[心の健康について]
〈統合失調症〉 統合失調症の急性期について
統合失調症の急性期には過覚醒になります。
〈急性期を説明する仮説のうち、ドーパミン仮説とフィルター障害仮説について説明します〉
ドーパミン仮説
脳が活動するためには、化学物質が神経から神経へ流れて情報を伝えてゆく必要があります。この化学物質(神経伝達物質といいます)のうちドーパミンという物質が過剰に放出されると「過覚醒」の状態になり、統合失調症の幻覚や興奮などの症状が起きるという説があります。抗精神病薬を服用することで、このドーパミンの流れを調節することができます。
フィルター障害仮説
普通の状態では、たとえばにぎやかなところで話をしていても、相手の言っていることがきちんと聞こえます。これは神経のネットワークによって作られた「フィルター」によって、必要な情報を取り入れ、不必要な情報をカットしているためです。
しかし統合失調症の急性期では、フィルターに破れ目ができ、無関係な情報が入り込んできます。そのために、気にとめないですむ音に敏感になり、まわりの人のしぐさや表情なども気になります。「笑っているのは何か特別な意味があるのではないか」と疑い深くなったりもします。これはフィルターの破れ目から不必要な情報が流れ込んで、神経の働きが混乱してしまうためです。
この破れ目を防ぐのが抗精神病薬です。音に敏感になりすぎたり、自分の考えが周囲に筒抜けになったような感覚が和らいできます。
急性期の治療は過覚醒にある状態を、通常の状態に引き戻すことが大切
必要かつ十分な量の治療薬の服用が必要
急性期は頭の中が騒がしく、落ち着かない状態です。まずはその状態を落ち着かせるために必要十分な服薬が大切になります。薬を飲むと、考えることにブレーキがかかって、ぼーっとしたり眠くなったりします。これは本人にとっては不快な体験のようです。しかし、何よりもこの時期には、神経を休めることが大切です。
十分な睡眠
治療薬の服用とともに、あわせて大切なのは十分な睡眠です。安静な環境の中でたっぷり眠ることが大切です。
急性期における家族の対応ポイント
《理屈よりも、簡潔な一言の方が伝わりやすい》
あれこれと考えをめぐらせることがしんどい時期です。理屈で分からせようとせず、簡潔な一言の方が伝わりやすいようです。