やましろで暮らす-トップページ > 学生らと宇治田原町の地域活性化に取り組む岩嶋さん(宇治田原町)【インタビュー記事】

更新日:2026年8月10日

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学生らと宇治田原町の地域活性化に取り組む岩嶋さん(宇治田原町)

活動を始めたきっかけを教えてください。

もともと車で出かけることが好きで、宇治田原町はいつもお出かけ先の「通過点」でした。転機になったのは2020年ごろです。渋滞を避けて宇治田原町の裏道に入った際、偶然目にした桜並木の美しさに強く惹かれました。

後日改めて町を訪れてみると、これほど魅力的な風景があるにもかかわらず、人出が少ないことに驚きました。「これは、まだ知られていないだけなのではないか」と感じたことが、宇治田原町を意識するきっかけになりました。

現在、龍谷大学で地域メディアを専門に研究しており、情報発信で地域活性化に貢献できないかと日々考えています。そうした思いと宇治田原町で感じたことが結びつき、その気づきを学生にも共有しました。そこから、学生とともに現地調査や素材収集をスタートしました。

さらに町役場へ直接連絡し、「一緒に何かできないか」と相談したことをきっかけに、宇治田原町との連携が始まりました。

現在の仕事・活動内容について教えてください。

現在は、学生とともに観光情報の可視化や多言語対応サイトの構築、チャットボットの導入など、デジタルを軸とした行政支援に取り組んでいます。これらは、設計や構成、サーバ構築まで含め、「龍谷大学S-Project」として学生と一緒に一から制作しています。

例えば、季節限定で運行されるバス「お茶の京都グリーンライナー」に関連した情報発信サイトも、その取り組みの一つです。町内を巡りやすくする仕掛けづくりを目指し、発信内容を充実させるために、学生とともに実際に地域を歩きながら取材を重ねています。

こうした活動をして行くなかで、自分たちで地域の魅力を発信できる素材を作り、そしてそれを提案できないだろうかと云う発想から生まれたのが、玉露を活用した商品開発です。きっかけは、茶師十段の方に薦められて初めて玉露を味わったときの衝撃でした。とろみのある口当たり、やわらかな甘み、上品な香りに強く惹かれ、「この魅力を生かした、まだ世の中に少ない商品を作れないか」と考えるようになりました。

そこで着目したのがクラフトビールです。抹茶のクラフトビールはありますが、玉露を前面に打ち出した商品はほとんどありません。私が勤める大学の農学部が他のクラフトビールを作っていたこともあり、業者の紹介やアドバイスを貰いました。更に茶師十段の谷口さんとも連携し、茶葉にしっかり水分を含ませて成分を引き出す方法を工夫しながら、約3年かけて試作を重ねてきました。この商品が、宇治田原の新たな魅力を伝える“起爆剤”の一つになればと考えています。

さらに、子どもでも楽しめる形として、玉露ジェラートの開発にも挑戦中です。玉露の魅力や可能性を、より幅広い世代に届けようと試行錯誤しています。こうした経緯から、この冬、宇治田原町の「移住サポーター」に任命され、今後外からの目線で宇治田原町への移住を促進する活動を進めていく予定です。

地域の魅力について教えてください。

宇治田原町の魅力は、何より「人」にあると感じています。地域の方々がとても温かく、まちを歩いていると気軽に声をかけてもらえる——そんな親しみやすい空気があります。

また、日常の中で自然に触れられる環境も、この地域の大きな魅力です。桜並木のような美しい景観に加え、「日本茶発祥の地」という歴史的背景もあり、身近な風景や文化の中には、まだ十分に知られていない価値が数多く残っていると感じています。

さらに、町ではふるさと納税を子どもたちのための施策に活用しており、地域全体で次の世代を大切に育てようとする風土が根づいている点も、このまちの大きな魅力だと思います。

行政・地域との連携について教えてください。

私たちの活動拠点は、共同製茶場跡をリノベーションして整備された観光交流の場である『宗円交遊庵やんたん』です。

江戸時代に緑茶の製法を生み出した永谷宗円ゆかりの地・湯屋谷を盛り上げたいという思いから、地域住民団体が中心となって運営しています。現在は、ここやんたんを拠点に行政とも連携しながら、地域の魅力発信や交流づくりに取り組んでいます。

館内には地場産品や住民のハンドメイド作品が並び、地域の人の営みが感じられる空間になっています。併設の喫茶コーナーでは、茶葉を使った料理やスイーツを楽しめるほか、抹茶の石臼挽き体験、京番茶づくり、茶香服などのお茶体験も充実しています。行政と地域が一緒になって、人が集い、宇治田原の魅力にふれてもらえる場を育てている、そんな拠点です。

活動前後のギャップはありますか。

活動に関わる前は、外から見ているだけでは宇治田原町の本当の魅力はなかなか伝わってこないと感じていました。特に国道沿いを通過するだけでは町の良さに触れる機会が少なく、情報発信が少ないこともあって、認知が広がりにくい面があるように思えました。

しかし、実際に学生たちとまちを歩いて、地域の方々と関わる中で印象は大きく変わりました。地域を実際に訪れることで、初めて見えてくる風景や人の温かさがあり、地域への理解が一気に深まった――それが活動前後で最も大きく感じたギャップです。

これから移住を考えている人へアドバイスをお願いします。

移住を考えているなら、実際に足を運んで、人と直接やり取りしてみることをおすすめしたいです。ネットやSNSで情報はいくらでも集まる時代ですが、顔を合わせてみて初めてわかる空気感や距離の近さは、やはり現地でしか感じ取れません。

子育て環境を重視する方にとっては一番お薦めしたい地域です。今はAIが幅をきかせ、メディアや情報という言葉はどうしてもネット上の世界にあると思いがちですが、自然や人、コミュニケーションなどありとあらゆるものがメディアであり情報です。そういった意味で、宇治田原町はゆっくりと子育てしながら心も身体も醸成できます。そして地域全体でゆるやかに見守り、安心した暮らしができる場所だと思います。

「地域の人と一緒に何かやってみたい」という気持ちがある人には、きっと動きやすいフィールドです。まずは無理に構えすぎず、小さく関わるところから始めてみるのが良いかと思います。

   

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