人権口コミ講座 168
「こどもまんなか社会」の実現に向けて
大阪公立大学大学院
現代システム科学研究科教授
山野 則子
「こども基本法」の施行と法理念の社会実装
子どもに関する施策の基本理念や基本事項を明らかにした包括的基本法「こども基本法」が2023年4月に施行され、同時に「こども家庭庁」も設置されました。これは、従来、地方自治体や国の各機関が個別に実施してきた子ども施策に共通基盤を生み出し、社会全体で子ども施策を実施することを狙いとしています。「こども基本法」の目的である子どもの幸福な生活の実現には、「こども基本法」が規定するような子どもの権利に対する理念を、児童虐待や不登校などが深刻化する現状に対して、具体的実行に移し、社会実装していく必要があります。たとえば教育現場では、生徒指導提要(ていよう)が改訂され、子どもの権利への理解を改めて深めた上で、課題予防的/発達支持的生徒指導が明示されました。さらに、担任中心型ではなく、チーム体制による子ども支援も明記されており、子どもの利益を最優先する本法の理念を実現する試みの一歩といえるでしょう。
「こどもまんなか社会」への実践的な一歩
子どもの利益を最優先するとは、言い換えると周囲の大人や専門家がさまざまな大人への配慮をいったん横に置き、常に子どもの利益を第一に考えることができるかという実践です。児童虐待防止法の通告においても、「親の大変さ」や「逆恨みへの恐れ」といった配慮を乗り越える勇気が求められます。私たち一人ひとりがこの勇気を持つことで「こどもまんなか社会」が形成され、その社会が私たちに勇気を与えます。「こども基本法」の制定は、子どもの権利と利益を中心に据えた社会を築くために、私たちが理念と実践に向き合う良い機会です。
※令和7年1月発行の「人権口コミ講座26」の内容を加筆・修正し、再掲載しています。
京都人権ナビ
~人権情報ポータルサイト~
人権に関する相談窓口などをご案内しています
[お問い合わせ]
人権啓発推進室
TEL:075-414-4271 FAX:075-414-4268
お問い合わせ
知事直轄組織広報課
京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
電話番号:075-414-4074
ファックス:075-414-4075
[email protected]
おことわり
掲載されている連絡先等は掲載時点のものです。
組織改正等により変更されている場合がありますので御了承ください。
ご不明な点がございましたら、広報課までお問い合わせください。