ふるさとトピックス!福知山、舞鶴、綾部
更新日:2023年9月27日
ここから本文です。
働き方改革が、予想外の効果を生むことがあります。
株式会社アカツキ製作所は、生産性を維持しながら有給休暇取得率を高める取り組みに成功し、子育て中の従業員の働きやすさ向上にも繋げた会社。どのような経緯で働き方改革が始まり、成功に至ったのでしょうか。
今回は、代表取締役社長の小寺建樹さんと子育て中の従業員の方から、時間単位での有給休暇の導入と、それによるワークライフバランスの変化についてお話を伺いました
株式会社アカツキ製作所は、綾部市にある日本初の国産水平器専門メーカー。大正8年の創業以来、業界のパイオニア的存在として活躍し、多彩なユーザーのニーズに対応した水平器を作り続けてきました。
「生産工程は、綾部市で全て完結しています。今までやってなかったこともやれるようになろうと、設備投資や従業員の育成に取り組んできて、それが徐々に形になってきました」
このように説明してくれたのは小寺建樹社長です。近年は、自社の競争力強化のため、外注から自社での内製化に向けた改革を進めているとのこと。しかし、15年ほど前は、顧客からの自社商品の評価が良くない時期もあったそうです。
「以前は、質は良いが地味でダサいと言われ、大手の量販店さんにもなかなか扱ってもらえなかったんです。どうしたらもっと商品が幅広く多く売れるかって考えた時に、形や色味などを変えるチャレンジをしていこうとなりました」
顧客ニーズに合わせてデザインに改良を加えていった結果、約800種類という豊富な商品ラインナップが開発されました。その取り組みが評価されたことで販路が広がり、現在の水平器製造業界における国内のリーディングカンパニーへと飛躍していきました。
技術だけでなく、働き方でも新たなチャレンジも続けています。
時間単位での有給休暇の取得の導入が、その取り組みのひとつ。導入のきっかけは思わぬ所からでしたと小寺社長は説明してくれました。
「この地域では車の運転免許の更新で1日休むという方が多かったんですね。ただ会社としては仕事もして欲しいが、でも、免許証の更新は行かないといけない。時間単位で有休を取れるようにしたら効率が良いのではないかと提案したのが始まりです」
生産性を落とさずに従業員がフレキシブルに休める新制度は、従業員のワークライフバランス向上に寄与しました。
時間単位での有給休暇の取得が可能になって以来、運転免許証の更新以外にも活用が広がります。特に子育て期の従業員への大きなサポートになったようです。
現在、株式会社アカツキ製作所の従業員は46名で、うち20名が子育て期真っ只中の従業員とのこと。特に、2022年からは社内のベビーラッシュで5人のお子さんが誕生し、有給休暇の利用率が高まったそうです。
実際に時間単位の有給休暇を取得した一人である、製品開発課主任の大槻大地さんからお話を伺いました。大槻さんは共働き家庭で、4歳の男の子と4ヶ月の女の子を持つ4人家族だそうです。
「子供がまだ小さいので、急な病気の時や参観日など時間休を利用しています。共働きでなかなか時間に都合がつきにくかったりしますが、以前より気軽に有給休暇を取得することができ、とても便利だと感じています」
従業員の約半数が子育て期にある社内では、家庭を持つ従業員のワークライフバランスに大きく貢献しました。
「やっぱり家庭が一番ですけれども、それも仕事があってのことだと思います。今のバランスはベストな状態ですね。」と大槻さんは笑顔で語ります。
また、社内の有給休暇利用率が上がったことについて、小寺社長も自社の取り組みを次のように評価していました。
「お子さんの参観日や運動会での有給休暇の取得率が上がり、やって良かったなと感じています。家庭と仕事の両方が充実しないと、いい仕事には繋がりません。また、コロナ禍になってお子さんが体調を崩されたり、濃厚接触者になられたっていうケースが増えましたが、そういった時に「しっかりと休みが取れるようになって良かった」っていうような声は最近よく聞くようになりました」
小寺社長は、また、2022年の4月1日からの育児介護休業法の改正をきっかけに、会社の規程などをより従業員に寄り添ったものに変えていきたいと、語ってくださいました。
アカツキ製作所本社がある中丹地域は、山海だけでなく都会へのアクセスも良好な場所です。
「豊かな自然が溢れている地域で、都会のような物質的な豊かさはないんですが、程よい都会的な要素も含まれた地域です。高速道路等のライフラインも充実していて、バランスの取れた地域だと思っています」
このように語る小寺社長自身も、綾部で生まれ、Uターンで戻ってきたとおっしゃいます。戻ってきて初めて田舎の良さに気づき、子育てや仕事を通して、中丹地域が一番魅力的だと感じたそうです。
「この中丹地域には、世界にも日本にも通ずるような多くの企業があり、働く場所も非常に充実しています。ライフとワークのバランスもしっかり取れた地域だと思いますので、ぜひこの中丹地域で一緒に働いて生活をして楽しんでいきましょう」
と、Uターンや移住を検討している方へメッセージを伝えられた小寺社長。都会と田舎の両方の顔を持つ中丹地域。アカツキ製作所のような、顧客や従業員の声を取り入れながら正面から改善に取り組む企業の存在は、従業員だけでなく地域社会に誇りや希望を感じさせてくれることでしょう。
その影響が中丹地域全体に広がることで、京都府の目標「子育て環境日本一」が実現できる日も近いと期待したくなりました。
レコメンド記事
お問い合わせ先
中丹広域振興局 地域連携・振興部 企画・連携推進課
電話番号:0773-62-2031
ファックス番号:0773-63-8495
舞鶴市字浜2020番地
メールアドレス:c-c-kikaku@pref.kyoto.lg.jp