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人権口コミ講座 167

「知らない」でいることが部落差別を解消するのか?
―ネット上での誹謗(ひぼう)中傷対策の意味―

立教大学社会学部教授

山本 崇記(たかのり)

「知らない」では済まされない?

二〇一六年施行の部落差別解消推進法は、「情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じている」としました。「摘示(てきし)」と呼ばれる、同和地区や同和地区出身者に関する識別情報をネット上に拡散するアウティング(暴露(ばくろ))行為が多発したことが背景にあります。出身やルーツに関する個人情報に、ネット上で誰もが容易にアクセスできてしまう時代となり、部落問題とは「知らない」では済まされない状況にあります。

ネット掲示板での悪質な書き込みでは、同和地区を暴露し、同和地区出身者に対する嫌悪や暴力の煽動(せんどう)にまで及んでいます。摘示行為が、結婚差別や土地差別など、従来からの忌避(きひ)行為にも容易につながります。

ネット上での差別は規制できるか

二〇二五年四月、情報流通プラットフォーム対処法が施行されました。SNSの運営事業者など、一定規模のプラットフォーム運営会社に、誹謗中傷情報への対処を迅速化・透明化させること(義務化)が目的です。包括的な差別禁止法がない日本で、被害者の視点に立ったネット対策である一方、「表現の自由」などに配慮し、有害情報の「削除」を義務付けていません。問われるのは、事業者任せにせずに部落問題に関する理解と対策を官民で深めること。「同和」「部落民」といった特定個人を対象としない集団(属性)全体への差別にも対応することです。部落出身というルーツを大切にし、堂々と生きられることと、差別されないでいることが両立できる社会を、府民一人一人がどのように作っていけるかが問われています。

※令和7年1月発行の「人権口コミ講座26」の内容を加筆・修正し、再掲載しています。

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