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更新日:2024年3月21日

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「自分の作ったネジが世界中で使われています」-株式会社波多野製作所・佐々木力さん

勤務時間を工夫したり、休みを取りやすくしたりしてワークライフバランスを実現させることで従業員の定着率が高い会社が綾部市にある。年配者もイキイキと働く職場になっている。そんな波多野製作所で力を発揮して、若手のリーダーとして活躍している佐々木力さんを訪ねた。

 

(プロフィール)

佐々木力(ささきちから)さん:1985年、綾部市生まれ。福知山市の高校を卒業し、地元の製造業者で働き、就職先の廃業に伴い、波多野社長から声をかけられ再就職。若手のリーダーとして活躍している。

 

身の回りの様々な製品を見ては、ネジが気になってしまう、と佐々木さんは話す。具体的な名前は出せないが、世界を席巻している製品、生活に欠かせないヒット商品、自動車などなど、様々なものに、自分が作ったネジが使われていて、それを「誇りに感じています」。

 


成型中のネジ

 

年配者も若者も働きやすい職場に

ネジ(工業用ファスナー)製造が盛んな綾部市の中で、「綾部のネジ作り発祥の地」とされるのが波多野製作所。若い人たちも多いながら、従業員の平均年齢は58.9歳と高い。「70代、80代の人たちも多く、元気にバリバリ働いているので、平均年齢が高くなるんです」と、3代目社長の波多野隆史さんは説明する。

 


波多野社長(右)と佐々木さん

勤続年数50年を超える大ベテランもいるし、他社で定年を迎え、セカンドキャリアとして就業した人も。その背景には、年配の人が働きやすいようにとの工夫がある。例えば物流。ネジ1本ずつは小さく軽いが、3万本となると、かなり重くなる。次の工程の作業場へ持ち運ぶうち、腰への負担が積み重なる。年配者だけでなく、若い人たちのためにもと、台車で運べるよう床をフラットに改装するなど、様々に改善を重ねてきた。

 

「改善」で文部科学大臣賞

「現場」の声が社長に届きやすいので、改善提案も活発。佐々木さんは、先輩社員と一緒に取り組んだ改善で、「科学技術分野の文部科学大臣表彰」で2022年度の創意工夫功労者賞を受賞した。

 

多品種少ロット同時生産を強みにしている会社で、一人が一度に16台もの機械を動かしていて、製品が切り替わるごとに機械を設定し直す。そのための工具を取りに行き、また戻しに行く時間を無くしたかった。

 

そこで、必要な工具や測定器を台車に積み込み、機械のそばまで持ってくることで、工具を運ぶ往復時間を無くすことができた。同様に、設定を変えるたびに記録をするため、記帳台まで移動していたのも、台車に記帳台を乗せることで解消した。作業効率が60%も改善されたことが評価され、文部科学大臣表彰を受けた。

 


作業効率を60%改善し、文部科学大臣表彰を受けた台車

 

信頼され、大事な仕事を任されて

佐々木さんは入社14年目。作業は手慣れたものだが、それでもネジの成型は「機械相手なので融通が利かないところが難しくて」と頭をかく。微妙な調整が必要で、工具を使う手の感触が大切になってくる。取引先ごとの傾向、特徴を頭に入れつつ、「品質」と「効率」の両立に苦心する毎日だ。

 


ネジ成型工程で、機械の調整をする佐々木さん

機械の設定や調整には何百種類という治具、工具、金型を使う。こうした工具全ての管理も佐々木さんが任されている。「誰にでも任せられる仕事ではありません」と、社長からの信頼は厚い。

 

「趣味は家族」

住まいは、妻の実家がある福知山市。「子育てには妻の両親が近いと、ありがたいので」と、3年前に家を建てた。

帰宅後や休みの日は、4歳と3歳の娘と遊ぶのを楽しみにしていて、「趣味は家族」とまで言うほど。子どもの発熱が続いたりした時は、妻と交代で仕事を休んで世話をした。

 


休みの日に子どもと公園で

 

取りやすい有休を有効に

こうして休みが取りやすいのも、波多野製作所の特徴になっている。家族の病気で休むのは当たり前。「きょうは天気がいいから有休を取る」と、当日会社に電話をしてくる人もいるという。「兼業農家の従業員が多いから」と、波多野社長はこともなげに話す。田植えや草刈りなど、天候を見ながら農作業をしたい人には、急な有休でも、かまわず取得させてくれる会社は働きやすい。少年野球の指導者をしている人は「チームが勝ってしまったので」と有休申請。職場の人たちは笑顔で、それを受け入れている。

ただし、受け持っている仕事の納期は厳守。休んだ分は残業をするなど、自分で管理してキッチリこなすのが約束だ。

 

余裕の勤務時間で家族とゆっくり

就業時間は午前7時30分から午後4時30分まで。まだ日の高いうちに定時を迎えることで、帰宅後に農作業をすることもできる。収入のことを考えて2時間残業しても6時30分。佐々木さんも、コロナ禍以前には「残業をしてから、友人との飲み会に参加していました」という。

早くに帰宅できることで、子どもの世話も分担でき、「夜の寝かしつけも、一緒にしていますよ」と、にこやかな表情で話す。

 

ーーある日のスケジュールーー

5時30分:起床
6時30分ごろ:自宅を出る
7時ごろ:出社。その日の作業内容をチェック
7時30分:操業開始
16時30分:定時
17時30分:1時間の残業を終えて退社
18時:帰宅、家族と過ごす

 

INFORMATION

株式会社波多野製作所
綾部市鷹栖町東田仲14
電話0773-46-0019

大正14年(1925)に大阪市で歯車を作る会社として創業。第二次世界大戦中に軍部から企業疎開命令を受け、創業者が綾部市上林出身だった縁で現在地に移転した。

戦後、ネジに携わるようになり、月に9千万本から1億本を出荷している。

 

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