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更新日:2022年4月13日

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移住の決め手は保育園。綾部で出合った子育て環境とは(風の子共同保育園)

「移住立国あやべ」を掲げ、移住者が増加傾向にある綾部で、「移住の決め手となったのは保育園だった」という、2つのご家族にお話を伺いました。

また、その保育園を実際に訪ね、保育で大切にしていることを教えてもらいました。

 

子どもが遊びから学ぶ環境を作ってあげたかった

埼玉県で自然栽培の食材を使った居酒屋を営んでいた高山和洋さんと真純さんご夫妻。和洋さんは熊本県、真純さんは福島県の出身で、「いつかは田舎暮らしを」と考えていたところ、コロナ禍での生活が始まり、このまま人工的な緑しかない環境や手狭な住空間で子育てを続けていくのか、と疑問を抱くようになりました。

たまたま当時のご近所さんが福知山の出身だったこともあり、関西への移住を視野に入れたところ、「移住立国あやべ」のサイトで「風の子共同保育園」と出合いました。

「子どもたちが日々の遊びの中から考え、学び成長できる環境を作ってあげたい」という思いがあった真純さん。

「たった一度しかない子ども時代は子ども自身のもの。だからこそ自分を傷つけ、人を傷つけること以外は大きく見守っていくことが大切」という和田園長の考え方に共感し、最終的に、この保育園との出合いが移住の決め手となりました。

高山さん一家が綾部へ移ってから約1年半が過ぎました。上のお子さんは昨年3月に卒園しましたが、今も下のお子さんは風の子共同保育園に通います。

大人の中にいることの多かった埼玉の生活を取り戻すかのように、我が子は友達の中で、“遊び、食べ、寝る(休息する)”事を充実させています。

和田園長は保護者ともしっかり対話し、お互いの考えを伝え合い、理解し合いながら子どもたちの成長を見守ることを大切にしてくれていると言います。

現在、和洋さんは林業関係、真純さんは福祉関係の仕事をしながら、埼玉時代から始めていた和からしの生産・加工を綾部でも続けています。和洋さんたちが作る和からしは、種から栽培し、琴引浜の塩や宮津・飯尾醸造のお酢など、地元の素材で作るこだわりの純国産石臼挽き和からしです。

現在は、定住を決めるまでのお試し期間で、「地場を固めているところ」という和洋さん。綾部は地元の人が移住者への理解もあるので居心地がいい、と感じているようです。

また、保育園の保護者同士の繋がりも強く、そこから広がった人脈がチャレンジを続ける新天地での暮らしの中で大きな力になっているといいます。

「夫婦が仲良く、楽しそうに仕事をしている背中を見せることが自分なりの子育て」という和洋さん。子どもたちが自然の中で自由に遊べる場所を作るのが、今描いている夢のひとつだと教えてくれました。

(外部リンク)

 

子どもがひとりの人として成長できる環境を

高山夫妻が、綾部への移住のきっかけになった「風の子共同保育園」の園長、和田きよみさんに会いに行ってきました。

2019年に園債などを活用して完成した新園舎は、大きく開かれた窓から太陽の光がたっぷりと注ぎ、3年が経った今もまだ木の香に包まれています。

建物の大半を占める大きな部屋では積み木で基地を作る子、縫い物を楽しむ子、先生とのおしゃべりに夢中な子・・と、思い思いにお迎えまでの時間を過ごしていました。


園長の和田きよみさん

和田園長が「風の子共同保育園」をつくったのは1986年。初めての育児に奮闘する中、他の新米ママさんたちと勉強会をしたことが、子育てや保育のあり方を考えるきっかけとなりました。「子どもが一人の人として成長できる環境をつくりたい」と、一念発起。家族や同じ思いを持つ保護者、地元の人たちの力を借りて、この風の子共同保育園をつくりました。

手探りで始めた保育園の運営。埼玉の「さくらい保育園」や与謝郡の「こどもの森保育園」の先進事例に学びながら、空気、水、土といった外的環境と、何を大事にして子育てをしていくのか、ということをいつも問うてきました。

何より大切にしたのは、「子どもにも大人と同様に意思がある」、だから「子どものことはまず子どもに聞いてみよう」ということ。「子どもは未熟で弱いもの」とする考えが当たり前だった中、子どもは誰も伸びようとする力を持っている。そして、子ども同士が自分たちで育ちあうんだと、捉えてきました。そのために必要な自分の意思を伝える力を育ててきました。

また、こどもが安心感と信頼感の中で育つ環境を作るためには、職員と保護者など関わる大人同士が尊重し合い、学びあうことを大切にしてきました。

そのため、公開保育を何度も開催し、大人も自分の体を動かして、考えていく機会をつくっています。

子どもは、大人が何と言ったかでなく、どう行動したかを学んでいきます。だから運動会も保護者参加型。「運動会にビデオを回す暇なんてないわよ」と笑います。

「自分たちの子どものために」と始めた共同保育園も、36年目を迎えました。こうした和田園長の考えに共感し、現在も綾部だけでなく、舞鶴や福知山、丹波などからも通わせたいという人たちが集まります。

 

信頼できる人の元に子どもを預けたかった

ニューヨークでアメリカ人の旦那さん、二人の子どもたちと暮らしていた佐藤真矢子さんは、コロナで当たり前の日常が送れなくなった時、旦那さんからの提案で一時帰国を決めました。帰国には自身のライフワークでもあったマクロビオテックのスキルアップに加え、アメリカで育った子どもに日本語を学ばせたいという想いがありました。京都の教室に通える地域で住む場所を探す中、「風の子共同保育園」と出合いました。

特に下のお子さんに言葉の不安があったため、児童数が少なく先生の目が届く保育園を探していた中で見つけた保育園。すぐに和田園長とコンタクトを取り、じっくりと話をすることで、この園に預けることを決めました。


佐藤真矢子さん

当初、言葉もわからない場所に訳も分からず来ることになった子どもたちは不安で帰りたがることもあったと言います。

心細さから「飴が食べたい」と訴えてきたので、飴をあげた日のことを和田園長はよく覚えていました。子どもの言動には意味がある。この時、その訴えを否定して、集団のルールを守らせることより、今の心に寄り添うことを大切にしました。

子どもたちの心持ちはそのときの食べっぷりにもよく表れます。

そうして意思が伝わった経験が、安心感や大人への信頼へと繋がる。さらに、自分がどうしたいのか、心持ちを伝えられる子は、やがて人の気持ちも汲み取ることが出来るようになると言います。

帰り際、お友達と一緒に私達にたくさん話しかけて来てくれた娘さんの姿に子どもの成長とたくましさを見ました。

 

(外部リンク)

 


一般社団法人京都府北部地域連携都市圏振興社(海の京都DMO)ホームページより転載
https://www.uminokyoto.jp/feature/detail.php?spid=166

 

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