよく挙がるのが「資金がない」「販路が拡大しない」「人材がいない」「開発場所・機材がない」の4つの「ない」。実際、大学発スタートアップ企業ですら、ベンチャーキャピタル(VC)が最大の投資者になっているのはわずか4%とも言われます(2019年度経済産業省大学発ベンチャー実態調査)。しかし、起業前の段階でその事業の将来性をしっかり検討できていたのかということに収斂されるのではないでしょうか。
では、スタートアップ企業に必要なものは何か?何よりもまず、人々を魅了する「世界観(ピクチャー・ビジョン)」。次に、ユースシーンを描くということ。そして、局地戦で勝てる市場獲得戦略(ランチェスター戦略)、そのための社会実装のための低コスト化・認知向上や、他者との協業のために求められる強みを磨くこと(比較優位の原則)。以上のために徹底して合理的に判断すること(概念実証)。
例えば「資金」。投資するVCの視点では、将来どのくらいの企業価値(バリュエーション)でエグジットできるかが重要です。なぜなら、VC自身も機関投資家から資金調達をしてファンドを立ち上げており、その取り分がエグジットの際に投資金額を上回った分のうちの2割程度に過ぎないからです。従って、将来のバリュエーションを見極めた上で、研究(魔の川)や起業のためのシードマネー、開発(死の谷)・事業化(ダーウィンの海)のためのシリーズA、競争(顧客拡大)のためのシリーズB、安定経営のためのシリーズCなど各ステージの必要資金等を逆算していくことになります。その算定方法にはDCF(割引キャッシュフロー)によるもの、PER(株価収益率)によるもの、売上額に一定倍率(5倍など)を掛けるものなど国や業界によって様々です。例えば医療機器では、薬事対応、販売対応などが必要なため、スタートアップ企業では難しい黒字化も、体制の整った大企業に買収されればすぐに実現できる事情などから、海外ではPERで無理に黒字化を目指すよりも売上倍率での算定が通例となっています。なお、事業会社からの投資の場合は、お墨付きを得る意味でも有意義ですが、自社事業とのシナジー効果狙いが多いこと、連結対象にしたくないため持ち分比率を15%以内に抑えたい場合にはバリュエーションの不必要な拡大に繋がりかねないことなど、留意することが必要です。また、創業者の持ち分比率を気にする方がおられますが、創業者が拒否権を持つ優先株が有効に使えれば、むしろエグジットの際の持ち分を気にするべきかもしれません。
あるいは「販路」。そもそも努力して売るのでなく、黙っていても売れる「セクシーな商品」を目指さなければなりません。なぜなら、先の資金調達の実情のとおり、市場の分析が不十分な「販売リスク」のある案件は論外だからです。VCがリスクを負えるのは、「開発リスク」だけで、それとても、例えば医療機器でクラスⅣの開発リスクの高い製品の場合には、大きなリターンが見込めないと資金調達が難しいのです。たしかに、ニーズドリブン(マーケットイン)で顕在需要に対応する医療機器等と違って、創薬その他多くのスタートアップ企業が目指す、アンメットニーズ(ウォンツ)、潜在需要を具現化するテクノロジープッシュの分野では、「破壊的イノベーション=発明(潜在需要×解決策(アイデア×テクノロジー))×社会普及」の公式からも分かるように、「偶然性」が付きまといますので、ネットワーキングパーティーのような出会いの場を増やすことがエコシステムとして重要です。しかし、何よりも、早い段階で市場規模を見定めねばなりません。ライフサイエンス分野であれば、「命までの距離」が遠いテーマを解決する商品ほど、価格が低くマーケティングや販売戦略の重要性も増すものの、技術、薬事、保険償還、ビジネスモデル、特許などの「解決策(アイデア×テクノロジー)」の検討の前に、病態の深掘(発生機序の解明)、市場分析(セグメント別ユーザー数)、ステークホルダー分析(ユーザーの満足度)という市場の吟味・評価を徹底的に行わねばなりません。

 

世界に伍するスタートアップ・エコシステム

そこで、「アイデアや技術を持つ起業家」「リスクを見越した適切な指導を行える先輩起業家、リスクのある中で投資する投資家」「スタートアップ企業のプロダクトを使い、買収し、または人材を供給する地域企業」のトライアングル(エコシステム)を充実させることが必要であると考え、

  • 2018年に、起業家等の産業人材の育成や産学公連携、重要な社会課題であるスマート社会の形成のためのオール京都のハブ機能として「一般社団法人京都知恵産業創造の森(外部リンク)」を設立、
  • 2019年に、交流機能「オープンイノベーションカフェKOIN」(外部リンク)、連携支援機能(40以上の多様な経済団体が集積)、人材育成・ビジネス創出機能(20以上の会議室等)を有するオール京都の産業支援拠点として「京都経済センター(外部リンク)」を開設、
  • 2020年に、オール京都体制をさらに拡充するため、府内各地の約30の支援機関で「京都スタートアップ・エコシステム推進協議会」を立ち上げ、
  • 同年さらに、オール京阪神体制として「大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム」が、国の「世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」におけるグローバル拠点都市の選定を受け、施策の相互乗り入れや情報発信の強化

に努めてまいりました。

こうした結果、KOINの利用はコロナによって大きく減少しつつも2019年のオープン以来の累計で34,000人を超える利用があり、2020年度の京都全体におけるピッチ会・プログラム等の年間開催回数は150件(参加者延3,700名)を超え、40を超えるスタートアップ企業が新たに輩出でき、現存企業数も380社を超えています(独自調査)。
企業の業種別では製造業が4割、情報通信業が3割、分野別ではライフサイエンス、ロボット・ものづくり、AI・IoTがいずれも約100社ずつと、ものづくりに強い「京都らしさ」が反映されています。また、資金調達が数十億円に上るものづくりスタートアップ企業も幾つか出てきており、中には100億円を超えるもの、時価総額で200億円を超えるものも生まれてきています。
さらに、府外から京都に拠点を移すスタートアップ企業、支援者も散見されるようになり、新たな支援団体も立ち上がってきており、徐々に「集積が集積を呼ぶ」状況が生まれつつあります

 

世界の課題をエコシステムの力で解決

引き続き、「最先端研究(0→1)、起業家(1→10)、事業会社(10→)」という一連の事業化・産業化フローの幅を広げることが重要であり、2021年は、

に重点的に取り組んでいるところです。

 

施策

承継事業承継・人材支援

 京都起業・承継ナビオール・京都の支援情報ポータルサイト 事業承継税制金融支援 batonz

 

事業継続・創生支援センターによる京都式第三者承継マッチング

既に日本の経営者の平均年齢は60歳を超え(京都府は60.1歳)(外部リンク)60歳代の経営者の約5割、70歳代の約4割が後継者不在(外部リンク)という状況です(帝国データバンク調)。

京都府では、全国に先駆け2013(平成25)年度から「中小企業事業継続・創生支援センター(外部リンク)」を創設し、「事業承継」の支援、その中でも最も困難な問題と言える後継者不在企業への「後継者マッチング」に取り組んでまいりました

  • 「事業承継」は、単に企業の経営上の問題だけでなく、経営者とその家族、親族との相続税その他の財産問題、人間関係上の問題など課題は幅広く、業務改善や社内統制などの経営支援から税務、財務、法務等の専門知識まで幅広いサポートが必要であり、これまで金融機関、商工会・商工会議所等とも協力し、累計で、13,000件を超える相談、6,000社・者を超える事業承継診断を行ってまいりました。
  • 「後継者マッチング」については、そもそも後継者不在情報が取引や資金獲得上の信用失墜の恐れから表面化しにくいため、後継者不在企業を探すことも、後継者候補を探すこともいずれも容易ではありませんが、当日まで企業名を伏せて行うマッチングイベント「未来ミーティング」の開催や、インターネットによる後継者募集企業情報の発信(外部リンク)などによって、累計260件を超えるマッチングを実現してまいりました。しかも、経営者を突如交代するものでなく、後継候補者を入社させ、育成してから交代する「京都式」第三者承継として、幹部候補人材も含めた幅広い人材マッチングを行っています。

なお、人手不足著しい昨今の情勢に鑑み、こうして培ってきたノウハウを活かして2021年度から副業・兼業人材のマッチングにも着手し、既に50件以上の利用があります。東京等のWebデザイナーやコンサルタント等を使って、通販サイト制作や教育のAI化を進める例などが生まれています。

 

事業引継ぎ支援補助金による事業承継型M&A支援

一方、府内事業所数は113,774(2016年経済センサス)でありますが、対2012年比率は96.5%で、もっとも大きく減少しているのは製造業89.1%です。エリア別内訳では、京都市内70,637(対2012年比率96.2%、同製造業88.4%)、山城21,882(99.0%、96.5%)、南丹5,194(97.1%、95.3%)、中丹9,066(97.1%、91.3%)、丹後6,995(90.7%、81.8%)となっており、事業所数減少の最大要因は繊維工業の減少と見込まれます。

こうした中、新型コロナウイルス感染症による経済への打撃によって、廃業の増加が懸念するところです(2020年の府内休廃業・解散790件(前年比114.6%)、倒産253件(前年比105.4%)。東京商工リサーチ調)。廃業時の従業員数の平均は約3名弱、往時で6名弱の小規模企業が大半であり、9割以上の経営者が後継者を探さないという状況(外部リンク)です(日本政策金融公庫調)。こうした実態から、廃業による周囲への影響が少ないケースが多いとも言われる一方、従業員の雇用の場の確保や、地域経済やサプライチェーンにとって貴重な財産である培われてきた技術・サービスの引継ぎは重要な課題です。

そこで本府では、今年度(2021年度)から、「中小企業事業引継ぎ支援補助金(外部リンク)」を創設し、本来、景気後退期など買い手企業の買収意欲が弱い時期はM&Aは進みにくいものですが、コロナの影響を受ける厳しい状況の中にあっても、事業譲渡や廃業・縮小等の意向を持つ府内中小企業を引き継ぐ中小企業を応援するための補助制度を開始しました

  • M&Aで実際に取引が成立するのは、相談案件、売買プラットフォームの登録案件のうち、せいぜい数%~1、2割とも言われています。成長市場・高利益率の業種は当然ですが、継続的に売上がたつストック型ビジネス、規模のメリットが働きやすくて寡占化が進んでいない業種、あるいは人手不足の業種など、比較的サービス業やIT関連が向いているのに対し、設備投資が大きく、ニッチ部品を扱うケースも多い製造業は特に難しいとも言われます。そこで、規模のメリット(同業種)や範囲のメリット(異業種)を活かせる「買い手企業」などに繋いでいくことが重要です。
  • また、特に中小企業のM&Aは、敵対的買収や乗っ取りといったものではなく友好的なものである一方、会計書類が公開で会計監査もなく、内部統制も十分ではない、あるいは属人的な要素が強い故に買収後に社員が辞めるケースがあるなど、容易ではありません。そこで、「売り手企業」は、逆に以上の内部統制をしっかりしておくことが重要です(2020年に、国内でも「表明保証保険」が登場)。

 

「親族承継」と「第三者承継・M&A」の企業評価の違い

事業承継は、「経営(代表者)の承継」(親族承継や第三者承継)、「所有(株式)の承継」(MBO(経営陣による買収)やM&A)のほか、中小企業の場合は「代表者個人資産(会社に提供しているもの)の承継」が絡まり合いながら、売り手(企業)、買い手(後継者・企業)間で取引を行っていくこととなりますが、その価格の非公表性や算定ノウハウ不足などが第三者承継・M&Aの難しさの要因の1つです。

  • その価格は「契約自由の原則」により本来自由ですが、「親族間における非上場株式の評価」については、その例外として租税公平主義の見地から、租税負担を回避する取引は認められておらず、同族株主の有無や個人・法人の別などによる細かな計算方法が税務基準で定められています。
  • その他の「純然たる第三者」の場合は「契約自由の原則」どおり、当事者間での合意によることとなります。M&Aの場合は、時価純資産額(コストアプローチ)、類似事例額(マーケットアプローチ)、将来収益額(インカムアプローチ)など様々な理論がありますが、中小企業の場合は、「時価純資産額+営業権(営業または経常利益×数年分(業種による))」が目安とされるケースが多いです(最近は、事業引継ぎにもAIの活用による効率的な手法(外部リンク)も登場)。
  • なお、MBOの場合には、資力を補填するためファンドを活用されるケースもあります。GP(無限責任組合員=運営者)は、LP(有限責任組合員=投資家)の協力を得てファンド(投資事業有限責任組合等)を組成し、キャピタルコールと言って、投資案件ごとにSPC(特別目的会社)を設立して、ファンド出資とLBOローン(金融機関借入)を行い実行します。

 

事業承継施策
人材支援施策
子ども・学生向けセミナー等レポート(一部)
参考情報

戦略戦略・知財支援

京都企業紹介(業種別) 京都企業紹介(五十音順)

 

需要の変化に対応する「事業転換」と危機への備えのための「工程変革」

5Gや脱炭素関連技術の実用化・グローバル競争の加速、コロナによる巣ごもり需要の増加を背景にした法人税の増加により、2020年度の国の税収は過去最高を更新する見込み(60.8兆円)ですが、そもそも利益計上法人は法人数全体の約3割にとどまり、残る7割が欠損法人である(外部リンク)日本の実情を反映するかのように、2020年度の国内総生産GDPの対前年比(実質/速報値)マイナス4.6%となり、リーマンショックが起きた08年度のマイナス3.6%を上回り、比較可能な1995年度以降で最大の下落となってしまいました。2021年の基準地価も全国平均で前年比0.4%と2年連続で下落し、コロナ対応で世界中にあふれた金融緩和マネーの流入も東京圏以外は弱い状況です。

今回の新型コロナウイルス感染症と同じく、世界全体に、多くの業種に、そして個人の生活にまで影響を及ぼした事件は、オイルショックではないでしょうか。国内では石油依存を抑制するための「省エネ」が叫ばれ、企業は人件費削減、不採算事業の整理、投資の削減など「経営の減量」を進めました。その結果、日本の省エネ対応の半導体や、従前よりガソリン税が高かったこともあってもともと燃費の良かった日本車の人気が、海外で高まるとともに、エネルギーを大量に使う鉄鋼産業や、化学産業、電機産業に代わりエレクトロニクス産業へと構造転換が図られました。

では今回はどうか。企業に求められる1つ目は、「減量」ではなく、事業ポートフォリオの変換や利益構造の変換など広義の「事業転換」なのでしょう。なぜならば、人流抑制による行動変容や、価値観の変化により、需要そのものが変化した(やがて来るべき変化が前倒しでやって来た)からです。人流抑制に伴うマイナスがある一方、巣ごもり・テレワーク関連をはじめとするプラスの需要、グリーンリカバリーなど価値観の変化に伴う需要が生まれているほか、マイクロツーリズム、リモート診療(新型コロナウイルス感染症が収束するまでの特例措置(外部リンク)で、9割の医師がリモート診療に携わっているとも言われる米国など海外に比べ診療報酬の安さ等が課題。オンライン診療医療機関情報(外部リンク))など今後の変革が期待される動きもあります。

そして2つ目は、危機への備えとしての「工程変革」です。非対面・非接触技術の活用をはじめ、感染症対策の観点で安全・安心な職場環境、サービス提供環境を構築することはもちろん、グローバリゼーションの停止、生産の大規模な国内回帰といったサプライチェーンの大変革は今のところ見受けられないものの、調達方法、営業方法、供給方法などの見直しが必要となっています。コロナの巣ごもりにより一部には所得の蓄えが増加した層があり、購買意欲が高まっているものの、半導体不足によって旺盛な需要に応えられない状況が生じたところです。

2020年度は、私どもの限られた集計(特定の補助金応募企業の集計)においても、売上減少約7割・利益減少約9割というケースや、売上減少約5割・利益減少約7割というケースなど、厳しい数字が出たところです(全ての補助金ではなく、あくまで1つの目安です)。こうした状況を少しでも打開するため、(公財)京都産業21では、13,000件を超える相談対応、400件近い受発注のあっせんを行い、ものづくり振興課関連の補助金では、887件(「助け合いの輪」補助金を除けば224件)、3,811社(同318社)、約26億5,000万円(同18億5,000万円)の支援を行なってまいりました(いずれも2020年度)。その中には「事業転換」「工程変革」に関するものも多く含まれ、感染症対策関連をはじめとして、新たな需要に対応する商品・サービスの開発や、リモート操作工場工場でのテレワークなどの取組が進められてきました。また、新たな事業に挑戦する企業を応援する「知恵の経営」が累計238件(2008年~)、「元気印」認定が379件(2007年~)、チャレンジ・バイ認定が139件(2007年~)に及ぶとともに、チャレンジ・バイによる販路開拓も累計100件近い商品、総購入額1億円超を達成するなど、厳しい中でも前向きな挑戦をする姿も見られる1年でありました。

 

イノベーションとプロセスエコノミーの融合

そして次なるは、POSTコロナに向け、テクノロジーに関する知財戦略、ビジネスモデルやプラットフォームの形成などの「イノベーション」の取組に、ストーリーや意味、哲学を活かしてファンを獲得する「プロセスエコノミー」のノウハウを融合させて取り組んでいかねばなりません。

  • 知財戦略
    イノベーションのためには、「競争法(独占禁止法等)」「特許(技術の占有)」「標準化(技術の開放)」が均衡を持って行われる必要があります。特に、オープンイノベーションにおける知財戦略は、「方法」は「秘匿(ブラックボックス化)」して守り、「原理(効能)」は「特許化(オープン化)」して信頼性を高め、「インターフェース」は「標準化(普及)」して市場拡大を図るというのが目安ではないでしょうか。
    「特許化」に関しては、新型コロナウイルス感染症が地球規模で蔓延し、経済に大きな打撃を受けた2020年においても、国際特許出願件数は対前年比4%増と過去最高を更新するなど、世界中で留まるところを知りません(近年の特許出願:世界300万件超、日本約30万件(国際出願約5万件)、京都約1万件)。
    技術の普及には、従来技術との比較優位性、既存行動との適合性、分かりやすさ、試用可能性、可視性の5つが重要だと言われるように(E・ロジャーズ)、単純化・統一化により互換性を確保する「標準化」は、産業革命を起こした蒸気機関、紡績機等においても既に採り入れられてきました。しかし、市場競争の結果として生まれた事実上の標準「デファクトスタンダード」においては、自社のみの努力で実現でき、技術は非公開であるため、利益に直結するものの、通常の「標準」は、その取扱いは諸刃の剣でもあり戦略が重要となってきます。供給者側には「参入が容易(「すり合わせ」から共通規格の既存部品の組み合わせで済む「モジュラー化」が進むため)」「開発・製造コストダウン」「市場拡大(ネットワーク外部性、スイッチングコストによるロックイン(顧客囲い込み))」と、かつての日本、現在の新興国のように、安く作れる者にとってはメリットがありますが、「技術漏洩(参入障壁減少。モジュラー化で共通規格の部品さえ作れれば参入可))「差別化困難・非標準品市場開発困難」「販売価格低下」といったデメリットがあります。一方、需要者側にとっても「調達互換性拡大」「調達コストダウン」「調達量・品質の安定」というメリットと、「製品選択肢の減少」「購入品へのロックイン」というデメリットが並立しています。従って、供給側の戦略としては、シェアを落としてでも市場全体を拡大する戦略、あわせてユニット化する標準化していない部品で差別化を図る戦略(標準化の周辺に特許を配置する戦略)、自社規格を公的標準化することでライバルの参入を抑止する戦略(コンデンサーメーカーでは、これによってセットメーカーへの提案型ビジネスを展開し、回路モジュールまで設計)、他社と調整して技術を統合するのではなく、互いの技術それぞれを標準規格とするマルチスタンダード戦略などが、需要側の戦略としては、競合他社より調達コストを下げるなら一定の範囲のみ(例えば日本のみ)で標準化を行う戦略などが考えられます。なお、標準化の手法は、製品標準化の場合は、様々な製品の平均をとるなどなされますが、特に検査標準化の場合は、その方法で測ると、性能差があることは一目瞭然だが、なぜその性能差が実現できているのか、どこをキャッチアップできるのかは分からない試験方法であるべきと言えます。
    標準化の中でも、一般に認められている団体によって認証される「デジュール標準」。製品安全4法(電気用品安全法、ガス事業法、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、消費生活製品安全法)、CEマーキング法(EU地域に販売される指定の製品の適合性評価。自主宣言と第三者認証がある)、CCC法(中国における製品第三者認証制度)、JISマーク表示制度(本来強制力はないが法律で引用されるケースも多い。2005年改正以降、民間認証機関による製品認証制度)、ISO9000シリーズ(品質マネジメントシステム。トヨタ自動車は、自社の品質管理が優れているということで自社では認証取得していないが、取引先には勧めることがある)、ISO14000シリーズ(環境マネジメントシステム)、地域団体商標(加入自由な組合が組合員に使わせるもので、産地・販売地、原材料など一般的な用語で登録可能)など様々なものがありますが、主に供給側と需要側の間に立って「信頼性を高める」ものです(地域団体商標と合わせて独自の地域ブランドで差別化を図る取組も行われることがあります(今治タオルなど))。一方、SIAAマーク(抗菌加工製品。持続性試験後の抗菌活性値が無加工品と比べて増殖割合1%以下の場合に「抗菌加工品」と呼ぶ。JIS化、ISO22196でも「KOHKIN」の記載あり)など「差別化を図る」ための認証もあります。標準化しようとする技術の中に特許が存在する「標準必須特許」に関しては、パテントポリシーが標準化団体で決められていたり(特許の排除、無償提供等)、終焉しつつあると言われますがパテントプールが特許の一括管理したりといった仕組みがあります(クアルコムのように対象技術の製造部門は売却して、特許ライセンス料だけで収益を上げる例も)。欧州は認証ビジネスが盛んで、ジュネーブに本社を置き、従業員8万人、世界140カ国に展開しているSGSなどの認証機関が数多く存在します。
  • 「ビジネスモデル」の例
    大量の双方向の送金者を抱えることで実送金を抑え送金手数料を激安にするもの、語学学習者に任すことで企業向けに翻訳を激安にするもののほか、衣装だけでなく道具、振る舞い方の指導も含めたパーティー対応一式サブスクや、VRで様々な世界を巡る高付加価値型のフィットネスなどがありましょう。
    中でも中国の漫画アプリ「快看漫画」。スマホ縦スクロールに合わせてコマ送りを構成しただけでなく、書物やPCに比べて閲覧時間が短くなったことを踏まえ、フルカラー化、ストーリー転換のスピード化(テーマを女性に絞りドラマチック性を追求)や、若者がスマホを使う夜9時配信など、徹底した「スマホ最適化」を図るだけでなく、視聴者の閲覧履歴から監督、俳優、ストーリーの組み合わせを最適化してコンテンツ制作を行うネットフリックスを模倣して、データから判断してヒットしそうなテーマの選択・変更、ユーザーに応じたタイトル画像の表示などの「レコメンド制作」も採り入れています。さらに、売れっ子になる前の漫画家をサポートするため、マネージャーやプロデューサーを付けるとともに、SNSの交流を通じた若手漫画家のタレント化など「漫画家支援」も行っています。将来は、消費しやすい漫画が知識・情報伝達のメインツールとなり、知財の源泉になる時代を目指しているとのことです。
    日本のスタートアップ企業においても、「自分の声」の大量データを学習したAIが、スマホ等で打った文章を「自分の声」に変換して読み上げるサービス(外部リンク)を、破格の価格で提供するサービスを始めています。これにより、声優の収録なしにアニメが作れたり、障がいで声が出なくなった方も「声」を出せたり、素晴らしい活用がなされています。
  • プラットフォームの例
    GAFAMが典型で、有名な宿泊施設に変えた自宅(付加価値の創出)と宿を探す人を結びつけるもの、P2Pでの金銭の貸し借りを同じ母校の先輩後輩を結びつけるもの、リフォームしたい人と内装業者を直接結びつけるものなど、欧米を中心に事例を挙げれば枚挙に暇がありませんが、中国企業の躍進も目が離せません。
    施術後の「リカバリー」にこそ不安が最大になっていることを見い出して、「整形日記」を開始。仲間内での情報交換からスタートし、やがて一般公開に広げ、価格も実力も分かりにくかった美容整形業界において、データから口コミ評判の高い病院を紹介するサービス、患者とマッチングするサービスで収益を得ています。
    TikTokを運営する「バイトダンス」。そもそもスマホは画面が小さいため広告料収入を稼ぐのは難しいと言われてていましたが、パーソナライズされたインフィード広告で逆に高い広告精度を実現するとともに、万人に向けたニュース配信ではなく、ニュースがその価値を認める人を探すという逆転の発想が発揮されています。
    オールインワンアプリを提供するメイトゥアン。モノ以外の全てのサービスを一つのアプリで手配し、O2O(Online to Offline)の圧倒的サービスを展開しています。
    「ものづくり」や「質」にこだわったものも際立ってきています。「ピンドゥオドゥオ」。グルーポンと同様の共同購入ECですが、消費者が仲間を集めて共同購入すれば低価格になるというもの。出品メーカーには商品点数を絞って大量生産に対応するとともに、倉庫増設など物流強化を図りC2M(Custmer to Manufacture)を実現しています。
    あるいは「シャオミ」。中国でもアンドロイドOSがスマホに多く搭載されていますが、サービスは規制されてきたこともあって、ユーザーを集めて毎週アップデートを行うことで、採用される喜びによってますます意見が提供される好循環を生み出し、モバイルバッテリーをはじめヒット商品を生み出しています。
    または、オンライン英会話「VIPKID」。北米ネイティブで優秀な人材を用いた「教育の質」を追求することで、ユーザーだけでなく、教師人材にとってもステイタスとなり10万人を超える人材が登録しています。
    プラットフォーム研究の権威、MITのマイケル・クスマノ教授の研究によると、プラットフォーム企業は非プラットフォーム企業の約半分の従業員数で同程度の売上を達成し、営業利益率や企業価値はビジネスモデル型の2倍に及ぶそうですが、一方でヒットするのはごく一握りです。徹底した「人間性の追求」を行うためのリベラルアーツ(幅広い文化力)が求められているのではないでしょうか。

 

業態変革

こうしたイノベーション、プロセスエコノミーを実現するには根本的にこれまでのやり方を変える「業態変革」が不可欠です。

  • 人と人の結合、強みと強みの結合、すなわち「企業連携」。様々なレイヤーの企業同士が協力し、オープンな関係(オープンソース・オープンデータ)で「1+1=2」以上の効果を発揮する必要があります。コロナ禍において、異なる業種や分野間で在庫や必要品を融通し合うネット掲示板や、難局を乗り越えるための企業同士の「助け合いの輪」補助金を実施し、力を合わせることの意義・効果を企業自身も行政自身も確信したところであり、さらにWITH・POSTコロナ時代に向けた「企業連携」補助金、社会課題を企業連携で解決する「産学公の森」補助金などを実施しているところです。併せて、そのためのグループ形成、あるいは販路開拓のための様々な交流会の開催、「京都商談ナビ(外部リンク)」や「バーチャルパーク京都(外部リンク)」の活用による「機会の創出」を図ってまいります。
  • 連携から生み出すモデルをより効率的・効果的なものとするためのDX。既に世界人口76億人のうち半数超がインターネットにアクセスしていると推計されています(2018年時点)。そして、デジタル経済の特徴は、複製・流通など「限界費用の安さ」、プラットフォームの乗換コストがかかることによる「ロックイン効果」、利用者増が利便性を拡大し更なる増加を招く「ネットワーク外部性」によって、GAFAMのような勝者がますます勝者となる点にあります。それ故、「物理層」のアマゾンAWSなどのIaaS(インストラクチャー・アズ・ア・サービス)をはじめ、「ミドルウェア層」にもマイクロソフトAZUREなどのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)が存在しますが、中小企業やスタートアップ企業は「アプリケーション層」のSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)を中心に展開することになりましょう。プラットフォーム企業は、APIを公開し、オープン・クローズ戦略を展開していますが、売り手と買い手の間の信頼リスクを引き下げる基盤でもあるため(例えば、発注時に資金を預かり、完了時に支払うなど)、中小企業・スタートアップ企業は、その信用の上で、個別の課題解決サービスを創出する、あるいは、自社の商品・テクノロジーにセンサーを組み込んだ「ユニット化」によってデータを収集することで、多展開を図るセミプラットフォーマーになる(服や掃除機、自動車のタイヤにセンサーが組み込まれています。)などといった戦略が考えられます。
  • 連携から生み出すモデルの実証、PoCを徹底的に行うこと、すなわち、R&D&D(Research,Development,&Deploy)。イノベーションを起こすには試行錯誤の回数を増やすしかありません。連携によってオープンな環境があれば、チャレンジの回数も増やせます。これまで、けいはんなロボット技術センター、けいはんなオープンイノベーションセンター等によって、新技術の実証を支援してまいりました。さらに、今後は、UI、UXなど商品の完成度を高めるための実証、例えば中小企業単独では難しいユーザーモニタリングなどの共同実施センターなどの創設など、Deploy(展開)のための取組強化が必要ではないかと考えています。
  • こうした連携を推進し、モデルを生み出すことができる人材育成。幅広い知見とネットワークを有するリベラルアーツ人材、自社ビジネスを知り、デジタル技術を知り、社内改革の旗振り役ができる人材が必要です。2021年度から「文芸理融合人材」と称してその育成方法の研究を開始しています。
  • 最後に最も必要なのは、単なるカイゼンにとどまらず、根本的にやり方を変えることができる「勇気」です。世界中の新興国においても、多角展開するコングロマリット企業(財閥)の存在、米中貿易戦争(米国製装置で製造されたものも輸出禁止など)などの困難な状況下にあっても、中国ではグループウェア、インドでは遠隔診療、ケニアではキャッシュレス決済サービスが次々と生まれています。特にプロセスエコノミーにおいては、自社の強みを深掘りし明確にする「知恵の経営」を更に進化させ、自社のこだわりや哲学をさらけ出し、ファンを作り、セカンドクリエーターとして巻き込んでいくことも必要です。

 

価値創造型経済と協創エコシステムの創出

以上の課題への取組を重ね、価値創造型経済と協創エコシステムの創出を目指していかねばなりません。

府内事業所数113,774(2016年経済センサス)の業種別内訳は、建設業約8,500、製造業約13,500(繊維工業約4,400、機械金属約3,500、食料飲料等製造約1,300)、情報通信業約1,000、運輸業約2,000、卸小売約29,000(小売約21,000)、金融・不動産約9,000、宿泊・飲食約15,200、医療福祉約8,700、サービス約26,000などとなっています。すなわち、京都には、歴史・文化を土台に、こうした伝統産業、ハイテク産業、コンテンツ産業など、他地域には類を見ないほど多種多様な産業が重層的に存立しており、こうした京都ならではの基盤の上に立って、それぞれが有する有形無形の価値(産業実用的価値、文化的価値、共感的価値、環境価値など)をその特性に併せて更に伸ばすとともに、それらを複合・融合させて世界に伍する価値の創造を推進してまいります。

そして、そのための知的交流の場、切磋琢磨(競争)しながらも互いに未来に向けて挑戦(共創)するプラットフォームなどの仕掛けづくりを図り、イノベーションの誘発、京都産業の深化を推進してまいります。

新型コロナウイルス感染症危機克服会議(WITHコロナ・POSTコロナ社会における産業戦略)
企業情報

<令和3年度「小さな巨人」>

<令和2年度「小さな巨人」>26社

<令和元年度「小さな巨人」>25社

<平成30年度「小さな巨人」>17社

<平成29年度「小さな巨人」>25社

<平成28年度「小さな巨人」>21社

施策
(認定等)
 専門家派遣等)
(融資)

r3c04販路開拓支援

京都商談ナビ チャレンジ・バイ中小企業新技術開発応援制度 福祉・医療商品導入補助福祉施設・病院等の皆様へ文化イベントサブスク

 

街はショウルーム・メンテナンスセンター

買い物はインターネット、という時代。パソコンのウェブカメラ越しに店員さんが商品説明をし、顧客は気に入ればインターネットサイトで購入するという取組が始まっているように、リアル店舗は商品展示場として、消費者からではなく出品企業からお金を取る形に姿を変えるかもしれません。商品並べはAI(外部リンク)ロボット(外部リンク)が自動で行い、3D計測機で身体のサイズを採寸し、AIが自動で商品を提案するといった取組(外部リンク)も始まっており、京都の街もショウルームと化し、京都観光に新たな要素が加わるかもしれません。
その代わり、限界コストが限りなくゼロに近い「サブスク」を活用することで、京都の得意とするニッチな商品群でロングテールを容易に実現できる時代を迎えるとともに、リアル店舗や街の電気工事業等は、貸出品のメンテナンス・リカバリーセンターとしての機能を発揮するかもしれません。
また、既に自動車や家電、アパレルや薬などの分野でマスカスタマイゼーションの足音が聞こえてきており、モノの流れと逆に情報の流れは川下から川上へのデマンドチェーンを構成し、サプライチェーンは素材、パーツ、色などの「組み合わせ」、さらには3Dプリンタによる「単品」で対応するためには、物流のシェアリングが効果的です。

こうした時代になれば、ものづくり企業は、作り手としての本業に集中できる、すなわち、サブスクなどの新しい活用形態の中でユーザーに求められているユニークな企画・設計、高度な研究開発、優れたUXデザインなど真価を発揮する時代になるのではないでしょうか。

 

1次情報を活かしたものづくり

もちろん、現在の買い物は、ショウルームでの「発見系」よりも「目的系」が大半です。買う物が決まっている客(ZMOT=Zero Moment Of Truth)は一直線に売り場に向かうだけであり、広告宣伝は意味をなしません。CMは「認知」までで、「間違えたくない」という心理を突いた「デジタルシェルフ」や「レビュー」が「判断材料」となるのです。2021年1月時点で世界全体では、Facebook25億人、Youtube20億人、Instagram10億人、TikTok8億人、Twitter4億人のアクティブユーザーがいます。そして、レビューは、買う前だけでなく、買った後のものも重要であり、パッケージの工夫による「開封の儀」など、買ってから始まる顧客体験を演出することも必要となってきます。アメリカではソーシャル映画鑑賞等が興こっていますが、今後は、趣味のつながりなどへの働きかけ(将来はVRで集まるなど)が鍵となってきそうです。

一方、こうしたEコマースに勝てるのは小商圏ビジネスかもしれません。コロナ禍でAmazonよりも、ウォルマート(大量仕入で安い)の方が、店舗に取りに行けば早いということで、より伸びたとも言われています。自宅を倉庫代わりにするフランチャイジーを集め、より早く商品を提供するサービスを始めた大学生のスタートアップ企業が登場したり、Eコマースが伸びる中国でもデジタルと融合した出店ブームが起こったりといったことを耳にします。生活者は「モノ」ではなく「目的」を買っているのであって、こうした1次情報を得る機会は重要です。

なお、Eコマースにおいても、日用品に強いAmazon、ギフトに強い楽天などの大手は、「目的系」の利用が多いでしょうが、ヘルスケアや贈り物など分野を特定した「パーティカルコマース」を対象とするスタートアップ企業も登場してきており、「発見」して楽しむ場として期待できます。

今後、マスマーケティング、その上層にD2C(メーカーが直接個人に販売)、更に最上層にはP2C(個人発D2C)が君臨してくる時代、インフルエンサーと一緒にものを作る、あるいは企業自身の哲学・ストーリーを磨くことが成功の近道かもしれません。

 

2021年度
2020年度

設備設備投資、税の優遇

エンジェル税制
不動産取得税軽減
固定資産税軽減
その他

補助補助金

助け合いの輪 コロナ補助金取組例 各補助金 補助金情報ウェブ
2021年度(募集中)
2021年度(募集終了)
2020年度(2021年度も実施するもの除く)

支援その他支援機関等

産業別メニュー

特区特区・産学公連携

未来を拓くイノベーション

「無(「ゆらぎ」のある状態)」から1cm角スケールへの「インフレーション」。その膨張エネルギーによって「ビッグバン」が発生。そのエネルギーで「物質(電子、クオークなどの素粒子)」「反物質(異なる電荷を持つ陽電子などの素粒子)」、さらにはそれらの衝突で光子が生まれるとともに、膨張の拡大に伴う冷却による「素粒子結合」で陽子、中性子が誕生・・・。
138億年前、宇宙誕生の「1秒間」に起こった出来事です。3分後に「陽子・中性子結合」によって水素やヘリウムの原子核が、38万年後に水素とヘリウムの原子が生まれました。やがて星の重力による核融合でヘリウムより大きな軽元素が、中性子星の合体によって鉄より大きな重元素が生まれました。
こうした光子(アインシュタインがノーベル賞を受賞したのは、これ以上分割できない光の最小単位を示した「光量子仮説」)、電子、陽子、中性子や原子などの「量子」。今のコンピュータに入っている1辺数センチメートルのCPUに、10ナノメートルサイズのトランジスタ(1秒間に10億回ON/OFFの切り替えが可能)が10億個程度入っていますが、例えば原子1つのサイズは約0.1ナノメートルとさらに小さいです。こうした量子は「粒でもあり波でもある」ため、有名な「2重スリットの実験」のとおり2つの隙間を同時に通り抜けます。2択ではなく「重ね合わせ」(しかも「確認」すれば1つに集約)という、一見、古典物理では説明がつかない量子のふるまいが、私たちの世界を支配しています。最近では10兆個の原子からなる長さ0.04ミリメートルの金属板でもこの現象が確認されています。
この量子力学の原理を活用するのが「量子コンピュータ」です。量子ビットと量子論理演算によって構成されるものです。情報を保有する「量子ビット」は、イオン方式、半導体(電子)方式、光子方式など様々な方式が研究されていますが、1ビットについて、電気や磁気によってONかOFFかの2択で表すのではなく、量子の性質によって重ね合わせ、つまりどちらをも表せるので、nビットの場合に2のn乗通りのパターンをいちいち全て判別する必要はなく、そのnビット1本が全てを含んでいるため、それだけを判別すればいい、つまり大量の計算を並列処理できます。演算を行う「量子論理演算」は、波の干渉を操るような仕組みです。これらにより従来のコンピュータを大きく凌駕するスピードを実現しようというものです。2014年にGoogleが大学の研究グループを取り込み自社開発を宣言したことがきっかけでブームが到来したものの、本格的なものはまだ見通しは立っていませんが、素因数分解を高速に解く(現在の暗号化技術をあっさりと打ち破るものでもあります)、新素材を発見するなど、大きな期待がもたれています(日本においても日立、トヨタなどが量子技術による新産業創出協議会の設立を目指しています)。

こうした様々な人類を導く最先端研究と京都の様々な産業分野の連携により、世界をリードする、未来を拓くイノベーションの創出、新産業の創造を推進してまいります。

特区推進

そのために、まず、障壁となる規制の緩和、制度の見直しのために「国家戦略特区」を活用しています。

2013年に大阪府・兵庫県とともに10地区の1つに定められ、2021年6月現在、全国では、特区措置69メニュー、全国措置46メニューや税の特例があり、そのうち京都府では、税の特例(減価償却費の100%(当時)を繰り越して税額控除できる研究開発税制)を含め14メニューを実施してきました。例えば、

  • PETと診断機器との複合化促進
    PETは、がん細胞が好むブドウ糖類似物質から放出される陽電子と、電子との結合で発生するガンマ線を検出し画像化する装置で、がんの早期発見が可能であり、一方、MRIは、強い静磁場の環境で頭や体にパルス状の電磁波を当て、返ってきた信号を計算・画像化する装置で、正確な位置把握が可能です。特区制度で可動型PET装置による撮影をMRI室で行うことでき、それにより、すかさずMRIによる詳細把握に繋げるもので、延べ50件を実施【京都府提案案件】
  • 血液由来特定研究用具製造
    2020年9月に血液法が改正され全国措置になりましたが、特区制度で「血液由来特定研究用具」も「血液製剤」読み替えて、血液を採取することが認められ、府内2社が、採取した血液由来iPS細胞の研究ツールとしての販売、試験研究への活用が進展。【京都府提案案件】
  • 特定試験局制度
    無線通信における「実験試験局(科学技術振興用)」免許について、特区制度により、予備審査を行っておくことで申請時即日免許発給ができるもので、電動車両、センサー、トンネル点検車への無線給電を実施
  • 高度外国人材受入促進
    研究、教育、自然科学、人文科学の高度な専門能力を有する外国人で、学歴・職歴・年収等から算定されるポイントが一定(70点)以上の場合、在留活動の優遇(複数の在留活動が可能、在留期間5年、点数によっては永住申請が可能、など)が受けられるが、本府の特定の補助金(エコノミック、産学公の森、等)で支援を受けている製造業等は、ポイント算定時に予め10点を加算(1件相談中)。
  • スタートアップビザ
    事業所の確保、2名以上の常勤雇用又は500万円以上の出資金等の確保という在留資格を、上陸申請時ではなく上陸6ヶ月後に満たす見込みがあれば入国を認めるとともに、当該6ヶ月後に在留更新許可を受ける際、その時点から1年間に限り京都府が認定するコワーキングスペース・シェアオフィスも「事業所」として取り扱うもの。対象となるコワーキングスペース等は、現在次のとおり。
    イノベーション創出コミュニティー(STC3)、Impact Hub Kyoto(外部リンク)engawa KYOTO(外部リンク)Garden Lab コワーキング棟(外部リンク)Serviced Office OFFISTERIA(外部リンク)
    (なお、本制度とは別に、上陸後最長1年後に上記在留資格を満たす見込みがあれば入国を認める経済産業省制度あり)

など、着実な歩みを進めています。

 

国際科学イノベーション拠点と産学公連携推進部

次に、産学公連携によるイノベーションの推進についてです。

産学公連携機構10周年を機として、京都大学、京都府、京都市等で、2012年に「国際科学イノベーション拠点整備事業(COI)」の採択、2013年に「COI STREAM(最大10億円×9年間)」の採択をそれぞれ受けるとともに、2015年には府・市もオフィスを構え、特区を活用した研究開発、中小企業を含めた産学連携の推進等に取り組んでいます。

COI STREAMにおいては、「離れてくらす家族・仲間と日常を共有」する「しなやかほっこり社会」の実現のための通信・センシング・先端医療・予防先制医療に関して、2013年から32テーマ、2016年から15テーマ、2019年から13テーマ、合計60テーマが実施されました。無線給電、フィルム型太陽電池、ミリ波レーダーを用いたバイタルセンシング、iPS細胞培養装置、歩行支援ロボット、育児サポートコミュニケーションロボットなどの開発が進み、既に発売されているものもあります。

そして、2018年設立の(一社)京都知恵産業創造の森。その「産学公連携推進部(外部リンク)」は、府内中小企業等と、京都の34の大学とを繋ぐハブとなって、企業の狙う企画に沿う大学研究室を探してマッチングするところからサポートを行っており、年間数10件の橋渡しを実現しています。

 

フード食産業

開発力・生産性向上

日本の食品産業の国内生産額は、比較的大きな国内消費者に支えられ約80兆円(加工業34兆円、流通業24兆円、飲食店20兆円/2010年度、農林水産省調)(外部リンク)で推移してきました。穀物自給率が3割以下と言われるように、安さを求めて「原料の輸入」は多いものの、海に囲まれた立地や歴史・文化的な背景も重なって、独自かつ世界有数の多彩な進化を遂げてきたため、「製品の輸入・輸出」のウエイトや大企業のシェアが小さく、地域に根ざした中小企業・小規模企業が担ってきた分野であり、参入しやすい分野で、府内の事業所は、製造業が約1,300、卸・小売業が約11,000、飲食店が約17,000(2009年、事業所統計)に上ります。

これまで、こうした中小企業・小規模企業の商品開発力、生産性向上、衛生管理対応、販路開拓等の支援に取り組んでまいりました。例えば、

  • ブランド力のある「京野菜」を加工食品に活用するための加工体勢の整備(野菜1次加工施設のシェアリングの推進)、粉体・乾燥・ペースト・冷凍に関する知見の整理(「京野菜加工のトリセツ」など)
  • 食品表示法対応は、2022年3月末には原産地表示の経過措置が完了しますが、これまでから担当課から多くのセミナーで周知を図ってまいり、例えば京都府食品産業協会では560アイテム以上の全ての「京都吟味百選」認定商品の検査も完了しています(逆に府内への生産回帰の動きなど、チャンスも巡ってきています)。
  • 食品衛生法に基づくHACCP対応のうち「HACCPに基づく衛生管理」は、従業員50名以上の食品製造業(府内約130施設)が対象で、国や府等の「7原則12手順」を記した手引書に基づき、(1)製造工程の異物混入・微生物汚染等のリスク要因の分析、重点管理点の選定、(2)重点管理点の継続管理を行うものです。また、「HACCPの考えを取り入れた衛生管理」は食品製造業・運送業・小売業、飲食店(府内56,000施設)が対象で、府の手引書を参考にするならば、(1)原材料受入、保管温度管理、汚染防止、健康管理の4分野に関する衛生管理計画策定と、(2)カレンダー形式による日々の取組確認を行うもので、引き続き保健所を中心に周知徹底を図られているところです。
  • 技術伝承・人材育成の基盤として「京もの伝統食品」指定も行ってまいりまして、2007年に京つけもの(千枚漬、すぐき、しば漬)、2019年に京上菓子(あんを用いた多彩な生菓子、落雁・有平糖などの干菓子)が、それぞれ指定を受けました。

 

コロナの影響長期化を前提に変身を遂げる

そんな中で発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大。食品業界が受けた影響は大きく分かれました。まず、「実店舗」について、製造から見て「直営店」の場合については、「常使い」されてきた商品以外は大きな打撃を受けました。「他店」に卸す場合は、スーパー・コンビニは好調でも、人流抑制による旅行者・インバウンドの激減によって百貨店・土産物店・飲食店は大きな打撃を受けました。一方、「オンライン販売(宅配)」は伸びました。しかし、想像を超える長期化によって、飲食店をはじめ打撃を受けている分野においては、気持ちを折らさずにいるのにも限界まで来ていると言え、もはや、影響の長期化を前提に、「変身」を遂げていかなければならないと言えます。

そもそも、私たちが日々当たり前のようにいただいている食品・料理は、その全てが最初は、人類の歴史のある時、どこかで、誰かが生み出した「新商品」でありました。
例えば、移民の国・アメリカで、ドイツ・ハンブルク出身者が生み出したのが、ありあわせの肉を刻んで丸めて焼いた「ハンバーグ」です。イタリアの食材・マカロニと、フランスの調理法・グラタンを合わせたのが「マカロニ・グラタン」です。メキシコでは使われていないそうですが、メキシコ料理を醸し出す「タバスコ」も生まれました。やがて豊かな時代になり、より健康的な朝食の提案として生まれたのが「グラノーラ」や「コーン・フレーク」です。
遡って、ヨーロッパを慢性的な飢饉状態から解放したのは、大航海時代に南米からもたらされたジャガイモです。見てくれの悪さで、永らく栽培されませんでしたが、18世紀、フランスの農学者パルマンティエという人物が、ジャガイモ畑を作って昼間は兵隊に警護させました。貴重なものだと思わせ、思惑通りジャガイモ泥棒が現れ、各地に広がったと言われています。そのおかげで「フライドポテト」、「フィッシュ・アンド・チップス」など様々なメニューが誕生しました。トウモロコシも、小麦のようにグルテンがないため、ふんわりとしたパンに仕上がらず普及しませんでしたが、粉を練って平たく焼いた「トルティーヤ」や、具を入れ、ちまきのように蒸した「タマ―レス」などが生まれました。また、永らく飲料原料であったカカオからチョコレートが生まれたのは19世紀です。オーストラリア原産のマカダミア・ナッツを、ハワイ土産の定番としてのが「マカダミア・ナッツ・チョコ」です。そして「カレー」は、インドなどでは本来、香辛料たっぷりの汁物・煮込みの総称ですが、日本で馴染み深い、いわゆる「カレー風味」のカレー粉は、イギリスで最初に開発されました。
さらに遡れば「漢」の時代の中国では、シルクロードで小麦粉料理が伝わるものの、「焼パン」ではなく、古来から中国で用いられてきた蒸気で蒸す技術を用いた「蒸しパン」が発達しました。
ついでに申せば、「レストラン」というビジネス形態を世界で最初に開業したのは、18世紀末、フランスの貴族に仕えてきた元料理人ボーヴィリエという人物です。フランス革命の前夜の時代で、貴族たちに仕えていた料理人の失業、厳しい同業者組合が崩壊し自由に料理を提供できるようになったことが背景です。ちなみに、ナポレオン三世の時代に軍の携行用バターの代用品として懸賞募集され、化学者によって開発されたのがマーガリンです。

 

食の力

このように、今日、私たちがいただく食品や料理は、世界の食品業界の皆さんが、数々の時代の転換点を乗り越えてこられた「証」そのものです。今回のパンデミックも、必ずや乗り越えていけると信じています。ただし、そのためには「新しい挑戦」が不可欠です。

  • SDGsの視点など抜本的な商品開発
    食品の原料として大きなウエイトを占めるのは、食物連鎖のはじまりである植物ですが、すごい仕組みを有しています。まず、舌の味蕾で感じる「旨み」「甘み」「苦み」「酸み」「塩み」の味覚のほか、舌が「痛い」と感じる「辛み」がありますが、植物にはそれらの元となる栄養素(五大栄養素:カラダをつくる「タンパク質(アミノ酸)」、エネルギー源「糖質」「脂質」、体の調子を整える「ビタミン」「ミネラル」)を自ら生産する能力があります。例えば、酢豚に入っているパイナップルのように、タンパク質を分解する成分を有し、肉をやわらかくしてその消化を助けるものもあれば、紫外線によって人や植物の内部で生じるスーパーオキシド、過酸化水素などの「活性酸素」(老化や成人病、がんの引き金になるとも、病気全体の原因の9割を占めるとも言われます。)を消去する成分(抗酸化成分)として、「苦み」の成分でもあるポリフェノール(及びそれを作用させるためのポリフェノール酸化酵素)やその一種であるアントシアニン(花びらの色の成分で、紫外線が強い高山の植物の方が色鮮やかになる)、「酸み」の成分でもあるビタミンC、ビタミンE、ビタミンAに変換されるカロテン等、香り成分である「フィトンチッド」等があり、「おいしい食品づくり」「より健康的な食品づくり」「SDGsを軸とした食品づくり」には無限の可能性があります。
  • ターゲットに応じたブランドづくり
    常使い用、スーパー・コンビニ用に新ブランド・新商品を開発することです。新型コロナウイルス感染症の第1波蔓延の際には、ネット掲示板「Food’s Voice Kyoto」によって、高級在庫を常使い用やテイクアウト弁当用に繋げるといった支援を実施し、多くの方々にご協力をいただきましたが、あくまで緊急事態としての対応であり、長期的には、常使いではない商品を常使い用に、百貨店・土産物向け商品をスーパー・コンビニ用にということは客層が違うため成り立つものではありません。そのため、土産物商品や高級路線商品とは別のラインナップを増やすことが必要です。
  • 顧客関係性の維持
    その一方で、いずれ戻ってくる百貨店・土産物需要等への備えをしておくことです。これまでの顧客リストがあるならば、DMやSNSの発信などで顧客関係性を維持しておくこと、あるいは異分野のサービスと組み合わせることで付加価値を高め、心をわしづかみにする提供方法を検討しておくことなどです。
  • DX
    オンライン販売、すなわち宅配です。もちろん、それで成功するためには、顧客層ごとに発信方法・タイミングを検討するなど緻密で丁寧な対応が不可欠であり、自社にそのノウハウがないならば、「まるごと京都直売所」など先行している事例に合流、連携する手法が考えられます。
  • 輸出
    いずれインバウンドが戻ってくることを見越して事前PRを目的とするパターン、本格的な輸出を目的とするパターンが考えられます。賞味期限が長いものであること、米国FDA対応をはじめ食品衛生体制がしっかりしていること、輸送費や通関、中間業者のマージンなどによって消費者価格が日本の「1.8倍」になることなどの制約条件を踏まえると、現の食文化と親和性があるものであって、日本らしさ、オーガニックなどといった分かりやすい付加価値のあるものが好ましく、日本酒や抹茶のほか、和菓子や味噌等の調味料、佃煮などの総菜等が候補でありましょうか。商社を活用する場合、京都には現地拠点を有しているため、円建てで決済でき、為替相場を気にする必要がない商社もあります。あるいは、現地インポーターに直接依頼する手もありますが、いずれにおいても、条件を調べ、少量で試してみて、良かったら本格的に活用するという手順でありましょう。各社で輸出担当者を置くなど社内の方針を定めることが絶対不可欠ですが、慣れている企業様であれば、JETROのJAPAN MALL(外部リンク)を活用して商社や現地インポーターを探す挑戦をされてもいいですし、不慣れであればJETROのハンズオン支援(外部リンク)を活用し、現地情報を把握するところから始めるのもいいです。
  • 期限伸長テクノロジー
    オンライン販売(宅配)、輸出には欠かせない消費期限・賞味期限を延ばすための対応です。急速冷凍機等をシェアするサービスも既に生まれてきていますので、ぜひご活用ください。
施策

ライフライフ(iPS・脳科学・先端医療等)、QOL(福祉/健康・医療)

京都品質ライフサイエンス

「健康」「医療」「福祉」に関するライフサイエンス、ライフイノベーションには、(1)健康増進による医療・福祉費に関する国民負担コストの抑制と、(2)付加価値の高い、あるいは安く手頃な健康・医療・福祉関連製品・サービスの創出促進による国民へのバリュー提供の2つの意義があるとともに、医薬品市場、医療機器市場、再生医療市場とも世界的に年数%の伸びが見込まれる成長産業であることから、京都が世界に誇る「iPS細胞」をはじめとする研究開発や府内中小企業の本分野への参入を支援してきたところです。

そして、新型コロナウイルス感染症が世界を席巻する今、コロナ禍からWITH・POSTコロナ社会の構築に向けて、そのテクノロジーの開発を一層進めねばなりません。

生命・健康を守る--
ウイルスの遺伝子を見つける「遺伝子検査」は、京都においても中小企業はOEMで、大手は自ら、それぞれ高速PCR検査装置や全自動PCR検査装置の製造を行い、大学病院でもPCR検査ロボットシステムの実証が行われています。
ウイルスのタンパク質、すなわち、抗原あるいは抗体に接合させる「抗体検査」「抗原検査」は、遺伝子検査に比べて精度が低いとされていますが、京都のスタートアップ企業において、タンパク質をダイレクトに製造する方法により高精度な検出法の確立を目指す動き等が起こっています。

抗原から身を守る仕組み「免疫」のうち、「細胞性免疫」に関しては、研究用攻撃(免疫)細胞をiPS細胞で作る攻撃(免疫)細胞の活性化環境を作るといった取組が、京都のスタートアップ企業で進められています。
「体液性免疫」すなわち抗体を自ら作り出すための「ワクチン」については、2021年2月に国内で接種が始まったファイザー(米国)や、モデルナ(米国)のmRNAワクチン、アストラゼネカ(英国)のウイルスベクターワクチンのほか、国内でも阪大・アンジェス・タカラバイオのDNAワクチン、塩野義製薬の遺伝子組み換えワクチンをはじめ開発が進められています。京都のスタートアップ企業においては、ウイルスのスパイクタンパク質をmRNAから生成するのではなくダイレクトに生成するスパイクタンパク質の成分そのものを生成するといった研究開発が行われています。

ウイルスの増殖を抑制する「治療薬」については、既存薬の中からAI等で候補を絞り込む取組がスーパーコンピュータ富岳のほか、府内スタートアップ企業も行っていますが、2021年4月末時点での国内承認は、RNAポリメラーゼ(転写因子と結合し遺伝子複製を作動させる酵素)を阻害するタイプの重傷患者用注射薬「レムデシビル」のみ(ステロイド系抗炎症薬では「デキサメタゾン」、肺炎治療薬では「バリシチニブ」が承認済)です。しかし、京都の大手創薬メーカーや国内のスタートアップ企業がウイルスの遺伝子(mRNA)に直接作用する核酸医薬(細胞外のタンパク質を標的にする低分子医薬品と異なり細胞内の標的分子を直接ターゲットにできる)の開発を目指すなど、粘り強い取組が進められています。

医療崩壊を防ぐ--
血中酸素濃度など患者や施設入居者の状態をリアルタイムでリモート監視するシステムや、排尿計測記録システムなどは、府内企業が既に上市しており、現場での使いやすさ、UIが重要なポイントとなっています。さらに、コロナの影響で拡大する産後うつ問題に対して、相談体制を構築する健康管理を行うといったスタートアップ企業も生まれてきています。声で感情認識を行う(外部リンク)とか、家電のリモコン操作から認知症の兆候を掴もうとする研究等も国内で進められています。

また、クリニック等の院内感染リスクを下げるとともに、患者を繋ぎ留めるためにも有効なAI問診(外部リンク)オンライン診療システム(外部リンク)医療従事者間コミュニケーションアプリ(外部リンク)などは府外スタートアップ企業が先行しています。初診の場合、本人確認や基礎疾患の事前把握など困難さはあるものの、重症度に応じた優先順位の見極め等にも有効です。一方、AIとオンラインを駆使して薬局の新しい姿を模索する動きは、京都のスタートアップ企業から生まれてきています(米国ではドローンによる市販医薬品の宅配がスタート)。

感染拡大を防ぐ--
高性能CPU・GPUを駆使してSLAM、物体認識、AI顔認証などをエッジ完結で行い、エレベータ・システムとも連動して各階のフロアマップを参照しながら自律的に動くロボットが、介護施設の巡回、深紫外線を用いた消毒等を自動で(外部リンク)、あるいは遠隔操作で(外部リンク)行うなどRaaS(Robot as a Service)の取組も始まっており、多くの京都企業も追随しているところです。

また、スマホの活用に関しては、アンドロイド(グーグル)、iPhone(アップル)がOSどうしで連携し実現した「COCOA(外部リンク)」をはじめ、大手通信会社の取組、海外では体温計の値の全国分布、京都でも人流分析、混雑やコロナ感染者発生アラート発信など、様々な取組が生まれています。

感染症に強い社会を築く--
感染の恐れを最小限にするために人を介さず3Dプリンターでの食品製造(外部リンク)、動物を用いない植物由来の人工肉開発、店舗に出掛けずスマートミラーでの試着、ラフな手描きのイメージ図をスマホカメラで撮影すれば自動で3D図面ができあがるリモート設計相談(外部リンク)企業の枠を超えた共同デジタル試作(外部リンク)ARによる共同現場管理(外部リンク)リモートでの重機操縦(外部リンク)など、新しい取組が登場し、大手自動車会社では「都市OS」構想等も生まれてきていますが、京都企業もデジタルツインに着手しているところです。

また、コロナによる物理的・心理的距離が生じていることがきっかけで企業の福利厚生にも取り込まれたAI恋愛ナビゲーションアプリ(外部リンク)オンラインパーティシステム(外部リンク)リモート応援システム(外部リンク)のほか、ARと連動したリモート音楽ライブ、VRと連動したエクササイズ(外部リンク)エクササイズの動きで進めていくゲーム(外部リンク)など、新しいビジネスが登場してきています。

POSTコロナ時代--
現在、世界では、例えば、全ゲノム解析が進んでおり、日本もゲノム研究の基盤を構築(外部リンク)し、個別化・精密化医療の実現に向けた研究、技術開発が進められています。こうした激動の時代の中で、京都企業が力を発揮するためには、それぞれの強み(テクノロジーだけでなく、業界や顧客との関係性など、あらゆる要素を含む)を持ち寄ること、さらに異分野との連携が不可欠であり、その推進に取り組んでまいります。

施策

ものづくりものづくり

製造業はGDPの約2割を占めています。中でも「自動車」、また、自動車やスマホをはじめとする様々なIoT機器に搭載されている「半導体」。現在の日本のものづくりの代表格でありましょう。

 

次世代自動車を見据えた垂直統合

日本の主要製品出荷額約300兆円のうち約2割を占める自動車産業。特に次世代自動車は、ダイムラーが2016年に発表した「CASE」に表されるように、製造業だけでなく異分野の参入が拡大するとともに、巨大市場を背景に技術革新著しい中国など国家も巻き込んだ群雄割拠状態で競争が進められており、求められる技術も、従来の自動車関係にとどまらずIT、電機・電子など裾野が広がっているため、府内ものづくり中小企業にとって、自動車産業との関わりのウエイトがこれまで以上に大きくなっていると実感されるところです。

「CASE」を概観すれば、まず、「Electric(電動化)」については、充電スポットや電池コストの問題がありますが、ディーゼル車の排ガス不正問題を契機とするドイツ、ガソリン車で後発故にEV車購入補助やその開発品質の向上の両輪で進めている中国などの国策が目立つとともに、「人類を救済する」というミッションと、エネルギーを太陽光発電で創り、蓄電池で蓄え、EV車で使うというグランドデザインを描く米国のテスラが有名です(創業者イーロン・マスク氏のスペースX、アマゾン創業者ジェフ・ベソス氏のブルーオリジン、ヴァージン・ギャラクティックなど宇宙船開発競争も進んでいます)。データを蓄積しつつ、そのノウハウはオープン化しており、中国で数十社のEVメーカーが誕生することにつながったのかもしれません(圧倒的な安さで中国国内ではテスラを上回る売上を達成する企業も)。そして、EV車で高まる電力消費に対しエネルギー業界では「3つのD」、すなわち、より限界費用が小さいクリーンエネルギーによる脱炭素化(Deccarbonization)、分散化(Decentralization)、デジタル化(Digitalization)を進めており、石油メジャーもEV充電ステーションを抱える企業の買収を図ったり、ソフトバンクグループは「ビッツ(情報革命、IoT)、ワッツ(エネルギー革命)、モビリティ(移動最適化)」と評し、CASEの様々なレイヤーの企業に投資をしています。タイヤメーカーにおいても、EVは大量の電池を積み重量が重くなるため、ゴムの使用量の削減によるタイヤ軽量化、溝の形成の工夫による耐摩耗性向上を図ろうとしています。
次に「Autonomous(自動運転)」については、運転手の人件費を不要にできる業務用分野で先行する傾向がありますが、アルファベット傘下のWaymoや、自動運転技術のオープンソース化によって多様なパートナーと協業する「アポロ計画」を進める中国のバイドゥ(国策AI事業である自動運転、都市計画、医療映像等をバイドゥ、アリババ、テンセント等が分担)、さらには、2020年の米中両国での自動運転試験走行距離で、この2社を抑えて首位に立ったGMなどがひしめいています。また、自動運転の核となるLiDER等によるセンシング、AIによる判断、制御等をスムースに行うためのGPU等の半導体においてはエヌビディアが存在感を発揮しています。しかし、ここでも際立つのはテスラ。高コストなLiDERを使わず視覚情報をベースに、実運用面で圧倒的なシェアを誇り、もはや「車輪のついたソフトウェア」として日々収集されるデータから、ディープラーニングでアップデートされています。
そして、「Shared & Service(シェアリングとサービス)」。MaaSの1つ、ライドシェアではウーバー(選択肢を広げるため有人ドローンを開発中)、リフト(自動運転部門をトヨタが買収)や滴滴出行などが有名ですが、P2Pを成立させるための与信情報、相乗りを実現する経路・到着時間予測などAI、ビッグデータが重要な技術です。また、カーシェアにおいては、ダイムラーでは逆に購入(所有)を刺激し押し上げたり、長距離利用が多い北米からは撤退するなど試行錯誤が続いていますが、同社のIT企業並のAIアシスタント「MBUX」はドライバーのスケジュール管理や好みの音楽やレストランの紹介など、そのホスピタリティが好評を博しています。
最後に「Connected(つながる化)」。既にインドでも、配車アプリで、目的地入力と二輪車・三輪車・四輪車の選択をすれば、評価の高い運転手が割り当てられ、クレジットカードでキャッシュレス決済ができると言います。今後、自動運転によって「どう運転するか」から「どう過ごすか」がポイントとなる中、音声認識技術アレクサでアマゾンエコー(AIスピーカー)やアマゾンゴー(無人店舗)等の無人システムを進めるアマゾンが、2020年に自律走行車開発企業を買収した動きは注目です。

「壊れない自動車」として人気の日本車を支えてきた日本のものづくり技術。今後、いずれかの分野の企業から総合プレイヤーが登場し、OEM(生産受託)、ODM(設計・生産受託)、EMS(電子機器生産受託)等が加速するとしたら、それらが追求する「規模の経済(生産規模拡大)」に対応する低コスト化、「範囲の経済(種類拡大)」に対応するデザイン指向による幅広いアイテムの提供、「速度の経済」に対応するデジタル試作などが、中小企業にとっての鍵となるかもしれません。仮にその総合プレイヤーがITなどの異分野からの参入企業であった場合は、ものづくり中小企業の強みである要素技術、生産技術、量産技術を活かしてIT企業の弱みを補完するチャンスだと考えられます。

何より、こうした次世代自動車によって狭義の自動車産業は縮小し、大手自動車メーカーには収益性を含めて厳しくなる反面、広義の自動車産業は拡大し、中小企業にとってはユニット開発という新たなチャンスが広がっています。FA分野で日本が世界をリードするきっかけとなったのは、ファナックが、PCへの搭載よりも早い1975年にインテルMPUをCNCに搭載し、それを多様なマシンに組込補完材として搭載していったことがきっかけだと言われているように。

例えば、ガソリン車からEVへの変化としては、

  1. 「ガソリンタンク(給油)」が「バッテリー(充電)」へ:スマホなどと同様のリチウムイオン電池が主流。しかし、アップルのEV開発プロジェクトでは、リン酸鉄系の正極材料が用いられているとされ、エネルギー密度は高くないが耐久性が抜群と言われています。京都のスタートアップ企業では「交流」のリチウムイオン電池を開発しています。
  2. 「燃料ポンプ」が「コントローラー」へ:バッテリーの直流電気をモーター用に交流に変換する「インバータ」や電圧をコントロールする「コンバータ」などを組み合わせたユニット開発のチャンスがあります。
  3. 「エンジン」が「モーター」へ:モーターには、磁界に挟まれたコイルに直流電流を流すことで、フレミングの法則によりコイルが回転する「直流モーター」、コイルに電流を流すブラシをなくし、外側に配置したコイルにインバーターで制御した電流を流すことで、内側の電極を回転させる「ブラシレスモーター」などがありますが、EVで多く用いられているのは、向かい合うコイルに交流電流を流すとフレミングの法則によってN極、S極が生まれ切り替わることで、同法則によってコイルの間にある軸が回転する「交流モーター」です。なお、日本電産はモーターとインバータと減速機が一体となったユニットを開発しています。

このように、ガソリン車のような系列サプライヤーによる垂直統合モデルのバリューチェーンではなく、例えばモーターとバッテリー連携をはじめ、ユニット開発のための水平分業(垂直連携)モデルへの移行が鍵を握っていると考えられます。

 

バーチャルエンジニアリングによるユニット開発

日本では、詳細部位までの製品形状表現ができない2D図面を用いて、加工技術者が、設計者の意図を汲み取り、あるいは意図以上の具現化を図ることで「日本品質」の製品を製造してきており、現在も3DCADだけでの設計は2割以下と言われています(『2020年版ものづくり白書』)。しかし、世界の自動車メーカーでは、1980年代から3Dデータを活かした開発・生産の模索が始まり、1990年代後半には3DCADの活用へと大きく変革し、今はほぼ完了しています。例えば溶接工程も、3DCADなら、溶接打点に流れる電流値と流れる時間を属性情報として入力できますから、極論すれば、3D図面なら、機械が同じならば同じ品質を実現できます。しかも、図面を送付することで、輸送コストと輸送時間を掛けずに、現地で同じモノを生産できるということです。
工場の「制御盤」も同様です。その中のPLCやインバータ、ブレーカー等の配置は、各装置から発生する熱や磁力線の影響を配慮して設計が行われます。日本では依然として、2D図面と熟練技術者に委ねられ、仮組立の上で組み立てるという調整作業が行われていますが、海外では2000年を過ぎて、各装置の3Dモデルがカタログ化され、3D設計で一発対応できるようになり、現地での組立時にはMRデバイスで指示を送ることもできます。

製品開発費に対するソフトウェアの割合は7割を超え、特に3万点を超える自動車の各モジュール、電子系部品に組み込まれているソースコード行数は1億行以上(マイクロソフトOfficeのOSが4400行)と言われます。以前はハードウェアのモジュールを検証していたところですが、2010年頃にはCAE解析が始まり、ECUの計算時間の検証、さらには自動車1台丸ごとの挙動検証可能なシミュレーションも登場しています。
これまで日本は、設計者のラフ図、解析技術者の機能検討、製造技術者の量産仕様検討の「すり合わせ」から最終量産図面を作成することを得意としてきました。これにより海外よりも少ない工数であったと言われています。しかし、欧米の自動車メーカーはシミュレーションを用いて「バーチャルスリアワセ」が可能な、開発・解析プラットフォームを整えたのです。2008年にCADが専用のUNIXワークステーションでなくともWindows上で稼働し、メールで送受信できるようになったことも大きな要因ですが、特に欧州は、戦後の米国の経済拡大、日本の高度成長に対抗すべく数十年掛けて産業育成のシナリオを作って、自動車メーカーの自社CADから汎用CADへの転換、CADメーカーの育成(その三大メーカーのうちシーメンス、ダッソーの2社は欧州)、ギアの表面精度はµオーダー、ボディはミリ単位などの違いへの対応などの規格の構築、型式認証に変わるバーチャルテスト認証制度の構築などを図ってきた賜物です。既に検査工程においても、日本ではレーザー計測や非接触3D計測がようやく広がり始めたところですが、欧州ではCT計測検査が始まっているとも言われています。
日本では量産受注を前提に設計提案をサービス的に行う向きもあったところですが、これによって、サプライヤーから自動車メーカーへの効果的な設計提案が可能になって、モノではなくバーチャルモジュールそのものが「価値」となる上に、自動車メーカーとの対等な協業も行われることとなり、サプライチェーンの変革をももたらすものです。

もちろん、発注企業の設計(CAD)技量によっては、受注企業の加工(CAM)の手間や、検査の手間が増えるため、サプライチェーン全体での統一意識、技能向上を合わせて行うことが必須ですが、「意を汲む力」と「すり合わせ力」の強みを活かすためにも、こうしたプラットフォームを「輸入」し、この「バーチャルスリアワセ」を取り込むことで、シミュレーション、バーチャルモジュールの流通を軸とした水平統合でのユニット開発を進めていくべきではないでしょうか。

 

半導体によって、時代は再びソフトからハードへ

かつて「産業の米」と言われた半導体が、一層脚光を浴びています。

日本はDRAMを中心に世界を席巻するも、日米半導体協定、90年代のインターネット・ブームを境に、やがてハイテク産業の覇権はGAFAMに移りました。しかし今や、それら巨大IT企業もクラウドサーバーやスーパーコンピュータの半導体チップ(CPU、画像処理やAI用等に用いられるGPUなどのプロセッサ)開発に注力しています。

2020年6月、世界スパコン・ランキングで、5部門のうち4部門を理化学研究所・富士通の「富岳」がトップを独占しましたが、残る1部門のトップを獲得した日本のAI企業Preferred Networksもチップの自社開発に取り組んでいます。ディープラーニング(学習と推論)やビッグデータ処理に対応するため、ライバルに差を付けるため、ハードの制約を受けるソフト開発の効果を高めるため、チップ開発に進出しているのです。
ムーアの法則によれば、1チップのトランジスタ数が18ケ月で倍化しますが、トランジスタが微細化するに従い電流漏れや過剰な熱の発生が起こるため、近年のパソコンは、クロック周波数を保ったまま性能を上げようと、演算ユニットを多数内蔵(マルチ・コア)した汎用CPUを並列(マルチプロセッサ)で繋いでいますが、先の両者のスパコンは、命令を同時に複数のデータに並列に適用するかつてのベクトル方式も組み合わせ、富岳にあっては毎秒41.6京回の浮動小数点(仮数、基数、指数の要素で表現する数字)計算を実現しました。
このため、スーパーコンピュータは、「理論」「実験」と並ぶ現代科学の第3の柱「シミュレーション」の高度化を実現し、天気予報のほか、宇宙シミュレーション、材料研究、量子化学や量子コンピュータ開発、空力設計、がんゲノム医療研究などに用いられています。例えば、新型コロナウイルス感染症の治療薬。一般に創薬開発は、病原である標的タンパク質の探索(ターゲット探索)、それと結合する化合物の探索(リード探索)、人間が飲める形にする薬剤変換(リード最適化)、動物評価(前臨床試験)、ヒト評価(臨床試験)という長い工程を経て、成功確率は2.5万分の1程度と言われています。そこで、リード探索のシミュレーションが行われてきましたが、通常は標的タンパク質を「固定」した形で探すので精度が低いのに対し、富岳を用いて「動かす」ことで高い精度で検索が進められています。三次元座標に、標的タンパク質を構成する数万個の原子を配して質量や電荷を基に加速度を計算し、フェムト秒単位で移動後の座標を求めるという膨大なデータ量をこなしているそうです。

スーパーコンピュータは、自国の産業基盤の強化などを目的に「汎用機」開発で国家間でしのぎを削っているところですが、富岳は、最高レベルのマシンをコンシューマー製品にも幅広く応用できる点も高く評価されています。一方、計算量が数ヶ月ごとに2倍に伸びているAIの学習のため、巨大IT企業は自社開発のAI計算用チップやエヌビディアの最新GPUなどを数千個搭載したAIスパコンの自社開発を進めており、計算速度毎秒100京回に達しています。90年代以降、半導体の最小加工寸法が数百から数十nmへと微細化するに伴い、ウエハー上での薄膜形成、回路焼き付けなどの前工程を中心に、水平分業への転換が起こり、開発・設計を行うファブレス企業(クアルコムやエヌビディアなど)や、製造だけを行うファウンドリ企業(台湾のTSMCなど)が生まれてきました。

日本の半導体そのものの世界シェアは10%を切っていると言われますが、半導体の基板となるシリコンウエハでは、2社で世界シェアの5割を占める日本企業のうちの1社は京都のSUMCOです。SCREENホールディングスは洗浄装置において1社で世界シェアの半分近くを占めています。また、イノベーションも次々と生まれています。東京のスタートアップ企業(外部リンク)で、トランジスタやコンデンサなどを配置する基板である電子回路を、スパッタリングでウエハに銅箔成膜、レジスト塗布、フォトマスクで露光・現像(レジスト廃棄)、エッチング(銅廃棄)、レジスト除去(レジスト廃棄)という従来の回路形成方法ではなく、銀ナノインクジェットプリント、銅めっきという新方式で、少工程・廃棄レスで実現するところも生まれてきています。あるいは、型をウエハに押しつけて、回路線幅5nmほどの微細な回路パターンの形成も可能なナノインプリントリソグラフィ(NIL)は、極端紫外線露光と比べ消費電力を10分の1に抑制できるという。今後は、こうした前工程だけでなく後工程の技術革新も今後のトレンドの1つとも言われています。2021年時点で、回路線幅3nmを実現し、2nmの新工場も建設中の台湾TSMCは、半導体を縦に積み上げる3次元実装技術の確立を目指すため、素材や製造装置に強みを有する日本企業と組もうとしています。

こうした半導体による、逆説的ですが、ソフトからハードへとも言える動きをチャンスとして捉えていくことが重要だと考えられます。

 

高機能材料、微細加工、生産材、そして企業体制を磨く

日本は、「高機能材料」や「微細部品」、量産を支える「生産財(工作機等)」の技術は得意としています。
例えば微細加工。成膜やエッチングなど2次元加工の半導体製造、光学系のレンズ表面加工などの「ナノ加工」に次ぐ、1μm~30μm程度の「微細加工」です(肉眼で見えるのは300μm程度まで)。「生産財部品」では医療ロボットを支える微細機構などがそうですし、「製品部品」では痛くない注射針、カプセル内視鏡、スマホの微細部品の検査プロープ、カメラ内蔵あるいはAR用ディスプレイ内蔵スマートコンタクトレンズなどがそうです。
さらにこうした部品を生産するための「マシン(生産財)」も日本の中小企業が存在感を発揮しています。直径0.01mmのエンドミルや微細加工用マシニングセンタ(自動工具交換・数値制御機能付きフライス盤)等がそうです。小径ゆえに回転数を上げながら冷却液等で収縮を抑える主軸の構成、数値制御の補正をも超えるナノレベルの位置決めを実現する組立時キサゲ作業など匠の技が盛り込まれています。さらには加工ヘッドに超音波振動を加えることでセラミックスやガラスへの微細加工もできるようになっています。また、セラミックスの放電加工が可能になったり、CO2レーザーから、ファイバーレーザー、さらにはフェムト秒レーザーなどが登場したりと、非接触で高アスペクト(深穴)を実現できる放電加工機、レーザー加工機も飛躍的に発展していますし、量産向けのプレス加工や医療分野のディスポーザブル等で利用が進む樹脂成形でも、微細加工は深化しており、精度を測る非接触3次元測定器やX線CTスキャン等も発達しています。

一方で、「企業体制」(信頼、保証)の充実は課題です。自動車、半導体、機械などの産業は、樹脂材料や金属材料などの「素材工場」、最終製品などの「製品組立工場」、そして、その間には多くの中小企業や多くの京都の大企業が担う「部品製造工場」などから成り立っています。

  • その部品製造工場の加工機に着目すると、複数の加工機が並ぶ中を加工部品が順番に流れる「ライン生産型工場」(中堅企業等。一人等でまとめて管理する場合は「セル生産」)、同種の加工機が集まるエリアから別のエリアへと加工された部品が渡り歩く「ジョブショップ生産型工場」(多くの中小企業)、1つの加工機だけの「単一工程型工場」(一人親方企業等)に区分でき、
  • フローに着目すると、自社オリジナルの「汎用部品」を製造している場合は、販売計画を基にした「計画生産」、親会社からの依頼の「専用部品」を製造している場合は、「生産指示方式(内示、確定受注)」や「在庫補充方式(ジャスト・イン・タイム、かんばん方式)」を基にした「受注生産」という区分ができます。

多くの中小企業が担っているジョブショップ生産型工場、生産指示方式受注生産(製造指示書(現品票)で管理)はスケジュール管理が難しいわけですが、近年の多品種化、人手不足に加え、パンデミックにより、納期遅れの増加が露呈しました。

  • 自動化されているケースも多い食品産業、化学産業の「加工製品工場」と違って、半導体工場を除けば、完全自動化はほとんどありません。各工程の加工機(自動機)が稼働している正味製造時間と、その前後の余裕時間(セットアップ時間や待ち時間)を、機械増強、現場改善、品質向上などでいかに短くするかが引き続き重要です。
  • また、ジャスト・イン・タイムはパンデミックや災害に弱いことも分かりました。需要変動(計画生産)、生産変動(受注生産)に備えた一定の安全在庫は必要です(逆に安全在庫を求める動きは、世界的な資材不足の原因の一端になっているかもしれませんが)。

 

競合との開発競争から、未来への開発協創へ

府内工業製品出荷額は約5兆9,000万円(京都市内2兆6,700万円、山城2兆1,000万円、南丹3,700万円、中丹6,500万円、丹後1,100万円)であります(2019年工業統計調査、従業員4人以上)。そんな中で、2020年、新型コロナウイルス感染症が蔓延しました。2021年現在、特に機械金属業等においては、実用化段階に入った5G、脱炭素関連のグローバル競争激化に伴う半導体、車載部品等の需要拡大、ゲーム機など巣ごもり需要の拡大の一方、自動車業界で顕著なように同じ業界でも取引先によって業績回復は大きくまだらとなっています。例えば北部機械金属業界においては、2021年3月時点の業況判断DIが、コロナ前の2019年9月と同水準にまで回復しています((公財)京都産業21北部支援センター調)が、まだ十分な業績回復に至っていないのが実態です。

そこで、競合との開発競争から、未来への開発協創出への脱皮を図ることが重要であり、まず1つ目として、ユニット化のためのバーチャルスリアワセ等に関しては

  • 生産性向上を図るために行ってきた情報や機械のシェアリングの一層の高度化(既に、工作機のプログラムを作るAIを、サブスクサービスで提供する事例も登場しています。)
  • 開発型企業への脱皮を図るプラットフォーム「試作産業」、さらには、コンピュータによるデザインやデジタル解析(CAE)などにより高度かつ低コストで競争力を高めるため「試作レス」の一層の推進を図っていくとともに、

2つ目として、企業体制(信頼・保証)の強化に関しては

  • 新技術・新製品の開発や販路開拓等の支援に加えて、材料や組み合わせ提案やトレーサビリティの高度化など、サスティナブルの視点での提案・保証ができる体制づくりの支援
  • それを支える中小企業技術センターなどにおける貸付、すなわち、加工精度の診断を行う工作機械精度診断測定システムや高性能高さ測定機、ものの表面の解析を行う電子顕微鏡、内部の解析を行うX線透視装置などのほか、電子部品の有害物質に関する欧州の規制強化への対応の関係では、有機物の分析を行うガスクロマトグラフ、金属の分析を行う放電発光分析装置などの検査装置や生産装置の貸付などを引き続き実施してまいります。

なお、北部産業創造センターにおいては、2020年度はコロナの影響で来場者数は4割減の900名程度でしたが、機器貸付は約1200件と横ばいで推移し、2021年度も8月末まで400件超と同様に推移しています。丹後ものづくりパークにおいても、2020年度は研修受講者が1300名程度に半減したものの、機器貸付は約2000時間と横ばいで推移し、2021年度も8月末までで800時間弱とほぼ同様に推移し、VR機器も地域の子ども・学生にものづくりを紹介するアイコンとして100名を超える利用があります。
そして、北部の最大の課題であった人材確保に関しては、コロナを機に潮目が変わりつつあり、UIJターンの若い人材が就職する事例も増えてきており、事業継続・創生支援センターの兼業・副業サポート等も活用して応援しているところです。

 

施策

スマートスマート(IoT/IoE、AI、ロボット、5G、エネルギー)

IoT等タイトルIoT/IoE、AI、Robot、xR、デジタル企業群 ロボットセンターロゴ

 

技術の基礎となる思想を見よ

時価総額世界トップ30社のうち、日本企業は1989年には21社であったのが今は1社のみ。自動運転、AI、5G、フィンテックなどが、アメリカや中国ではもはや「先端技術」ではなくなり、新たなビジネスが次々と興ってきています。

例えばフィンテック(あるいが保険領域のインステック)は、長く続いたデフレの影響等で50歳以下の金融資産シェアが約2割しかなく、家計の金融資産構成の約半分もが現金・預金である日本では発展が難しいですが(スウェーデンでは金融機関の支店の大半が現金を持たなくなり、銀行強盗が数千件から数十件に激減)、アメリカではリーマン・ショック(金融機関への不信感の増大、金融機関をリストラされた人々の存在)がきっかけの1つとなりました。日本でも資産運用、税金を考慮した投資、目標貯蓄の達成のための日々の支出のアドバスなど、ロボアドバイザーは登場していますが、何より重要なポイントは、ミレニアム世代(スマホ世代)、ビッグデータ、クラウドです。これらによって、ATMを持たなくていい、ライフログ(SNS上に残っている行動記録、自動車運転の急ブレーキの回数など)から審査を自動で行うなどにより、低コスト化と高い与信力を発揮できるため、書面不要でより高い預金金利や低い貸出金利の設定、これまで金融が届かなかった幅広い消費者へのサービス展開が実現できるのです。さらには、オープンAPIによって、オンラインショッピングを支える基盤にもなるなどカスタマーリレーションシップの強化を目的としたBtoBサービスも発展しています。

また一方で、データ分析技術の進化によって、携帯電話の位置やパソコンの動作環境等の匿名データからもその人の好みや生活習慣が導き出せるようになりました。このため、氏名や住所など個人を特定するデータだけでなく、そうした「顔の見えないプライバシー」も個人情報をみなす動きが、EU(「一般データ保護規則(GDPR)」)を中心に加速しており、便利さとプライバシー保護の両立が不可欠な時代となってきました。

こうした遅れを逆手にとって、今や日本がリープフロッグを実現するチャンスかもしれません。
これまで2015年に開設した「けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)」には、アグリ、ライフ、エネルギー&ICT、カルチャー&エデュケーションの「4つのスマート」をテーマに、累計30以上(現在20以上)の企業・団体が入居し、様々な研究開発を進め、その半分は国やVCの資金獲得を達成しています。例えば日経新聞「関西スタートアップ企業価値ランキング」1位(2019年)にもなった銀メッキ導電性繊維やスマートウェアの開発企業、日経新聞「NEXTユニコーン」108社(2017年)に選定された次世代バッテリーの開発企業、もはや「ロボット工場」と呼ぶにふさわしい植物工場の高度化を図る企業など、多くの成功事例が生まれてきています。
また、既に建機等では測量・計画・施工・検査等の全工程をデジタルツインとビッグデータで繋ぐ取組が進められていますが、2019年に開設した「けいはんなロボット技術センター」は、種類の異なる様々なロボットや自動運転車が行き交う将来のスマート社会を見越し、自律移動技術とそれを支えるインフラ技術の開発・実証を推進するものです。既に累計340件を超え、ビジョンセンサなどの「感覚器」、モーションプランニングなどの「脳」、インテリジェンスモーターなどの「駆動器」、無線伝送などの「エネルギー供給器」など、先端的なロボット(パーツ)を自社開発する動き、あるいは、世界中の先端技術を取り込み利用シーンに応じたパッケージに仕上げていく動きなど、各社各様のチャレンジが続いています。
さらに、2020年にKICKやロボットセンターあわせて3カ所に5G基地局を整備し、あわせて5G実証補助金も創設し、KICK屋外でも5Gや自動運転技術の開発が加速しています。既に累計170件を超え、一般車両混在状況における自動化レベル4の自動運転実証等も行われました。2021年度もドローンとの映像通信や過疎地オンライン診療など、次々と次世代技術の実証が行われています。

今後は、京都の大学やけいはんな学研都市の様々な研究機関とも一層連携を図ることで開発ステージを高め、例えばロボットというハード起点でUXやアプリケーションを思考するという流れではなく、デジタルでつながれた世界の中での「振る舞い方(それはデータ活用によって向上を重ねる)」「ビジネスモデル(自動運転車はロボタクシーとして貸し出すことで24時間稼働)」を起点に考えるなど、これまでの延長線上ではないアプローチも図る必要があると思われます。しかし、それ以上に重要なことは、変遷が激しい「技術競争」に飲み込まれないためには、技術の基礎となる「思想」を見定めることです。そのことによって、世界の潮流を日本・京都にたぐり寄せる取組を進めてまいります。

 

施策

脱炭素 ネイチャー脱炭素・ネイチャーパワーテクノロジー

環境・社会・経済の持続可能性・好循環を実現するイノベーション

環境・社会・経済の持続可能性・好循環については、既に

  • 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2015年国連サミット採択)で、SDGs(持続可能な開発目標)17ゴール・169ターゲットが定められ(16平和、17連携、10人・国平等、5ジェンダー平等、1貧困、2飢餓、3健康福祉、13気候変動、12作る・使う責任、7エネルギー、14海、15陸、8働き・経済成長、9産業・技術革新、11まちづくり、6水・トイレ、4教育)、
  • 「第5次環境基本計画」(2018年閣議決定)においても環境・社会・経済の総合向上、地域資源活用ビジネス、生活の質を高める新たな成長が謳われているところですが、

新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、こうした、環境だけでなく社会・ライフスタイル、ビジネススタイル全体を持続可能なものに変革する気運は一層加速しており、オイルショック後に日本の省エネ技術が世界から求められたように、ESG(環境、社会、企業統治)投資を呼び込み、環境技術等を世界に展開するチャンスが到来しています。
京都においても、京都府環境を守り育てる条例(1995年)、京都府環境基本計画(第1次1995年、第2次2010年、第3次2020年)など推進してきたところですが、古来、食文化、織物産業をはじめ自然と共生した豊かな文化・産業を育んできたものの、石油資源を中心とした近代産業の波の地球規模での拡大に飲まれ、また、政治の中心地であるだけでなく町衆による高度な自治が培われてきたものの、少子高齢・人口減少社会に突入した現代においては地域コミュニティの弱体化、社会の担い手の不足が課題となっています。
そのため、環境・社会・経済の好循環の創出のためには、AI・IoT・ロボット等による生産性向上・エネルギー効率化、さらには、豊かな生態系のグリーンインフラを中心とした地域資源の活用による脱炭素時代を切り拓くイノベーションなどを推進し、サプライチェーン全体の最適化、豊かさの価値の再創造を実現することが重要です。

 

カーボンニュートラル

太陽光のうち、雲等による「日傘効果」を除く約7割が大気中または地表に届き、地表からの跳ね返る赤外線を、雲等と同じく、吸収し再び地表側に跳ね返すのがCO2、メタン、フロンガスなどの「温室効果ガス」で、これがなければ氷点下19度とも見積もられる地表付近の温度は温められているのです。そして、温室効果ガスの排出量から、森林による吸収量等を差し引いた実質的な排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」の今世紀後半の実現を目指すパリ協定(2015年)を踏まえ、日本も2050年までにその達成を目指すとされています。「気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)」(1997年)が開催され、温室効果ガス削減に関する初めての法的拘束力をもった国際的枠組み「京都議定書」が採択された地である京都においても、「京都府総合計画(京都夢実現プラン)」(2019年)において、「脱炭素社会へのチャレンジ」を掲げるとともに、2020年に「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ」を目指すことを宣言したところです。
温室効果ガスの中でも最もウエイトが大きいCO2に含まれるカーボン。これまで発見され、作り出された物質の8割は炭素を含んだ化合物(有機化合物。ただし、元々は生物が作り出す化合物を指す言葉故にCO2やダイヤモンド等は含みません。)です。他のあらゆる元素と異なり、炭素はお互いに長くつながり合って安定な分子を作ることができるからです。DNAやタンパク質、脂肪など我々の体も、木材、紙、プラスチック、アスファルトなどの材料も炭素が基軸となっていますし、石油や石炭などのエネルギー源も炭素と水素、炭素と炭素が結びついてできているのです。つまり、こうした「材料物質」の創出・分解や、「エネルギー」の活用の際に温室効果ガスが排出され、その「排出抑制」や、「回収・固定」が求められています。

 

材料物質とエネルギー、回収・固定と排出抑制

まず、「材料物質」に関しては、食品ロス(食品ロスの削減の推進に関する法律、2019年)や脱プラスチック(京都府プラスチックごみ削減実行計画、2020年)などの資源循環に関する取組が重要であることはもちろんのこと、例えば農業では、「化学肥料」は土壌で分解(発酵・腐敗)されると一酸化二窒素になってしまうため、化学肥料や農薬を用いないリレジェラティブ農業を指向する動き、「もみ殻」も土壌中で分解されればCO2になってしまうため、予め炭化した「バイオ炭」を用いればCO2になる量を減らす(土壌に貯留する量を増やす)研究、稲わらなどの穀物の「藁」や家畜の「排せつ物」も分解されるとメタンガスが発生するため、昆虫を使って素早く分解する研究が進められています。畜産においても、牛やヤギなどの反芻動物のげっぷにも大量のメタンガスが含まれるため、げっぷが出にくい成分を飼料に混ぜる研究等が進められています。あるいはそもそも、牛肉のタンパク質の量は、餌にした大豆のタンパク質の量のわずか5%になってしまうので、直接大豆を加工する「代替肉」や、細胞3Dプリンティングなどで家畜の細胞だけを培養する「培養肉」に関するスタートアップ企業も登場してきていますし、京都にも飼料が少なくて済む「昆虫」食を開発しているスタートアップ企業もあります。
あるいは鉄鋼業。高炉では、鉄鉱石から錆び(酸)をとるためにコークス(炭)を投入してCO2が排出され、転炉では、そうしてできた銑鉄(炭が結びついて脆い)から炭素をとるため、また酸素と結びつけてCO2が排出されている(もちろんこれらの工程で大量のエネルギーも用いられています)ため、高炉の排気口にCO2を回収・固定化するためのCCUS装置を取り付ける方式や、コークスの代わりに水素を用いる研究や電子をぶつける研究が進められています。
あるいは石油化学工業。プラスチックの原料であるナフサを、石油から精製する際に、石油を燃焼させCO2を排出してしまいます。近年は石油ではなくCO2からプラスチックを作る研究や、植物由来のバイオプラスチックの開発も進んでおり、京都にも紅色光合成細菌を用いた海洋植物由来の新素材を開発しているスタートアップ企業も登場しています。

次に、「エネルギー」には、石油・石炭あるいは食料などの化学エネルギーのほか、光エネルギー(波長が短い方がエネルギー高い)、電気エネルギー、熱エネルギーなど様々な形があり、同じ大きさで変換が繰り返されていますが(エネルギーの原則:3E+S(環境適合、エネルギー安定供給、経済効率性+安全性))、石油・石炭などの化石燃料(有機化合物)を燃焼させれば、つまり、酸素を結びつければ、エネルギーが取り出せますが、炭素の酸化物CO₂が生じてしまいます。酸素と結びつけることが「酸化」、逆に酸素を切り離すことが「還元」ですが、金属を結びつけてCO2を還元するにも、その金属を精製するのに結局CO2を排出してしまうのです。燃やしてもCO₂を出さないクリーンなエネルギー・水素も、その製造過程でCO₂を排出している、EVもそのものからCO₂が出なくとも、動力となる電気を化石燃料でまかなっているとすれば、効果が乏しいということになります(石油化学や鉄鋼業等での副生水素を「グレー水素」、それに回収固定装置を付けた「ブルー水素」、再生可能エネルギーを用いて生成する「グリーン水素」など様々な呼称があります)。このように、排出されているCO2を(化石燃料を使わずに)還元すること、エネルギー源として化石燃料以外のものや燃焼時にCO2を排出しないアンモニアなどの活用促進を図ることが重要なのです。

 

回収・固定- CO2の還元- 炭素の酸化還元-
(炭素(有機化合物、エネルギー内蔵))+(酸素)=(エネルギー)+(CO2)

工場等で排出されるCO2を回収・固定する技術には、「CCS(回収・貯蔵)」「CCU(回収・利用)」「CCUS(回収・利用・貯蔵)」など様々なものがありますが、その他にCO2の還元の観点で注目されているのが「植物」です。
35億年前、植物による光合成が始まって以来、地球上の酸素が光合成で作られているということのほかに、葉に当たる僅かな太陽光をエネルギー源にし、大気中にわずか0.04%しか存在しないCO2を還元し糖分に変換しているということが重要です。具体的には、太陽エネルギーと、葉緑体に含まれるタンパク質複合体「PSII」の触媒機能により、水が酸素(放出)・水素イオン・電子に分解されます(「明反応」)。蓄積された水素イオンの濃度差がエネルギーとなって生じる物質ATPと、電子を蓄える物質NADPHにより、CO2から糖質を作ります(「暗反応」)。化学プラントに見られるような、高温も高圧も必要とせず、幹や根、花や実を作り出しています。
この仕組みに倣う人工光合成の研究では、植物のように葉緑素を利用するもの、人工的に改変したタンパク質を活用するもの、半導体と分子触媒を用いた完全に人工的な系など、アプローチは多岐にわたっており、植物が主に作る化合物は、ブドウ糖を連結させたセルロースやデンプンなどですが、植物が作れない化合物を作ることも可能となります。
また、京都のスタートアップ企業では、植物の光合成でCO2だけでなく窒素も直接固定化する、さらにはそこに他の遺伝子を導入することで様々な物質を生み出す、夢の技術の実用化を目指しています。

 

排出抑制- 水素の酸化還元-
(水素)+(酸素)=(エネルギー)+(H2O)、電子放出(酸化)と電子吸収(還元)

化石燃料以外のエネルギー源としては、例えば「水素」がありましょう。
水素の酸化を活用してエネルギー(ここでは電気)を生み出すものとして、水素燃料電池(発電)があります。水素と酸素の混合ガスに火を付けると、水素から電子が飛び出すことにより水素イオンになります。そして電子は酸素と衝突し酸素イオンができます(このように原子(ここでは水素)から電子が放出されることが「酸化」の正体で逆が「還元」の正体。例えば亜鉛メッキ鉄板は、たとえ鉄がイオン化(酸化)しても亜鉛から電子をもらう(還元)ことで浸食を防止)。こうしてイオン同士が結びついて水ができるのですが、水素から電子が飛び出す工程と、電子が酸素と衝突する工程を分けて、電子の通り道を作ることで、電気が起こるという仕組みです。こうして水素自動車(燃料電池車)は、タンク内の水素と空気(酸素)で、H2Oを排出しながら電気を生み、それでモーターを回すものです。
また、(水素)+(酸素)ではなく、(水素)+(二酸化炭素)から都市ガス(メタン)を生成する次世代技術「メタネーション」への期待も高まっています。ガス田から採取した天然ガスではなく、再生可能エネルギーで作る水素と、工場等から回収した二酸化炭素で作ることで、カーボンニュートラルを目指すものです。
なお、エネルギーを取り出すことを目的としているものではありませんが、「光触媒」も水素の還元反応を利用しています。光のエネルギーによって、化学反応を促進する物質全体を指しますが、その中で実用化されているのが酸化チタンを用いたものです。酸化チタン(TiO2)に光を照射すると、そのエネルギーによって水が水素と酸素に分解(還元)されます。その際生じた電子を得た酸素(活性酸素)が、アルコール、植物の葉、ゴキブリさらにはCO2までをも分解(酸化)する、これによって汚れなどを太陽光で分解するというものです。

 

排出抑制- 再生可能エネルギーとそれを支える2次電池・スマートグリッド

化石燃料以外のエネルギー源としては、さらには太陽電池や風力等の再生可能エネルギーがありましょう。
既に京都にも、太陽光発電モニタリングシステムで実績の豊富な企業その検査システムを提供する企業のほか、風力発電の効率アップに挑戦しているスタートアップ企業も生まれています。
さらに、カーボンニュートラル社会では、発電量が変化する再生エネルギーから転換された電気の蓄電に、2次電池の需要がますます高まっています。
まず電池とは、「電気(電子)が詰まってる」のはなく「発電する」ものです。負極の材料は、電解液に溶けやすい金属にして、溶けてイオンになる分、電子が導線を伝って正極に移動します。正極の材料は電解液に溶けにくい材料で、導線を伝わってきた電子は電解液(イオン)と結びつきます。こうして正極の電子がすぐに消費されるので、また負極から電子が移動してくるのです。そして、イオンになりやすさ(イオン化傾向)が「電圧」を決めるものです。また「2次電池」の充電は、外部エネルギー(コンセントにつなぐなど)によって、こうした放電とは逆の動きをさせるものです。
塩をよく溶かし、溶解したイオンが速く動くので、電解液に水を用いる「水系電解液」(液体のままでなく、紙にしみこませたものは「乾電池」)は、水が1.5Vより大きな電圧では水素と酸素に電気分解するため、「小型(電気を蓄えるための必要な体積(体積エネルギー密度)が小さい)」「軽量化(重量エネルギー密度が小さい)」、すなわち高電圧化に不向きであるため、「非水系有機電解液」として、「1次電池」では金属リチウム電池が、「2次電池」ではリチウムイオン電池が開発されました。リチウムは、金属で最大のイオン化傾向を持ち(高電圧)、軽い元素である(軽量化)ため、特にリチウムイオン電池は、携帯電話に、これらはEVに用いられます。
リチウムイオン電池は、負極にカーボン、正極にコバルト酸リチウム(セラミックの一種)が用いられています。スーパーのレジ袋などに使われるポリエチレンは、「単結合」(隣り合う分子が互いに電子を1つずつ出し合っている。)のみの安定的な「シグマ結合」で電気は流れませんが、カービン、中でも一般的なグラファイトは、「二重結合」(2つずつ)と「単結合」が交互となっているような、不安定な「パイ結合」だと電気は流れやすいのです。「化学電池」に位置づけられますが、化学反応は使っておらずサイクル寿命が長いです。
こうしたリチウムイオン電池を世界に先駆けて商品化した日本は、電池メーカーのほか、負極材(グラファイト)、正極材(コバルト酸リチウムやニッケル・コバルト・マンガン酸リチウムなど)、セパレーター、電解液などのメーカーが多数存在し、京都にも負極材の開発や鉛蓄電池とのハイブリッドなど斬新な電池の開発を進める企業もあります。しかし、2000年頃は小型タイプのシェアの大半が日本であったものの、今や中国が世界の7割を占め、特に車載用では中国・韓国勢が主流となっています。そんな中、京都には、EV向けバッテリー検査装置で世界で高いシェアを誇る企業や、交流モーターが主流となっているそうしたEV向けに世界初の交流(高電圧、大容量(電力(電圧×電流)×時間))リチウムイオン電池を開発するスタートアップ企業も生まれています。さらに、リチウムイオン電池の充電回数や時間等の面の制約を補い代替するものとして、物理現象によって瞬時に充放電が可能で、それによる劣化が少ない物理電池であるキャパシタも、EV業界からは引き続き注目がなされているところです。さらには、EVの消費電力の多くを占めるエアコンの省エネ冷媒の開発など周辺技術の向上も進められています。
そして再生可能エネルギーの電力需給のバランスはもちろん、交流電力網の存在を前提に直流製品に必須となっているコンバータ、そのことが前提に太陽電池に必須となっているインバータ、直流電池を前提にEV用交流モーターに必須となっているインバータなども含め、より全体効率化を図るスマートグリッド(電力・情報統合ネットワーク)の構築も大きなテーマとなっており、京都においてもAIによるエネルギー需給予測等に取り組むスタートアップ企業も既に生まれています。

 

カーボンプライシング

設定された「CO2排出枠」を超えた企業がその超過分まで、下回った企業から余剰分を買い取る「排出量取引」は、既に世界の温暖化ガス排出の2割分に価格設定がなされています。また、日本も既に導入(地球温暖化対策税)している、CO2排出量に税を課す「炭素税」は、北欧やカナダ等が高い税率で企業の取組を促進しています。こうした「カーボンプライシング」で先行する欧州は、対策が不十分な国からの輸入品に価格を上乗せする国境炭素税を導入する方針であり、脱炭素の取組の遅れは、企業・産業の国際競争力に影響を及ぼす恐れがあります。

 

生産性向上・エネルギー効率化

これまでから京都府では、環境部局や京都市とも連携し、(一社)京都知恵産業創造の森・スマート社会推進部を核として、スマート製品等の開発支援を行ってまいりました。

  • エコ、エネルギー、ICTなどの先端テクノロジーを支援する「スマート社会実装化促進事業(補助率2分の1、上限500万円)」では、HEMSや省エネのための高機能膜分離技術、リユースバッテリーのリモートメンテナンス、物体検知ソリューション等の事例が生まれています(2020年度、2021年度とも4件)。
  • エネルギー消費の見える化(定額補助、上限150万円)、生産性向上(補助率3分の1、上限350万円)を支援する「スマートファクトリー促進支援事業」では、スマートカメラや電力測定器と連動させたエネルギーマネジメントシステムの構築事例等が生まれています(2020年度は10件、2021年度は9件)。
  • 開発されたスマートプロダクトを認定する「京都スマートプロダクト認定」においては、大気からガスを発生する装置やお手軽CO2センサーなどユニークな製品が2019年度から累計14件生まれています。
  • その他、温室効果ガス削減のために施設改修の支援を行う「京-VER創出促進事業(補助率3分の1、上限800万円)」、再生可能エネルギー設備や蓄電設備の新設等の支援を行う「自立的地域活用型再生可能エネルギー設備等導入補助事業」、「省エネ診断」などを行っています。

 

ネイチャーテクノロジー-- 日本を資源大国にする脱炭素時代のテクノロジー

地球上には数百万種とも言われる生物種が存在していると言われますが、まだまだ自然には未解明の機能が底知れず眠っており、その有効活用を図ることができれば、四季折々の豊かな自然を抱える日本は、まさに世界一の資源大国と言えるかもしれません。

既に、生物多様性条約(1992年)、生物多様性国家戦略(1995年)、生物多様性基本法(2008年)など推進されていますが、例えば近年は、光合成しながら移動し植物と動物の両方の性質を有す微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)を用いて、世界の課題解決に取り組んでいる尊敬すべき先行事例が日本にはあります。培養に関するプロセス改善、品種改良(突然変異、ゲノム編集)などの研究を着実に進められ、ユーグレナの栄養素豊富で細胞壁がなく吸収しやすい利点を活かして「食用」に【食糧問題】、あるいは、酸欠になるとエネルギーとして油脂を蓄積する仕組みを活かしてバスやフェリー、航空機等の「燃料」に【脱炭素】、あるいは、有機酸を含まない優れた有機肥料成分、医薬品としての価値すら見込める繊維成分、さらには宇宙での物質循環をも支えるものとして【素材(繊維、飼料、肥料など)】など、大きな可能性を示しています。

そして今、ここ京都でも、自然の機能の解明、活用に関する研究、目の前の自然から直接的に、化石資源の介入を要することなく様々な素材を生み出す技術開発などが進められています。

こうした(シン)ネイチャーパワーテクノロジーによって、素材から地域で生み出す「真」に地産地消型の「新」たなサプライチェーンの構築が図られ、POSTコロナ時代の日本のものづくりに新たな強みをもたらすとともに、環境に負荷をかけずに人間社会にこれまでにない付加価値をもたらすことができると信じ、その推進を図っているところです。

 

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ネイチャーパワーテクノロジー

コンテンツコンテンツ産業

映画のまち

2019年の国内映画興行収入は史上最高2,612億円を記録したものの、2020年は過去20年で最低の1,433億円(外部リンク)となりました。

京都は、国内において東京以外で唯一、映画の撮影所(製作・配給・興業を一貫して担う国内大手3社のうちの2社)が存在する都市であり、加えて、東京に比べてもロケ地が近いこと、さらには、特に時代劇の制作に関して深い知見と高い技術・ノウハウを有する中小企業、人材が撮影所周辺に多く存在することなどが強みであり、時代劇製作は往時に比べて少なくなったとは言え、京都での撮影ニーズは依然として高いものがあります。

これまで、ベトナムでコメディ映画を製作しハリウッド映画を上回るヒットを飛ばした日本人監督など、最初から他国でローカライズした映画でデビューを飾る若手監督も出てきているなどの近年の背景を踏まえ、「国境を超えた撮影誘致」を促進するため、2010年より若手映画監督等を育成するための映画制作ワークショップ「フィルムメーカーズラボ(外部リンク)」と映画企画コンペ「京都映画企画市(外部リンク)」を、2011年より著名な映画監督等が京都に集う機会ともなる「京都ヒストリカ国際映画祭(外部リンク)」を開催してまいりました。

  • ラボ(外部リンク)」は例年50~60カ国、200~300名の応募の中から約20名に絞って参加いただいており、2020年までに延べ257名が卒業し、劇場映画監督デビューが10名以上、短編映画祭グランプリ受賞者も多数輩出するとともに、卒業生が京都で映画を制作する事例も生まれています。
  • カンヌなどの市場タイプの映画祭では、吹き替えや字幕が未だ付いていない映画、パイロット版、脚本だけ、企画だけのものを、セリのように買い付けに来るような場がありますが、京都の「企画市(外部リンク)」は、国内唯一の映画企画コンペティションとして、最優秀企画には京都で撮影してパイロット版の制作を支援するものであり、2020年までに延べ286件の応募の中から11作品のパイロット版を制作するともに、過去の応募企画の中から公開映画に採用される事例も生まれてきています。
  • ヒストリカ(外部リンク)」は、「世界唯一の歴史映画祭」と銘打ち、東京、ベネチアなどの有名映画祭との連携や、著名監督の招聘などを通じて、映画業界における京都の知名度向上を図ってきました。2020年はコロナ対応として、シアター上映22本のほか、オンライン上映71本、YouTube配信29本、1,500名を超える来場、1,100本を超える購入がありました。2020年までに約18,800名が来場しています。

また、ロケ地情報発信のために2012年より「ロケスポット京都(外部リンク)」を開設し、500件以上のロケ地を紹介しています。地域からはロケ地として有名になることによる喧騒への懸念、製作側からは「とっておきのロケ地は秘密にしておきたい」など様々な思いがあり、センシティブな一面がありますので、こうした情報をきっかけに、市町村フィルムコミッション・ロケーションオフィス(京都市、宇治市、亀岡市、京丹波町、舞鶴市、京丹後市)等に問い合わせが繋がることが目的であり、これまで600件弱の撮影実績を挙げています。

そして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は映画製作に大きなダメージを与えました。そこで、東映、松竹等の映画関係企業どうし、さらには3Dデータ測量企業らも交え分野を超えた連携によって、風景を予め3Dデータ化しておくことで、実際に出かけなくともリモートでロケハンができる、役者さんがロケのために出かけなくとも撮影ができる、ハリウッド流の映画制作について、京都でも研究開発を開始しました。VFX(ポストプロダクションの映像加工)も組み合わせ、映画制作技術の高度化によって、映画撮影誘致に寄与することを目指しています。

一方で、近年は、フィルムへの焼き付けという現像工程不要(陰影表現ではやや劣る)で、ハードディスクに保存するだけのデジタル映画撮影・保存技術により、低コストながら大きなヒットを得る作品も登場し、資金は多く集めやすいものの制作会社に著作権がない製作委員会方式だけでなく、クラウドファンディング等を活用した自主製作を行う新たな潮流も生まれてきています。また、かつてテレビが映画に取って代わらんとしたように、インターネットの台頭はテレビ撮影にも影響を与えています。興業サイドから見れば、京都にはシネコンを含め15の映画上映施設がありますが、米国エンタメ業界では、動画配信、レコメンド制作に加え、ゲーム配信にも進出するNetflixやそれに追随する動きが生まれてきています。こうした新たな動きも捉えながら、互いに相乗効果を生み出すような新しい映画興行のあり方の模索が課題となっています。

 

ゲームとXRのまち

2020年の国内家庭用ゲーム市場はソフト・ハードあわせて3,674億円で、前年比113%(外部リンク)と、巣ごもり需要の関係で大きく伸びました。

NINTENDOの存在によって、京都は世界中のゲームクリエイターにとっても憧れのまちであるものの、スマートフォンの登場以降、小規模・低予算で開発されながら斬新なヒット作が多く登場していたインディーゲーム市場においては、欧米に先行されていました。そこで、国内外のインディーゲーム企業・クリエイターを発掘・育成し、日本にその市場を創出することを目的に、2014年からゲーム展示会イベント「BitSummit(外部リンク)」を産学公連携で開催してまいりました。2020年までに延べ700チーム以上が出展、5万人以上が来場、220万以上のネット視聴があり、イベントでの受賞チームなどは、取引拡大にも効果を発揮しています。そして、この間、京都のゲーム企業数は、2012年の15社(経済センサス)から、2019年には60社(独自調査)を上回るに至っています。さらに近年はeスポーツ用のゲーム開発への表彰など新たなことにも取り組んでいます。

多くの下請開発企業にとっては、ゲーム市場の伸びによってロイヤルティ収入が得られるわけではないため、収入の増加に直接つながるものではありませんが、この成長市場において、いかに新たな企画開発を提案していけるか、実力が試される局面でもあります。

また、例えばフェイスブックも仮想空間メタバース、VRを用いた仮想会議空間サービスを開始(外部リンク)しましたが、京都においては、これまでからゲーム分野を中心にAR、VR、MRなどのXR技術の活用がなされてきましたが、徐々に多様な産業分野での活用が進みつつあり。2020年には、XR人材の養成スクール「VRIA(外部リンク)」の開講に合わせて、用途開発ワークショップ「xR KYOTO」を開始し、開発企業だけでなく、利用を希望するユーザー企業、斬新な発想を有する学生等を交えて検討を進めているところです。

 

アニメのまち

2019年の国内アニメ産業市場は3,017億円と過去最高を記録(外部リンク)し、日本産アニメは海外でも人気の強いコンテンツでありますが、一方で、いくつかの問題が忍び寄ってきています。

まず1つは、生産性の低さです。1本の作品の制作予算は、日本もアジアもさほど差がないのですが、動画や原画の描写スピードが遅いと言われています。その理由はアニメを好む故に丁寧過ぎること、しっかり訓練を受けないままに独立してしまい、ますます訓練の機会を逸してしまうことなどが指摘されています。

もう1つは、特に3DCGなどのデジタル技術の担い手の層の薄さです。その分野では中国等が先行し、日本企業が技術力が足らずに下請けに入れないケースすら生じていると言います。

こうした状況から、これまで東京一極集中であったアニメ企業が、人材獲得を図るため、動画や原画等の作画部門を地方に拡大する動きが活発化し、コンテンツ系大学の多い京都にも近年5、6社が新たにスタジオを構えられました。

そこで本府では、そうしたアニメーター(動画マン、原画マン)の実力向上を図るため、アニメ企業どうし、さらには産学公連携によるワークショップ「アニメーターズキャンプ」を開始し、初年度の2020年度は、6企業が横断的に指導役になって、学生がデザインしたアニメキャラクターを用いて、6名のアニメーターが一連のアニメ制作全般を体験し一本のフルアニメを制作しました。2021年度は、3DCG技術の習得等を予定しています。

 

クロスメディア・コンテンツのまち

京都には、以上の、映画・映像、ゲーム・XR、アニメなどのコンテンツ企業、彼らがこれまで蓄積してきた深いノウハウ、そして約9,000名のコンテンツ学部学生といった人材が存在しています。

コンテンツ企業の事業支援・異分野展開や学生の地元就職等を支援するため、2014年に「KCC(京都クロスメディアクリエイティブセンター)」、2016年にはその後継の「KCROP(京都クロスメディア推進拠点)(外部リンク)」を開設・運営してまいりました。KCROPにおいては、2020年度まで370以上の雇用を創出し、延べ580以上の企業の伴走支援を行ってまいりました。

しかし、ネット配信をはじめコロナで加速する構造転換に伴う従来型コンテンツ市場の飽和、制作スピード(生産性)や3DCG技術に優れる新興国等との競争激化など、状況は厳しさを増しています。このように、世界を視野に入れた付加価値の高いコンテンツを生み出せる産業への転換が急務となっており、京都が蓄積してきたクリエイティブな精神・ノウハウと、最新技術の融合による「クロスメディア・イノベーション」を生み出せる仕組みづくり(蓄積のアーカイブや人材育成)が今後の課題です。

 

施策例

r3i082サイバー・フィジカル・メンタル システム

(工事中)

地域地域

北部産業創造センター ものづくり振興課・京大オフィス・京都大学国際科学イノベーション棟 知の京都・京都のSpecialist

南部
京都市・中部
北部
その他

 

ものづくり振興課の考える産業振興

  1. 地球規模での全体最適
    宇宙の中で生命を育んできた地球環境の奇跡的均衡の維持と心の平和の追求を図る
  2. 世界の健全な成長発展
    素粒子の結合、分子の結合からこの世が発展してきたように多様な結合による付加価値向上を図る
  3. 切磋琢磨
    互いに切磋琢磨し、傷つけ合うのではなく賞賛し合う世界を創造する

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商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

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