ここから本文です。

京都府立笠置山自然公園

府立笠置山自然公園の概要

いにしえのドラマを語る信仰の山

木津川の南岸にそびえる笠置山は、古くからの修験道場、信仰の山として、また、歴史上のさまざまなドラマの舞台として知られています。花崗岩から成る山中には奇岩や怪石が数多く、神秘的なムードを高めます。

笠置山案内 「史蹟 笠置山案内」昭和13年発行(京都府立京都学・歴彩館所蔵)(JPG:4,139KB)

標高289メートルの山域には、アラカシやクヌギ、アオキなどが自生。ほとんど全山が広葉樹におおわれ、明るい自然林となっています。ふもとの河原にはサクラが植えられ、花の季節や秋の紅葉シーズンには、特に多くの行楽客で賑わいます。

地図
→ 大きいサイズの画像が表示されます。(GIF:121KB)

山の南・西面は比較的傾斜がゆるく、この方面から頂上近くまでは自動車で登ることも可能。一方、北・東面は木津川が笠置山脈を横断する急斜面。川岸はカヌー広場、児童広場等として利用されています。笠置寺のある頂上付近には奇石・怪石が多く、ひときわ奇観を呈しています。

また、この地は『太平記』に描かれる後醍醐天皇の元弘の乱でも有名。その戦火を浴びながらも残った多くの史跡に、遠い昔をしのぶことができます。

昭和7年に国の史跡名勝の指定を受け、昭和39年に府立自然公園となりました。

 虚空蔵磨崖仏  ゆるぎ石

■所在地:相楽郡笠置町字浜及び字笠置山

■指定年月日:昭和39年4月1日

■面 積:20ヘクタール

府立笠置山自然公園の見どころ・映えスポット紹介

【笠置山・笠置山周辺】
笠置山木津川河川敷と桜(左のみ写真提供:笠置町)
笠置キャンプ場笠置駅(写真提供:笠置町)もみじ公園笠置寺(写真提供:笠置町)
「笠置山(かさぎやま)」は、木津川に接し、全山花崗岩から成る山中には奇岩・怪石が多数あり、古くからの修験道場、信仰の山として知られています。
また、「日本さくら名所100選」に選ばれるなど、桜、紅葉の名所としても有名で、国の史跡および名勝に指定されています。近くの木津川河畔にはキャンプ場も整備されており、巨石を利用したボルダリングや、木津川でカヌーを楽しむなど、春・秋のシーズンには、特に多くの行楽客で賑わいます。

お茶の京都DMO「笠置町」(外部リンク)

KYOTO SIDE「京都古寺探訪@巨石と雲海の寺・笠置寺~なぜこんなところに超巨大摩崖仏が!?~」(外部リンク)

KYOTO SIDE「笠置町が舞台の映画『笠置ROCK!』にかけた想い」(外部リンク)

「府立笠置山自然公園」のめぐりかた!

~ 笠置山自然公園のゲートをくぐります ~

車・徒歩のいずれでお越しになる場合も、通常、こちらの「歓迎」と書かれたゲートをくぐって道なりに笠置山に上っていきます。徒歩の場合は、写真中央に写っている案内標識のところから東海自然歩道に沿って上がっていくとよいでしょう(JR笠置駅からこのゲート付近までだいたい400mくらいの距離です)。
笠置山ゲート

~ ゆっくり上っていきます・山頂付近の駐車場・トイレ ~

車の場合は1.5kmくらい、徒歩の場合はその半分くらいの距離でしょうか。車の場合は道なりにずっと上がっていきます。途中、「笠置城 一の木戸跡」などの見どころを通りすぎていくと、山頂付近に駐車場(有料)・トイレがあるのが見えてきます(道幅が狭いところもありますので、車の場合はゆっくりと上がっていきましょう)。
駐車場笠置山

※ なお、笠置寺の境内案内図は、「鹿鷺山笠置寺」のホームページ(外部リンク)でもご覧いただけます。

~ ここから徒歩で上っていきます ~

車の場合は、ここに車を止めて、赤い矢印の方向へさらに徒歩で上っていきます。
のぼり坂

~ 分かれ道を右側へ・階段を上ります ~

突き当りにある「東海自然歩道の案内板」のところを右手に階段を上っていきます(なお、ゲートから徒歩で東海自然歩道沿いに上って来られる方は左手側から上がってくることになります)。
突き当り案内板 

少し上ってくると、きじ料理で有名な料理旅館「松本亭」が左手に見えてきます。
松本亭の看板

~ 山門・受付 ~

さらに階段を上っていくと正面に笠置寺の山門が見えてきます。
笠置寺山門

山門をくぐり、左手に進むと、鐘楼と受付が見えてきますので、こちらで拝観料を支払います。
受付します。

~ 境内行場めぐり入口 ~

ここから先が境内行場めぐりになります。
行場巡り入口

~ 境内行場めぐり順路看板 ~

行場めぐりの順序はこのようになっています(笠置石→正月堂→弥勒摩崖仏→千手窟→虚空蔵摩崖仏→胎内くぐり→太鼓石→ゆるぎ石→平等石→蟻の戸渡り→二の丸跡→宝蔵坊跡→行在所跡→大師堂)。1周約800mだそうですが、見どころがたくさんあるので1周するのに小一時間はかかるでしょうか。岩の上など滑りやすい箇所もありますので、運動靴など歩きやすい靴がおすすめです。
行場巡り順序看板

~ 笠置石(かさおきいし)・薬師石・文殊石 ~

順路に沿ってしばらく行くと、早速、巨岩が見えてきます。
文殊石・薬師石

「笠置」の地名の由来にもなっている「笠置石(かさおきいし)」です。天智天皇の皇子が岩に弥勒仏を刻む目印として被っていた笠(かさ)を石の上に置いたと伝えられことから、このように名づけられています。
笠置石

この巨石は二つに分かれていて、左が「薬師石」、右が「文殊石」と呼ばれており、その間に挟まれた丸い小さな石が「笠置石」です(真ん中の石が落ちそうで少し怖いですが。。。)。
笠置石アップ

~ 弥勒磨崖仏(みろくまがいぶつ)・正月堂・十三重塔 ~

「正月堂」は、東大寺の二月堂で行われている修二会「お水取り」の起源である修正会が行われた建物で、もともとは境内の別の場所にあったものですが、「元弘の乱」で焼失したため、現在は、笠置寺の本尊である「弥勒摩崖仏」の礼拝堂とともに一つの建物として再興されています。

また、「十三重塔」は、鎌倉時代の作とも言われ、国指定の重要文化財となっています。
弥勒磨崖仏

高さ15m の巨石に刻まれた国内最大級の「弥勒摩崖仏」は奈良時代中期には存在していたと伝えられるものですが、鎌倉時代末期の「元弘の乱」をはじめ幾度もの戦火で失われてしまい、今は後背を残すのみとなっています。
弥勒磨崖仏

なお、正月堂の中には、最新機器による学術調査により明らかとなった線刻の痕跡等をもとに復元された弥勒摩崖仏の姿が祀られています。
復元した画像

順路に沿って、正月堂の右手から階段を下ると、正月堂を下から見上げる格好になり、正月堂が「懸崖造り(けんがいづくり)」であることがよく分かります。
正月堂 懸づくり

~ 千手窟(せんじゅくつ)(笠置の龍穴) ~

「笠置の龍穴」とも呼ばれ、社には龍神が祀られており、仏の世界への入口と伝えられています。
千手窟

一枚岩のような岩の道の上を歩いていきます。
いしの道

~ 伝虚空蔵摩崖仏(でんこくうぞうぼさつまがいぶつ) ~

諸説ありますが、弘法大師空海が彫ったとも伝えられる高さ9mの虚空蔵菩薩の摩崖仏です。笠置山の磨崖仏の中で最も状態が良い摩崖仏と言われています。
伝虚空蔵

~ 胎内めぐり ~

笠置山の修行場の入口として、滝で身を清める代わりにこの岩をくぐりぬけることで身を清めたと言われています。
胎内めぐり

これはかなり身をよじって入らないとくぐれません。
胎内めぐり近くで撮影

順路の途中に突如、卵の形のような石が。。。。
卵のような石

~ 太鼓石(たいこいし) ~

上側の石の下の方に丸い窪み(くぼみ)のようなところがあります。この窪みの縁(ふち)を叩いてみると「ポンポン」と太鼓のような音が鳴ることから、太鼓石と呼ばれています(叩くと、確かに岩の中に空洞があるような音がします)。
太鼓石(JPG:5,764KB)

~ ゆるぎ石(ゆるぎいし) ~

鎌倉時代末期の「元弘の乱」の中、下から攻めてくる幕府軍を攻撃するための武器として使われた石のなごりと伝えられています(石の右端の尖がり部分、赤い矢印のところを下に押し下げると、簡単に「ゴトゴト」と揺らすことができます。非力な私でも揺らすことができました。やはり何ごともコツがありますね。なお、他の個所を押しても引いてもビクとも動きません)。

揺るぎ石(JPG:6,569KB)

~ 平等石(びょうどういし)・蟻の戸渡り(ありのとわたり) ~

かつて「平等石」のまわりを周回して修行したと言われています。左側には平等石を穿って作ったような階段があり、上へ登ると木津川や笠置の街並みを一望することができます。
平等石

平等石からの眺望

「平等石」と他の石に挟まれた狭い通路が「蟻の戸渡り」と呼ばれているところです。蟻の行列のように一列にならないと進めないことからこのように名づけられています(体をかなり斜めにしないと通れません。なんだか挟まれそうで怖いです)。
蟻の戸渡り

「蟻の戸渡り」を通り抜け、と平等石の裏側に回ってみました。平等石を周回して修行した痕跡でしょうか。岩に穿たれた足を掛ける穴がありました。
平等石裏側

~ 二の丸跡(にのまるあと) ~

山頂にある後醍醐天皇行在所跡を本丸と見立てて、その一段下にあることから平地を「二の丸跡」と呼んでいます。休憩所がありますので、ここで一服するのもいいですね。
二の丸跡

~ 貝ふき岩(かいふきいわ) ~

鎌倉時代末期の「元弘の乱」で、この岩の上から法螺貝を吹いて、合図や士気を高めたと言われています。
貝ふき岩

~ 行在所跡(あんざいしょあと) ~

「元弘の乱」で後醍醐天皇が京都御所を脱出し笠置山に仮宮を置かれた場所とされています。

行在所下

行在所跡には、後醍醐天皇が詠んだ歌「うかりける身を秋風にさそわれておもわぬ山の紅葉をぞ見る」の歌碑が置かれています。
行在所上

~ もみじ公園(宝蔵坊跡(ほうぞうぼうあと)) ~

かつてあった宝物庫跡です。いまはたくさんのもみじが植樹され、紅葉の名所として有名です。
紅葉公園

~ 大師堂 ~

もともとここは元弘の乱で焼失した「正月堂」が建っていた場所でした。その後、明治時代の鉄道開設に伴い現笠置駅付近にあった大師堂をこの地に移築したものです。
大師堂

~ もとの境内行場めぐり入口まで戻ってきました ~

大師堂から階段を下りてくると、境内行場めぐり入口に戻ってきます。ここでは紹介しきれませんでしたが、このほかにも、重要文化財に指定されている「解脱鐘(げだつがね)」(下側に6か所の切込みのある形の鐘)や文化財収蔵庫など、たくさんの見どころがあります。
案内猫かさやん

また、10月下旬頃から12月上旬頃まで、雲海を見ることができます(平等石やゆるぎ石、二の丸跡、貝吹き岩などがおすすめ)。雲海が見られるのは風のない穏やかな早朝だそうで、朝日を受けた雲海の眺めはまさに絶景です。

コラム

弥勒磨崖仏

笠置寺縁起によると、寺の開山は白鳳時代となっていますが、巨岩を中心にした自然物信仰は、有史以前よりおこなわれていたと推測されています。
銅剣型有樋石剣 弥勒摩崖仏前から出土した「銅剣型有樋石剣」(笠置寺所蔵)(弥生時代) 
これがやがて具体的な形を成したものが、本尊とされる弥勒磨崖仏や虚空蔵の磨崖仏です。これらは巨大な岩に仏の姿が彫り込まれたもので、奈良時代末期の造営と推定されています。のちに平安の末法思想に伴う弥勒信仰の隆盛とともに庶民から貴族までの信仰の対象となり、「笠置詣で」の風習を生みました。
弥勒磨崖仏は過去の火災により本来の姿が失われ、今は光背の一部が確認できるのみとなっています。これまでは「線彫り」という技法で製作されたと考えられていましたが、近年の測量技術の発達により、「浮き彫り」技法であったことが判明しています。
弥勒摩崖仏復元画像復元された弥勒摩崖仏の姿(笠置寺所蔵)

笠置山之図1(PNG:2,772KB) 
笠置山之図1(PNG:3,378KB) 
「笠置山之圖」明治27年発行(京都府立京都学・歴彩館所蔵)

笠置山の古い地図(PNG:463KB)
「笠置山誌」昭和14年発行(京都府立京都学・歴彩館所蔵)

府立笠置山自然公園アクセスマップ

京都府立笠置山自然公園周辺の地図

詳しい地図情報を見る(京都府・市町村共同地理情報システム)(外部リンク)

詳しい地図情報を見る(環境アセスメントデータベースEADAS〔イーダス〕)(外部リンク)

  • JR笠置駅から登山口まで徒歩5分

連絡先

  • 観光に関する問い合わせ先

笠置町商工観光課(電話番号:0743-95-2301)

  • 公園管理に関する問い合わせ先

京都府山城南土木事務所(電話番号:0774-72-9686)

お問い合わせ

総合政策環境部自然環境保全課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4705

shizen-kankyo@pref.kyoto.lg.jp