[心の健康について]
〈摂食障害〉 摂食障害の家族の対応
摂食障害の原因の追及や犯人捜しに振り回されないようにしましょう
摂食障害は身体的、心理的、社会的な要因が複雑にからみあって発症する病気ですので、原因を追及してみてもはっきりしないことが多いようです。これまでのことを必要以上に考えすぎず、これからのことを考えていきましょう。
「食べる」「食べない」に巻き込まれず、よいところ探しをしましょう
本人の食べる(食べない)行為が気になり、心配するのは食事を作る家族(母親)として当然のことです。家族はその行為に惑わされすぎず、巻き込まれすぎないようにしましょう。
「食べる」「食べない」だけを治そうとしてもうまくいきません。「自分にも良いところがある」「ありのままの自分を周囲が認めてくれる」「つらいながらも頑張っている自分を認めてくれる」、そんな勇気づけられる体験、支えられる体験が大切です。
本人の表面的な言動にふりまわされず、その底にある気持ちをくみとりましょう
本人は屈折した言葉や行動で親に表現しますが、その底には『親に頼りたい』という心理がありますので、言葉や行動だけに反応しないようにしてみましょう。すると思わぬ本音も出てきます。本音を言えるようになったら、それを『心の成長』とみてあげましょう。そして、本人が立ち上がって行く姿をしっかりと見守りましょう。
ダメなことはダメとはっきり言いましょう
本人を『病気の子』として特別扱いせずに、『病気でない大人』として向かい合うことが大切です。『悪いことは悪い』と毅然とした親としての態度が大切です。そのためにも両親の協力体制が大切です。
家族自身がゆとりをもてるような工夫が本人にも役に立ちます
親として家族としてやれることには何事にも限界があります。しかも、数日間なら無理は続きますが、数ヶ月〜数年も続けられません。決して無理をせず、やれることをていねいにやりましょう。完璧を求めると家族も本人も苦しくなります。「折り合い」をつけることが大切な場合もあります。
[参考資料]
・「摂食障害のための家族教室」資料、すずきひろこ心理療法研究室、2000、盛岡
・「摂食障害の家族心理教育」、後藤雅博編、金剛出版、2000、東京