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株式会社タナカ善(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業等を紹介するページです。

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実動型ショールームも擁する工作機械・工具のトータルアドバイザー

(掲載日:令和2年7月22日、聞き手・文:ものづくり振興課 岩橋)

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令和元年度元気印認定企業、株式会社タナカ善(外部リンク)(京都市伏見区)の田中代表取締役にお話をお伺いしました。

「お客様のために」「みんなのために」「社会のために」

-まずは、御社の概要を教えてください。

田中)弊社は、1950年に京都の西陣で創業しました。現在は伏見区に本社を置き、主に京都・滋賀地域のお客様に工作機械及び切削工具を販売している地域密着型の機械工具商社です。創業の地が西陣ですので、元々は織物の機械や金物の卸売りから始まりましたが、現在は、金属・プラスチック加工などの製造業向けに、工作機械のほか、機械に関連して使用する切削工具・消耗品等、工場内で使用するあらゆるものを取り扱っております。私が3代目でして、会社としても今年で70周年を迎えますが、企業理念である「お客様のために」「みんなのために」「社会のために」に徹して行動してきた結果、伏見区の本社のほかに亀岡、峰山、それから滋賀の彦根、栗東、鹿児島の5か所に営業所・出張所を設けることができ、お客様と共に事業を拡大してきました。

-機械工具商社ですか。こういった業態は全国的に多いのでしょうか。

田中)全国では2,000社程度存在しており、競合他社は非常に多いです。

全国でも珍しい「マシンツールセンター(MTC)」

-そうなのですね。競合他社とはどのように差別化されているのでしょうか。

田中)大きく2点の取組があるかと思います。一つは「マシンツールセンター(以下、MTC)」と称していますが、京都本社と彦根営業所に実物の工作機械を有しており、単に展示するだけでなく、お客様の要望に迅速に対応できる実演加工を行うことが可能な「実動型ショールーム」を備えているところだと思います。商社といえど、イニシャル及びランニングコストが大きいため、実物の工作機械を保有しているところはほとんどありません。また、京都地域の大手機械メーカーの展示会場はすべて撤退し、実物を見ようとすると展示会に出展されているものを見に行くか、遠隔地にある各メーカーの工場などに行くしかありません。弊社はオークマ(株)様とDMG森精機(株)様の代理店ですが、MTCには両社の工作機械(MCと旋盤)を実際に展示しているほか、各工作機械メーカーの研修を履修した選任のテクニカルアドバイザーを配置しておりますので、お客様の要望に応じて工具の種類や加工工程の条件調整等、より精度の高い製品を仕上げられるよう、切削工具や周辺器具までトータルサポートし、実際にテスト加工を行うことが可能です。MTCで実際に加工体験ができるという点については、お客様からも非常に好評をいただいておりますし、これらを通じて、購入前に購入後とのギャップを埋められるようにしています。また、古物商の認可も得ており、中古の工作機械の取扱いが可能である点も強みの一つです。
併せて、工作機械業界の最新情報を提供するセミナーやデモ加工セミナー、ビジネスマナーをはじめとした業界知識の講習から弊社テクニカルアドバイザーによる実演加工講習までを網羅した、中小企業等の新入社員向け研修なども実施しており、ものづくり企業のサポート及びお客様と末永く関係を構築することができる環境づくりに注力しています。

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-素晴らしいですね。京都本社のMTCの整備にあたっては、本府の「京都府元気印中小企業認定制度」で事業計画を認定させていただき、認定後の支援措置として、本建物に係る不動産取得税の軽減措置を御活用いただきました。

田中)本制度は認定された事業の用に供する不動産について、不動産取得税を10分の9も軽減措置してくれるということで、我々中小企業にとっては大変ありがたい制度でした。また、整備に当たって、(公財)京都産業21(外部リンク)のサポートを受けながら、事業計画をしっかりと策定することができましたので、計画に基づいて円滑に整備することができました。

-うまく御活用いただきましてありがとうございます。御社は工具についても販売されていますが、こちらはいかがでしょうか。

田中)工作機械で用いるタップやエンドミルなどの切削工具については、弊社のタナカ善の名前から取った「TZブランド」として販売しており、自社ブランドとして製造・販売することで、メーカー製造のものよりもお求めやすい価格で提供しています。これらも元々は工作機械を購入いただいたお客様から「こういう形状・機能を備えた工具が欲しい」「消耗品なのでより安価で入手したい」などといった要望を受けて始めたものです。

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商社が開催する機械工具の展示会「京滋マシン&ツールソリューションフェア」

-お客様に寄り添う御社の経営方針が具現化されているわけですね。

田中)もう一つの特徴的な取組としては「京滋マシン&ツールソリューションフェア」の開催です。これは弊社が開催している機械工具を扱った自社展示会ですが、2010年より毎年5月に京都パルスプラザで2日間実施しています。2020年はコロナの影響もあり、泣く泣く中止にしましたが、開催初年度は参加メーカー44社、動員数176社・384名、2019年は参加メーカー65社、動員数213社・510名と規模を拡大しています。最新の工作機械の情報発信・共有及び取引のきっかけの場になっているほか、弊社としては本フェアと連動し、お客様をMTCで開催するセミナーに誘導し、テスト加工やプログラム作成を行うことで、より専門的な提案が可能となっています。

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-いいですね。コロナのお話も出ましたが、御社への影響はいかがでしょうか。

田中)対面営業が基本である商社ですので、影響は非常に大きかったです。何しろお客様である企業さんに出向くことができないわけですから。しかしながら、それで手をこまねいているわけにもいかないですので、本社と各営業所・出張所を繋いだリモートセミナーやリモート講習会の実施などについて準備を進めています。また、時間ができた今だからこそ、各業界が今どのような状況なのか、例えば、コロナ禍で多くの国内企業が影響を受けている中で、中国の建設機械市場が急回復しており、油圧ショベルの販売台数が過去最高を記録していますが、同業界に部品等を納品している日本の会社は実は非常に忙しいなど、そういった情報収集を積極的に行っています。そうしたことを踏まえて、どういったところにアプローチすべきか、どういった情報を顧客に提供すると良いのかなど、試行錯誤しながら動いているところです。コロナの影響で産業界の勢力図に異変をもたらす、産業構造そのものが変わるなどと言われておりますが、実際にそれはすでに起こりつつありますので、私たちも柔軟に対応していく必要があると感じております。

-耳が痛くなるお話しですね。我々行政側も積極的に情報収集し、柔軟に対応していく必要があると痛感しております。最後に今後の展望を教えてください。

田中)更なるMTCの強化を考えています。まずは、ものづくり企業の人手不足解消の観点からMTCに協働ロボットを設置し、PRする事でお客様が抱えている課題の一助となればと思っております。

-今後の展開が楽しみですね!

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商工労働観光部産業振興課

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