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更新日:2024年4月25日

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住まい、笠置町。"やまとあるくらし"

龍谷大学発、ジビエを活かした起業者、山本海都さん/RE-SOCIAL

起業したきっかけを教えてください。

 僕たち(RE-SOCIAL創業メンバーの3人)が所属していた龍谷大学・深尾ゼミでは、地域の課題を見つけて解決方法を考えるソーシャルビジネスを専攻しており、1年ほど地域に通いながらグループごとにプロジェクトを進めていく研究を行っていました。

 

 僕たちは「もったいない」を共通テーマとして、見捨てられるモノに正しい価値を見出そうと「ソーシャルビジネス」の研究を進める中、就活の際にこれまでの学びを経験として語るのではなく、自分たちで起業することを考えました。

 

 どこの地域でも鹿や猪による獣害被害がありながら、猟師が高齢化している課題がありました。「鹿・猪を捕獲した後の活用方法」を考えながら、さまざまな地域へフィールドワークに出向きました。その場で見たものは「25メートルプールのような穴に、鹿、猪が無造作に投げ出されている」おぞましい光景でした。気を取り直し、どうにかしなければ・・・という想いが募り、行動に移しました。

 

 徳島でジビエの精肉販売を行っている中川食肉販売店(後の師匠)の存在を知り、店舗に出向き、教えを請いました。獣独特の臭み・硬さは血抜きや精肉処理の技術で各段に変わることを教えられ、新鮮で上質な精肉が安定に供給できる目途がつきました。

 

 師匠はハラール認証を取得しており、食肉処理場には許可が必要なこと等様々なルールを学んだことで、イスラム圏の方へジビエ(鹿肉)販売ができるようになりました。日本では部位ごとに食べるのが一般的ですが、イスラムでは一頭丸ごと食べる習慣があるため、無駄がなく効率の良い料理(精肉)が提供できています。

現在の生活について教えてください。

 2019年、学生ベンチャーとして創業しましたが、折からのコロナ禍で活動が制限されました。

 

 コロナが落ち着いた2023年6月には京都駅八条口に「NATURAL BAL MEATUP」を開店、栄養素の高い京都産の鹿肉料理などを提供しています。

 

 学生ベンチャーの事業としてメディアに取り上げられることが多く、「食べたかったけれど笠置町は遠いから・・・」といった方にも喜んでいただいております。

 価格もリーズナブルに設定しているので、先ずはジビエ料理の入口としてお試しいただければ・・・と思います。

 捕獲・処理・製造まで一括して行う「やまとある工房」笠置町

 

地域の魅力についてお聞かせください。

 笠置町は木津川市や奈良県、三重県と隣接し、車で片道30~40分圏内に住まわれている猟師さんとはご近所感覚でお付き合いしています。

 笠置町の猟師さんは70歳以上の方がほとんどなので、20代の私を孫感覚で可愛がっていただいています。

 

 この辺の猟師さんは鹿より猪を捕る方が好まれます。鹿は猪と比べて解体に手間がかかり、脂身も少ないのでおいしく食べる工夫が必要です。鹿が罠にかかれば、私に連絡がいただける・・、と弊社の事業にご協力いただいています。

 

 自分自身まだ若く、子育てには実感が沸きませんが、この地では、結婚して子どもが出来ると町から出て行く・・とよく聞きますね。

 

 大阪や京都に1時間圏内で通勤できる便利な立地で、アクセスも悪くないので、「田舎暮らし入門」の地域として良いのでは・・・と思います。

起業に際して、行政等の支援で役立ったことをお聞かせください。

 学生ベンチャーでしたので、様々な方々に支援していただきました。事業を拡大するにあたって、京都府と相談しながら補助金を活用しました。

 

 会社のホームページからプロモーションビデオの作成、檻センサー(檻に獲物が掛かると反応する)、皮を裁断するプレス機・・・と、現在も継続的に支援いただいています。

 

 行政の支援制度でいえば、有害鳥獣捕獲を行っている自治体には一頭あたり7,000円(自治体によっては9,000円)国から報奨金をいただける制度があり、町と一緒に捕獲マニュアルを策定しました。

 この様な補助金を時に活用しながら、創意工夫を続けて、田舎でマネタイズができる「ビジネスモデル」を追求したいと考えています。

起業して感じた、起業前の想像と違ったところ(ギャップ)をお聞かせください。

 2019年の創業当時はインバウンドが拡大しているタイミングで、ハラール関連の需要も高まると見込んでいました。しかし、2020年に始まったコロナ禍で工場の稼働が滞り、活動を延期せざるを得なくなりました。春に完成予定だった「やまとある工房」も同様でした。

 

 コロナ禍の折、移住先の物件は少なく、人が移動することに対して抵抗感があったので、3人とも近隣の町へと移住し、トイレなどの水回りがない一軒家で暮らしていました。

 

 工場の着工ができない間は、解体技術を上げることに努め、空いた時間は近所のお茶農家さんに頼み込み、仕事を手伝ったり、アルバイトをしたり・・・でなんとか食いつなぎました。

 

 卸売も打撃を受けていたため、その間にECサイトを開設して、一般家庭向けに販売できる食材の開発を行いました。

 鹿肉をタレに漬け込むことで一般家庭でも食べやすくする工夫など、様々なメニューを開発していきました。手間はかかりましたが、お肉の部位を扱うノウハウの蓄積ができました。

これから起業を考える方へ、先輩起業者としてのアドバイスをお願いします。

 地方で仕事をするには、地域の方々との協力関係が大切です。

 

 収益もついていこないと生活ができませんし・・・都会から地方へ移り住んでビジネスをするモデルケースを作り上げたい、と考えています。

 田舎は人が少なく、人との距離感も近いので、その距離感をどう思うか。何かと人に頼られることが多いと思いますが、そこは面倒くさがらずに、応えていかれたほうがよいと思いますね。距離感の近い人には悪い人はいません。

 

 稼ぐことに疲れた方、残りの人生をのんびり過ごしたい方も、もちろん、歓迎しています。

山本さん4

 鹿肉の食肉ブランド「やまとある」

 ペットフードブランド「GOOD MEAL ONE」

 鹿革ブランド「col style」

 

お問い合わせ

山城広域振興局地域連携・振興部 企画・連携推進課

宇治市宇治若森7の6

ファックス:0774-22-8865

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山城広域振興局は、京都府南部の15市町村にわたる山城地域において、
市町村等の地元団体や府民の皆様と連携し、
広域的な視点から地域振興に取り組む京都府の地方機関です。