[心の健康について]
〈社会的ひきこもり〉 「社会的ひきこもり」とは
A男さん(25歳)の場合
A男さんは、まじめで優しく、やや内気な青年です。
小さいときから、両親に反抗することがなく、育てやすい子どもでした。受験勉強も一生懸命取り組んで、志望の大学に合格しました。1、2回生の頃はサークル活動やアルバイトをしていましたが、3回生になってからはそれらを辞めてしまい、6月くらいから大学をポツリポツリと休むようになりました。友人はいましたが深い付き合いはしていませんでしたし、学業も意欲が沸かないためか、学校に行かずに自室でゴロゴロしていることが増えました。
昼すぎまで寝ているため、起きて食事をして動き始めるのは、午後3時くらいからになります。居間でTVやビデオを観たり、自室でゲームをしたり、本を読んだりすることが中心です。そうしながら、「自分はいったい、何をしたいんだろう」「こんな自分を親はどう思っているんだろう」などと、いろいろなことを考えています。
そうこうしながら、4回生になってしまい、就職活動もせずにそのままズルズルと時間が過ぎていきました。親はつい、「アンタ、いったいどうするつもりなの!」とA男さんを責めてしまいます。以来、A男さんは自室にこもり、夜間にひとりで食事をしたりトイレに行ったりする時以外は、姿を見せなくなってしまいました。今では、完全に昼夜逆転して、家族と会話もしない状態が続いています。状況が変わらないままに時間だけがすぎていくので、家族はつい言わなくてもいいことを言ってしまい、本人は自室にこもったり物に当たったりしながら、日々を過ごしています。