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知事の部屋 議会での発言 令和2年2月13日

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令和2年2月 施政方針及び提出議案知事説明要旨

令和2年2月13日

本日、ここに2月定例府議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、御多忙の中お集まりいただき、まことにありがとうございます。
それでは、令和2年度の京都府政の施政方針及び提出議案の概要を申し上げます。 

【令和2年度の府政運営】

昨年5月、新しい天皇陛下が御即位され、「令和」という新しい時代の幕が開けました。
「令和」という元号には「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という思いが込められており、京都のありようと重なるものを感じております。「令和」とともに幕を開けた新たな時代の京都府政を、皆様と切り拓いていく決意であります。
さて、現在、私たちが直面する最大の危機は、何と言ってもこれまでに経験したことのない人口減少・少子高齢化であります。2019年の日本人の国内出生数は、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回る86万4千人であり、また、出生数が死亡数を下回る人口の自然減も51万2千人と初めて50万人を超え、人口減少が加速しています。地域の集落やコミュニティの維持をはじめ、府民生活を豊かにしてきた持続的な経済成長にも大きな影響を及ぼすことが懸念されています。
また、AI、IoT、VR・ARなどの技術革新のスピードは目覚ましく、最先端の情報通信産業だけでなく、ものづくりや農林水産業なども含むあらゆる産業や、府民の暮らしのためにも活用していかなくてはなりません。
さらに、数十年に一度という規模の集中豪雨などによる自然災害の頻発や、感染が拡がり続けている新型コロナウイルスなどの新たな感染症の発生、悲惨な事件・事故が私たちの安心・安全な生活に対する脅威となっています。
このように、新しい時代の京都を築き上げていくには多くの課題が立ちはだかっています。
しかし、ここ京都には、他の地域にはない京都ならではの力があります。長い歴史の中で紡ぎ受け継がれてきた豊かな文化をはじめ、多彩な観光資源や大学・研究機関の知恵、多様な企業の集積があります。そして、脈々と育まれてきた、地域の絆、人と人との絆があります。
将来世代に素晴らしい京都を引き継いでいくために、私はこうした京都の力を結集し、前例にとらわれることなく、現地・現場で生じている一つひとつの課題に、新たな発想で挑戦してまいります。
一人ひとりの夢や希望が全ての地域で実現できる京都府をめざして。
私は、概ね20年後の2040年に実現したい将来像をこのように描いて、昨年10月、今後の府政運営の羅針盤となる京都府総合計画「京都夢実現プラン」を府議会の御議決をいただき、策定いたしました。
令和2年度当初予算は、このプランの実現に向けた発射台となる予算、「令和新時代・京都府夢実現チャレンジ予算」であります。  「夢」の実現に向け、市町村、府民、企業、団体、全ての皆様と連携し、オール京都でプランを実行することにより、府内すべての地域が、活力にあふれ誇りの持てる、新しい時代の京都を築き上げたいと考えております。

【子育て環境日本一の京都づくり】

1つ目の柱は、子育て環境日本一の京都づくりです。

銀も 金も玉も 何せむに 勝れる宝 子に及かめやも 
「令和」の典拠である「万葉集」の時代から、私たちは子どもを社会の宝として大切にしてきました。
しかしながら、京都府の「宝」である子どもの出生の状況は、合計特殊出生率1.29、全国3番目の低さにあります。これには、未婚率の高さや晩婚、晩産化など様々な要因が考えられますが、とりわけ重要なことは、いわゆる子育て支援にとどまらず、子育てしやすい安心・安全なまちづくりや、生活の安定と安心を確保できる雇用環境なども含めた総合対策が必要ということです。この観点から、昨年9月に「京都府子育て環境日本一推進戦略」を策定いたしました。
戦略の実現のためには、府民一人ひとりの意識や行動を変え、新たな子育て「風土」を築く取組みを粘り強く推進する必要があります。
来月、行政、経済団体、保育・教育団体等で構成する「きょうと子育て環境日本一サミット」を開催します。構成主体の取組みの発表や共同声明の発信など、オール京都での推進基盤として毎年取組みをブラッシュアップさせていきます。併せて、地域サミットを開催し、地域レベルでの取組みの具体化を強力に推進してまいります。
先ず隗より始めよ。
京都府の府民利用施設において子どもや子育て家庭が利用しやすい設備の整備に取り組むなど、具体的な「行動」を起こします。
また、市町村によるハード・ソフトを組み合わせた包括的な子育てにやさしいまちづくりを支援するモデル事業を実施し、目指したいまちの「見える化」を図るとともに、3世代の近居支援を強化いたします。
子育てにやさしいまちは安全なまちであります。 昨年5月の滋賀県大津市での痛ましい事故を契機として実施した緊急点検により明らかとなった要改善箇所の4分の3は既に対応を終え、用地買収を伴い時間を要するものの優先度の高い歩道設置等に早期に取りかかるとともに、園外活動時の見守り等を行うキッズガードの配置を支援し、子どもを交通事故や犯罪から守ります。
さらに、医療機関が京都市内に偏在する特定不妊治療に係る通院交通費支援制度や多胎妊婦の検診助成制度を創設するとともに、全国トップクラスの私立高等学校あんしん修学支援制度を更に拡充し、誰もが安心して学べる教育環境の充実を図ります。
京都府内で学ぶ子どもたちが新たな時代を豊かに生きる力を育むためには、子どもたちの未来を見据えて教育環境を整備する必要があります。このため、新学習指導要領の実施も踏まえ、府立高校等の校内高速LANを整備するなど、教育のICT環境の整備を加速いたします。特別支援教育については、来年4月の井手地区における特別支援学校の開校準備を行うとともに、向日が丘支援学校の校舎改築に向けて設計に着手します。
発達障害児支援については、舞鶴こども療育センターの常勤医師を増員するとともに、向日が丘支援学校に併設予定の共生型福祉施設における発達障害児の専門医療のあり方について検討を開始し、支援ニーズの増加に対応してまいります。また、幼稚園、保育所等が抱える様々な課題への対応や、幼児の小学校への円滑な接続を図るため、幼児教育センターを設置し、幼児教育の質の向上を図ります。
さらに、子育て環境日本一に向け欠かせないのが、子育て世代の方が多くの時間を過ごす職場を、子育てにやさしく、仕事と育児の両立が可能な環境としていくことです。令和元年度に開始した子育てにやさしい職場づくりを加速させるため、子育てしやすい柔軟な働き方を実践する企業等への支援を拡充するほか、企業に働きやすい職場づくりのためのサービスを提供する事業者に対する支援制度を創設し、昨年末までに287社が行っている「子育て環境日本一に向けた職場づくり行動宣言」を大幅に増加させます。

【全ての府民が躍動する社会づくり】

2つ目の柱は、全ての府民が躍動する社会づくりです。

(スポーツのメッカ・京都づくり)
いよいよ「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」が開催される今年は、京都府民の悲願であったスタジアムが「サンガスタジアム byKYOCERA」としてオープンする年でもあります。
先週末、スタジアムのこけら落としとなる初試合が大観衆の下行われました。令和の時代の京都のスポーツ拠点に相応しい国際大会や全国大会を誘致するとともに、京都ゆかりのトップアスリートと青少年等との交流によるスポーツの裾野拡大に努めます。併せて、府中北部地域の交流と観光のゲートウェイや地域のにぎわい拠点とすべく、地元の商店街や企業、亀岡市と連携した取組みを推進します。
5月26日には、ここサンガスタジアムでオリンピック聖火リレーのセレブレーションイベントを開催いたします。
ゴールデンスポーツイヤーズ最終年となる来年は、アジア初となる「ワールドマスターズゲームズ2021関西」が開催されます。会場となるスポーツ施設をはじめ、府内各地のスポーツ拠点を整備する市町村を支援するとともに、国内外からの府内開催競技への参加や府内広域周遊を促進するための情報発信を行ってまいります。

(京都で紡ぐ共生社会)
全ての府民の躍動に欠かせないのが、共生社会の実現です。
外国人も日本人も、障害のある人もない人も、若者も高齢者も、また性別にかかわらず、誰もがお互いを尊重し、互いに支えあい、全ての府民が生きがいを感じながら生活を送ることのできる社会の実現に取り組んでまいります。
府内の外国人住民が急増する中、新たな日本語教室の開設を支援するとともに、生活情報の提供や相談を行う市町村窓口の設置を支援し、地域住民と外国人が共に安心して暮らせる環境を整備します。また、外国人材ジョブ博の開催により、京都の企業ニーズと京都での就労を希望する留学生等のより効果的なマッチングを行うとともに、「外国人介護人材支援センター(仮称)」を開設するなど、外国人材の活躍を後押ししてまいります。
人生百年時代にあって、働き続けたい高齢者が意欲を持って仕事や地域活動に参画し活躍できることは、生産年齢人口が減少する中で、社会の活力を維持していくためにも重要であります。
このため、若年者中心の就労支援機関としてスタートした京都ジョブパークを「全世代型就労支援」と「全産業型人材確保」の拠点として捉え直し、中小企業、農業、福祉といった人材・人手不足分野でのシニア層へのリカレント教育と事業者とのマッチングを一体とするモデル事業に取り組み「生涯現役クリエイティブセンター(仮称)」の設置につなげるとともに、広域振興局が市町村やボランティア団体と連携し、地域活動とのマッチングを行います。
さらに、障害者、女性、中高年齢者等、幅広い人材が社会で自らの能力を発揮できるよう、企業のニーズ等を踏まえて高等技術専門校の訓練科目を改編し、令和3年度から新規カリキュラムを開始いたします。
今年7月、全ての小売業でプラスチック製レジ袋の有料化が義務づけられます。
京都府としては、有料化の対象外となるものも含め、レジ袋に頼らない社会の実現を目指し、市町村と協働して、レジ袋の削減につながる地域ぐるみの取組みを支援するとともに、プラスチック代替製品の開発等を支援し、プラスチックごみの排出量の削減に貢献してまいります。

(脱ひきこもり・就職氷河期世代の就労支援)
昨年は「8050」問題と言われるように、長期化、高年齢化が進む「ひきこもり」の問題に対する社会の関心が高まった年でありました。国が市町村をひきこもりに対する包括的支援窓口とする方針であることを踏まえ、未把握、未支援の方も含め、ひきこもり状態の方を円滑に専門機関につなぐことができるよう、市町村における専門相談窓口の設置に向け、人材育成やノウハウの提供、きょうと地域連携交付金による財政支援を行い、従前より京都府が行ってきたひきこもり支援との連携により、一人でも多くの方が自立に向けた歩みを踏み出せるよう体制を強化します。
また、社会に出るときの経済・雇用情勢が極めて厳しく、その後も非正規での就労や無業状態を余儀なくされたいわゆる就職氷河期世代の方が、府内に約1万9千人おられます。就職氷河期世代がその希望に応じた就業ができるよう、国の就職氷河期世代支援プログラムも活用し、それぞれの状況やニーズに応じたきめ細かな支援に取り組みます。

【文化首都・京都からの文化振興】 

3つ目の柱は、文化首都・京都からの文化振興です。

京都市、経済界と共にオール京都で進めてきた文化庁の本格移転に向け、来年度、いよいよ新行政棟の建設と現警察本部庁舎の改修に着手いたします。
文化庁を迎えるここ京都には、文化が古くから人々の暮らしの中に根付き、積み重ね、伝えられてきております。それが現在、私たちの地域や生活の中に息づいており、そうした多彩な文化は、世界の人々を魅了し続けています。令和の文化首都として、こうした地域文化を大切にするとともに、新しい文化を生み続け、地域に活力を生み出す社会づくりを進めてまいります。
東京オリンピック・パラリンピックの年である今年、2016年から開催してきた「京都文化力プロジェクト」の4年間の集大成として、府市協調で京都の伝統文化の魅力を発信する「総合的な文化の祭典」を開催するとともに、文化庁と連携し、府域でメディアアートを展開します。
また、「文化財保存活用大綱」を新たに策定するとともに、防犯対策も含め文化財の保存修理等への助成の拡充や、文化財を活用したイベント・ツアーの造成を行うことにより、京都の強みである文化財の保存と活用の好循環を生み出してまいります。
京都が文化首都としての地位をさらに高めるには、より多くの京都の作家が美術工芸のマーケットにアクセスできる場が必要です。
今年11月には、「京都国際アートフェア(仮称)」を開催し、国内外のギャラリー等美術関係者と、京都の現代アート作家や日本画家、陶芸などの美術工芸作家とのマッチングの機会を提供し、京都の作家のステップアップにつながるマーケットを開拓してまいります。

【新産業創造・成長】 

4つ目の柱は、新産業創造・成長です。

(起業のみやこ京都)
昨年3月、「京都経済百年の計」として、京都の経済団体や中小企業団体、産業支援機関が結集する新しい拠点、京都経済センターがグランドオープンしました。「オープンイノベーションカフェ」の登録起業家は2千人を超え、日々、起業を志す方が京都経済センターに集い、業種や分野を超えた交流が進んでいます。
「人のやったことはやらないという京都の風土や気風が私自身の血にも流れている。」
昨年、ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏は、こう述べておられます。
このような「京都の風土や気風」をもとに日本のみならず世界の起業家の方からも「起業するなら京都」と思っていただけるよう、府市協調・オール京都体制で環境整備を進めてまいります。
昨年12月、京都府、京都市、経済団体、大学・研究機関、金融機関、産業支援機関、ベンチャーキャピタルなどからなる「京都スタートアップ・エコシステム推進協議会」を立ち上げました。大阪、兵庫とも連携し、京阪神で世界に伍する「スタートアップ・エコシステム」の構築を進めてまいります。
特に、京都の強みであるものづくり分野では、試作の壁、量産の壁を越え、事業が軌道に乗るまで期間を要することから、設備貸与制度の創設や、技術・試作支援を伴走的に実施します。IoT等の分野では、VR・AR技術の活用を促進します。iPS細胞関連の産業化や社会課題解決型スタートアップに対する支援にも、ふるさと納税を活用して取り組んでまいります。
さらに、保健環境研究所内に「薬事支援センター(仮称)」を開設し、研究開発から許認可取得、実用化に至るまでのシームレスな支援体制を構築してまいります。
他方で、京都経済を支えてきた中小企業が抱える最大の課題の一つが事業承継です。経営資源やノウハウを次代に円滑に引き継げるよう、「中小企業事業継続・創生支援センター」におけるコーディネーターを増強するとともに、経営者の個人保証を要しない新たな融資制度を創設します。

(「食の京都」を核とした広域観光促進)
「初めて天橋立を訪れたがこんなに素晴らしいところがあるなんて知らなかった。」 「街ぶらトーク」の際、多くの観光客が異口同音に府域の様々な観光地の魅力を語ってくれました。府域観光の力を確信するとともに、より強力な誘引と発信が必要と感じました。
その鍵は「食」にあります。古来府域の食材は京の都の食文化を支えてきましたが、これからは生産地を訪れてこそ体験できる豊かな旅を提供できるよう、「食の京都LABO」により地域の旬の食材を活かした「食」を磨き上げ、府域と京都市域の「食の京都TABLE」で府内各地の「食」を提供するとともに、情報発信も充実させ、広域周遊観光の拡大を図ってまいります。また、京都市と「食の京都」に関する府市協調の推進体制を構築し、広域観光をはじめ、府域と市域の人と物の相互交流を促すための取組みを推進いたします。
心待ちにしておりましたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放映が先月から開始されました。
この機を捉え、関係市町村等とも連携して、明智光秀ゆかりの地を広域的に情報発信し、府域の観光振興や地域の活性化につなげてまいります。

(農林水産業の収益力向上)
令和の主基の斎田に選ばれた京都の米が供納されました。
これからも高品質の京都米を世に送り出すため、新たなブランド米を産み出し、京都でしか味わえない高付加価値の米生産を進めてまいります。
また、先月御披露目した瓶入り宇治茶「玉兎」のプロモーションを展開するとともに、中国の冒認商標問題に対処するための調査を行い、宇治茶の消費拡大を進めます。
林業については、小規模事業者が多く、担い手の減少も全国以上に進んでいる現状を踏まえ、生産性の向上支援をはじめ総合的な支援を行うとともに、森林経営管理法において市町村に求められる管理責任と専門職員不足のギャップを埋めるため、市町村の要望を踏まえた「森林経営管理サポートセンター(仮称)」設立に向けた準備を進めます。

【府民の安心・安全レベルアップ】

5つ目の柱は、府民の安心・安全レベルアップです。

(災害からの逃げ遅れゼロ)
今年は、あの阪神淡路大震災から四半世紀が経ち、そして来年は東日本大震災から10年という、未曽有の大災害からの節目の年になります。
また、京都府でも犠牲者を出した一昨年の7月豪雨をはじめ昨年関東甲信越や東北を襲った台風第19号等、近年は大規模な風水害も後を絶ちません。
改めて失われた多数の命の重さ、日常生活に与える被害の大きさに思いを致すとともに、ハード・ソフト両面から防災・減災対策に万全を期し、何としても災害から府民生活を守り抜く、という決意を新たにしております。
一昨年発生した一連の災害の総合的な検証結果を踏まえ取り組んでいる避難行動タイムラインの策定や災害時声かけ隊の創設・充実については、これらを府域全体に広げ、専門機関による避難訓練プログラムを開発し、消防団や自主防災組織も参画する避難訓練を全ての市町村で実施し、「災害からの逃げ遅れゼロ」を実現します。
また、総合防災情報システムを整備し、外国人観光客への災害情報の多言語発信や、備蓄物資管理と避難所ニーズの一元把握を行うとともに、道路情報提供・管理システムを改修し、道路の被災情報や通行規制状況を分かりやすく府民に提供し、円滑な避難につなげてまいります。

(防災・減災、国土強靭化)
ハード面では、国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」や今般の経済対策を最大限に活用し、河川整備や雨水浸水対策、人流・物流を支える道路のリダンダンシー確保、砂防・治山事業などに取り組んでまいります。
また、一昨年の台風第21号により発生した風倒木被害からの復旧事業を加速させ、特に人家裏、鉄道軌道沿いの被害箇所は令和2年度中の復旧を目指して事業を実施します。
さらに、河川の流下能力を制約する堆積土砂や樹木の除去・伐採が水害対策にとって極めて重要であることから、新設された地方財政措置を活用し、土砂の堆積状況や氾濫時の人家への危険度に応じて、河川の浚渫を集中的に実施します。

(医療・介護基盤の充実)
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年まであと5年、住み慣れた地域で老後を安心して過ごすためには、府内どこでも医療・介護サービスが適切に受けられる体制の確保が必要です。  まず、在宅医療需要や救急需要が増大する中、市町村消防本部との連携により救急安心センターを開設し、24時間365日体制で「♯7119」の救急電話相談を受けられるようにし、真に必要な事案に救急医療体制を集中させます。
また、京都府は人口10万人当たりの医師数が全国2位ですが、地域や診療科の偏在が課題です。京都府医師確保計画において、丹後医療圏を「重点確保地域」に、中丹、南丹、山城南医療圏を「確保地域」に設定するとともに、地域医療確保奨学金受給者をこれらの地域に配置できるようにするなど、総合的な医師確保対策を講じてまいります。 さらに、府立医科大学附属病院の循環器、脳神経、消化器の各診療科において、病棟に高度治療室等を備えたメディカルセンターを整備します。
介護体制の充実については、高齢者一人ひとりが、ニーズに応じた介護予防・生活支援サービスを地域において受けることができるよう、実施主体となるNPOやボランティア団体等の育成や担い手の確保に取り組むとともに、住民主体の通いの場等に専門職を派遣し、取組内容の質の向上を図ってまいります。

【地域における生活・交流基盤の整備】

6つ目の柱は、地域における生活・交流基盤の整備です。
京都府の南北140kmを貫く高速道路の全通や今後の更なるインフラ整備のストック効果を最大限に活かし、府域の活性化を進めてまいります。
京都舞鶴港については、取扱貨物量の増加を見込み、国際ふ頭の2.期整備に向けた調査等に着手するとともに、ロシア、韓国を結ぶ新たな国際フェリー航路の就航に合わせ、ポートセールスを強化します。引き続き、関西経済圏における日本海側ゲートウェイを目指して、コンテナ、フェリー、クルーズ機能を強化し、地元自治体とも連携しながら、増加する人流・物流を府北部地域の活性化につなげてまいります。
府南部地域においては、令和5年度の新名神高速道路の供用開始やアウトレットモールのオープンを見据え、木津川運動公園北側区域のあり方を検討するための調査を実施します。
また、JR向日町駅周辺地区の市街地再開発事業の施行を支援し、都市機能の更新を図るとともに、向日台団地の建替えに着手します。
あわせて、今年度南山城村や府北部地域で実施したMaaSの実証実験をもとに高齢化の進む過疎地域へのMaaSの普及と定着を図ります。
京都市域では、旧総合資料館の跡地活用や老朽化した府立大学体育館の整備など、北山エリア全体の整備に係る基本計画を策定します。
このほか、広域振興局においては、地域における子育て環境日本一の推進や食の京都の展開とともに、「地域振興計画」の推進に取り組むことにより、地域の個性ある魅力づくりや更なる成長・発展につなげ、府域の一層の活性化につなげてまいります。

【行財政運営】 

次に、施策を支える京都府財政の状況でありますが、府税収入は中国経済の減速等により法人2税が約59億円の減収となるものの、消費税率の引上げにより全体としては、2,790億円と前年度に比べ10億円の増収を見込んでおります。
しかしながら、社会保障関係経費は約40億円の増が見込まれるなど、厳しい財政状況が続いております。
このため、昨年3月に策定した「行財政改革プラン」に基づき、事業の見直しや歳入確保に取り組むなど、約75億円の財源を確保するとともに、府民利用施設34施設のキャッシュレス化など、府民サービスの向上と効率的な事業実施を図ってまいります。
以上に加え、喫緊の課題となっている新型コロナウイルス感染症対策についてであります。 新型コロナウイルス感染症の拡大や、府内での患者の発生を受け、この間、先月28日に開設した府民向けの専用相談窓口の週末対応、保健環境研究所での検査体制の構築、事業者、学校、府民の皆様への手洗いやマスク着用、消毒の励行など、感染拡大防止のための所要の対策を講じてまいりました。さらに、検査・医療体制の確保に必要となる資機材等の整備、消毒による防疫対策の充実や更なる府民向けの啓発を図るとともに、府市協調で新たな融資制度を立ち上げ、売上げが減少した中小企業等を支援いたします。

以上が、令和2年度の府政運営に対する私の基本的な考えであります。
府議会の皆様の御理解と御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

【提出議案】 

最後に、今定例会に審議をお願いしております議案についてでありますが、ただ今申し上げました施政方針に基づき編成いたしました令和2年度当初予算案並びに新型コロナウイルス感染症対策及び国の経済対策を踏まえた令和元年度補正予算案のほか、条例の制定・改正や財産の無償貸付け、指定管理者の指定に関する案件など、全49件の議案の審議をお願いしております。 

御議決いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

お問い合わせ

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